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| ©こうの史代/双葉社 |
ヒロシマの重み伝える覚悟で
戦後生まれの広島人に、「ヒロシマ」は複雑な重みを持っていた。
「忘れてはいけない大事なことだけど、避けておきたい。何も知らないのにうかうかと踏み込んではいけない、と思っていました」
「ヒロシマの話を書いてみない?」という編集者の提案に、夫や友人からは「大変だからやめたら」と言われると思っていたが、むしろ「いいんじゃない」とあっさり。その温度差が逆に、ヒロシマの重みを伝えようという覚悟につながった。
親類に被爆者や被爆2世はいない。体験記や記録文学などを基に「夕凪の街」を、被爆2世らに取材し続編「桜の国」を書いた。
「誰かが書くべき、残しておくべき作品だったのだと思う。たくさんの忙しいマンガ家の代わりに、たまたま時間のあった私が書いただけです」
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| 「夕凪の街 桜の国」から©こうの史代/双葉社 |
「夕凪」は、生き残ったことに罪悪感を抱えた女性の、被爆10年後の悲運を描く。やさしい絵柄からは想像も出来ないラストについて、あとがきでこう記した。
〈これから貴方(あなた)が豊かな人生を重ねるにつれ、この物語は激しい結末を与えられるのだと思います〉
「人の親切に触れて、好きな人に出会って、そんな何げない人生がいかに貴いものか、感じてもらえたらうれしい」
少女時代に飼っていた気の荒いニワトリのかわいさを短編連作「こっこさん」に描き、インコと暮らす楽しさを「ぴっぴら帳」につづった。
執筆場所は、もっぱら台所に置いたちゃぶ台。かたわらの鳥かご三つから、3羽の小鳥が見守っている。
<あらすじ>
〈夕凪の街〉10年前の原爆で父、姉、妹を失った皆実(みなみ)。同僚の打越から思いを告げられたことで、「あの日、多くの人を見殺しにした」という心の傷が再び痛み出してゆく。
〈桜の国〉東京で暮らす皆実のめい七波(ななみ)。87年の祖母の死と、04年夏の広島への旅を通じ、原爆が祖母や父母に落としていた影に気づく。単行本(全1巻)は双葉社から発売中。
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