手塚治虫文化賞

第7回マンガ大賞

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マンガ大賞

高野文子 『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』(講談社)

《私の青春の書》

 この度は、たくさんのお誉めの言葉をいただき、誠にありがとうございました。

 この作品は、読書する、小説を読む、ということを絵で表現したら、どういうものになるだろうかと考え、とりくみました。読書は楽しいことではあるけれど、出合ってしまったばっかりに、悲しい思いをすることもある。本とはそういう恐しい一面も、持っているものではなかったか、とそのころ考えていたからです。

 ロジェ・マルタン・デュ・ガールの『チボー家の人々』は、もちろん私の青春の書です。本当に真っ黄色な表紙の、美しい本でした。

2003年6月5日、贈呈式での高野文子氏(右)

 私の漫画は、よく解りにくいと言われます。自分でも綱渡りのようにあぶない描き方をしていると感じています。内心は、とても不安でしょうがありません。この作品も試行錯誤が続き、完成がどんどん遅れてしまいました。それにもかかわらず、こうして最後までたどりつけたのは、支えてくださった編集の方と、私のことを忘れずに待っていてくださった読者の皆さんのお陰です。ここで改めて、お礼を申しあげます。


《高野文子》

 たかの・ふみこ。1957年、新潟県生まれ。73年、新潟江南高校衛生看護科入学。76年に都立公衆衛生看護専門学校を卒業し、78年から都内の医院に2年間勤務する。その頃から同人誌「楽書館」に漫画を発表し始める。82年に『絶対安全剃刀』を刊行し、日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。83年『おともだち』、87年『ラッキー嬢ちゃんのあたらしい仕事』、93年『るきさん』、95年『棒がいっぽん』、02年『黄色い本』を刊行する。

※受賞者プロフィールは当時のものです。