


《意識を改造させてくれた日本マンガ》
30年ほど前、私は日本のある大学で一生懸命勉強をしていましたが、周りの日本人の友達が毎日読んでいるのは教科書ではなく、何と分厚いマンガ雑誌ではないですか。 それをまねて、私がマンガを最初に読み始めたのは、赤塚不二夫氏『天才バカボン』、川崎のぼる氏『荒野の少年イサム』、松本零士氏『男おいどん』などですが、そのうちある友達に、まるで密教の本を紹介するかのように手塚治虫氏の『火の鳥』も読むようにすすめられました。 これが決定打でした。私がマンガというものの可能性に目覚め、日本マンガにはまり、何とかして欧米の人々に少しでも紹介できればと思うようになりました。 多くのマンガ家、編集者、業界の方々に大変お世話になりながら今日に至っていますが、思えば手塚治虫先生が私の人生に与えた影響は計り知れないほど大きなものです。今回、朝日新聞社の手塚治虫文化賞の特別賞をいただくことになり、言葉では言い表せないような嬉しさを感じています。
《フレデリック・L・ショット》

1950年、米国ワシントンDC生まれ。作家、翻訳家、通訳として多方面で活躍している。1983年に『Manga! Manga! The World of Japanese Comic』(日本のマンガ)を出し、83年の第2回マンガ・オスカー賞特別賞を受賞。その後、英語圏に日本マンガを紹介する記事やコラムを執筆、講演をし、マンガの英訳をしている。96年に記した『Dreamland Japan: Writings on Modern Manga』は98年に『ニッポンマンガ論』として日本語版にもなった。中沢啓治、池田理代子、松本零士、手塚治虫、士郎正宗、星野之宣、そして明治時代に渡米して最も早くストーリーマンガを出した木山義喬ほか、多くのマンガ家の作品を英訳して海外に紹介している。マンガ関係以外に、富野由悠季、椎名誠、清水義範などの小説も英訳している。日米関係の入門書、産業用ロボットなどの著作もある。
※受賞者プロフィールは当時のものです。