手塚治虫文化賞

第14回新生賞

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「他者との関係性」繊細に

「虫と歌」 市川春子さん(講談社)

「虫と歌」

 切り落とした自分の指から生まれた「妹」に恋心を抱く男の子。小さな金具から女の子のような姿に成長していく「ヒナ」に、孤独を癒やされる野球少年。

 デビュー作を含む短編集で、「人ならぬ者」との間に交わされる淡い情愛を繊細なタッチで描いた。4編を貫く主題は「他者との関係性」だ。

 「他人との距離感とか、思いやりや優しさとか、迷惑な善意とか、そんなものをすくいとれればいいなと思った」

 出版社勤めのかたわら、年1本のペースで描き進めた。案を練るのは通勤時間中。「考え事に夢中になって、雪解けの水たまりにはまってビショビショになったことも」

 じっくり時間をかけ、たゆたう夢のような世界を紡ぎ出した。今後もこのペースで創作を続けたいという。

©市川春子/講談社

 「マンガは絵と文でできている。絵では表せない、言葉にもできない思いを、絵と文の間からたくさん感じとれるような、そんなマンガを目指します」


《いちかわ・はるこ》

市川春子さん市川春子さん

 1980年、千葉県生まれ。札幌市の出版社に勤務。「虫と歌」(講談社)が初の単行本。