©秋月りす/講談社
「OL進化論」から
©秋月りす/講談社
《世相反映にもユーモア》
「まさか私が受賞するとは思ってもいませんでした。ありがとうございます。4コママンガだけを同じペースでトコトコ描き続けてきましたが、今回の受賞は背中をポンとたたかれて『それでよし!』といっていただいたみたいです」
初めての連載「OL進化論」は16年目に入り、間もなく連載700回となる。おしゃれ、恋愛、お昼ご飯の楽しみ、ダイエットの苦しみと、OLの日常を題材にクスリと笑えるネタを安定して繰り出す。
バブル景気から不況へ落ち込んだ世相を映し、ブランドもののバーゲンに浮かれていたOLたちが倒産の心配をしたり、身内の就職難に悩んだりと変化もあるが、おだやかなユーモアに包まれた秋月ワールドは揺るがない。「かしましハウス」では性格の異なる4姉妹を描き、「どーでもいいけど」では時事ネタを料理してみせた。
クセのない、かわいい絵柄は好感度抜群。賛辞としても批判としても「毒がない」という評があるが、「OL進化論」の中の連作テーマである「35歳で独身で」は、晩婚化時代の微妙な心理を描き、面白いけど身につまされる、という人も多いかも知れない。
《秋月りす》
あきづき・りす。1957年、福岡県生まれ。関西大学文学部卒。88年、講談社「月刊アフタヌーン」四季賞佳作入賞を経てデビュー。89年、「週刊コミックモーニング」で『OL進化論』の連載開始。竹書房「まんがライフオリジナル」をはじめとする四コマ誌、朝日新聞などに連載。竹書房から『かしましハウス』『どーでもいいけど』などを刊行。現在は「モーニング」で『OL進化論』、「まんがライフオリジナル」で『おうちがいちばん』を連載中。
※受賞者プロフィールは当時のものです。