手塚治虫文化賞

第13回マンガ大賞

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 男女逆転 繊細に力強く

『大奥』 よしながふみ作(白泉社)

『大奥』表紙©よしながふみ/白泉社

 「長い長い時間にわたる物語を描きたかった」と話す。男女の役割が逆転した江戸時代というダイナミックな設定は、後から「たまたま思いついた」。

 男性だけがかかる疫病の流行で働き手も後継ぎも女性が担う社会。将軍職も家光などの「男名」を持つ女性が代々受け継ぐ。女性の将軍や大名たちと、子孫を残すために大奥に集められた男性たちの、華やかでかなしみに満ちた人間模様が、繊細に、時に力強い描線で表現される。

 大奥には「一つの舞台で人物が移り変わり、長い時の流れを表現できるおもしろさがある」と話す。幕末まで構想はできているという。「逆転の世界で、初めて男女の恋愛が違和感なく描けた」とも。これまでは主に男性どうしの恋愛を描く「ボーイズラブ」で人気を博してきた。

 「マンガはおもしろくなくては」とエンターテインメント性を重視する。一方で、制度が宿命的に持つ不条理さ、社会の主流となった女性の生きがたさなど、深い洞察力に貫かれ、きわめて現代的でもある。

 手塚マンガも読んで育った。人間の本質を見据えた作品に「残酷でエロチックなものをマンガで描いていいと学びました」。


《よしなが・ふみ》

よしながふみさんよしながふみさん

 71年、東京都生まれ。94年に「月とサンダル」でデビュー。代表作に「西洋骨董洋菓子店」など。青年誌に「きのう何食べた?」も連載中。

※受賞者プロフィールは当時のものです。