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| ©吾妻ひでお/イースト・プレス |
自分が主役 冷めた視点
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| 「失踪日記」から©吾妻ひでお/イースト・プレス |
「ナンセンスギャグは、常に新しいアイデアで作っていかなければならないので、個人の力では限界がある。自分としては、それを乗り越えて復活したというより、別の道に行ったと思っています」
2度の失踪とアルコール依存症での入院を経て、再びマンガ家として描きだしたことをこう振り返る。
「失踪日記」に通底するのは、異常な経験を冷めた目で見ている第三者の視点だ。
「実際にホームレス生活をしている時はすごく厳しかったが、時間をおいて思い出してみると、なんか間抜けというか笑える。結局はホームレスも日常になっていくんだなと。『アル中』だってそれがいつもの生活になる」
1度目の失踪を描いた部分では、腐りかけた毛布を拾って寒さをしのぎ、ゴミをあさり、空き瓶からわずかな酒を集める自分の姿を克明に描く。悲惨な生活のはずなのに、毎日それなりに工夫して生きていく姿はどこかコミカルだ。
2度目では、なぜかガスの配管工として働くようになる。どんどん体はたくましくなり、資格試験の勉強まで始める。さらには、親会社の社内報に自らマンガを投稿してしまう。描けずに逃げてきたはずなのに。
「常に自分を第三者として見てしまうというのはありますね。マンガの中の住人になるというのが、子どものころからの願望なんです。何にも悩まないで、バカみたいで楽しそうでしょ」
受賞作が話題になり、再びマンガの仕事もポツポツと来るようになった。入院を契機に始めた断酒も7年を迎えた。
「なるべく自分を追い込まないようにしています。朝起きて、午前中2、3時間仕事をしたら午後は休み。図書館でぼーっとしたり、散歩したり。断酒と一緒で、無理をしないで少しずつ積み重ねていきたいですね」
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