手塚治虫文化賞

第14回特別賞

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少女、SF、ギャグで3部作

マンガ評論家 故米沢嘉博さん

ちくま文庫 ちくま文庫 ちくま文庫

 大学時代から評論活動を始め、「少女」「SF」「ギャグ」の3分野を対象とした「戦後マンガ史」3部作を1980年代初めに発表した。並外れた読書量でマンガ文化を俯瞰した。肺がんで2006年に53歳で亡くなるまで雑誌に連載していた「戦後エロマンガ史」が今月下旬に出版される。

 同人誌即売会コミックマーケット(コミケ)の準備会代表を80年から務め、数十万人が集まる巨大イベントの運営に尽力した。パロディーが多い同人誌は著作権問題というグレーゾーンを抱えるが、コミケはコスプレやボーイズラブ(男同士の恋愛もの)など新たな文化を発信し、多くのマンガ家が生まれる土壌ともなっている。

 コミケのほかに残したもう一つの財産が14万冊の蔵書だ。昨年10月、母校の明治大学が寄贈・寄託を受け「米沢嘉博記念図書館」を開設した。現在約7万冊を閲覧できる。順次整理を進めて公開点数を増やしていく。

 本が増える度に広い家に移る「ヤドカリ生活」をともにした妻の英子さんは「コレクションの全体像は私にも分からない。私の知らない米沢嘉博がこれから現れるかも、と思うと楽しみ」と話す。

 「図書館が今後のマンガ研究の核になってくれれば、米沢も喜ぶと思います」


《よねざわ・よしひろ》

故米沢嘉博さん故米沢嘉博さん

 1953年、熊本県生まれ。手塚治虫文化賞選考委員を1997年の第1回から第6回まで務めた。2006年10月、肺がんのため53歳で亡くなった。