手塚治虫文化賞

第15回マンガ大賞

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ひたむきに リアルな医術

「JIN−仁−」村上もとかさん(集英社)

 脳外科医の南方仁が、幕末にタイムスリップ。現代医学の知識と技術を駆使して、疫病や火災などに遭った庶民をひたむきに治療し、坂本龍馬ら歴史上の偉人ともかかわっていく。

 そんな説明は無用なほど、テレビドラマが大ヒット中だ。目の前で苦しむ人々を分け隔てなく救おうとする、仁のヒューマニズムは、大震災に見舞われた日本国民の心にまっすぐに突き刺さる。

 遊女らがかかった江戸時代の性病の悲惨さを描いた本を読んだのがきっかけだった。「当時の不治の病で苦しんだ先祖を、フィクションのうえでも救えたら、胸がすく作品にならないか」。そう考えたという。

©村上もとか/集英社

 現代の医者が幕末に赴くという荒唐無稽な設定にリアリティーを与えるために、現代、そして当時の医学について、3人の専門家に監修してもらい、精密な考証に気を配った。手術シーンの止血の位置が数造困譴討い襪隼愿Δ気譟描き直す。そんなやりとりを繰り返した。

 専門の脳外科だけでなくペニシリンを精製し、お産では帝王切開もこなす仁の姿を、「急病人が出た飛行機にたった1人乗り込んでいた医者」とたとえる。「現代の医療は専門化が進んでいるが、やらねばならない状況では、みなさん医者としての志と能力を秘めていると信じています」


《むらかみ・もとか》

村上もとかさん

 1951年、東京都生まれ。「JIN―仁―」を00〜10年にスーパージャンプ(集英社)で連載。ほかに「六三四の剣」「龍―RON―」など。