手塚治虫文化賞

第16回手塚治虫文化賞贈呈式

第16回 | マンガ大賞 | 新生賞 | 短編賞 | 特別賞 | 贈呈式 | これまでの受賞の記録

第16回手塚治虫文化賞贈呈式

特別賞「あの少年ジャンプ」を持つ少年ジャンプ編集長の瓶子吉久さん(右)と塩川書店五橋店店主の塩川祐一さん

  • ◇日時 2012年5月25日(金)16:00〜17:25
  • ◇会場 東京・築地の浜離宮朝日ホール(朝日新聞東京本社内)
  • ◇主催 朝日新聞社
  • ◇参加無料
〈贈呈式〉
正賞と副賞の贈呈、受賞者のスピーチ
マンガ大賞
『ヒストリエ』(講談社)岩明均さん
新生賞
伊藤悠さん『シュトヘル』(小学館)
短編賞
ラズウェル細木さん『酒のほそ道』(日本文芸社)など一連の作品に対して
特別賞
『あの少年ジャンプ』
塩川書店五橋店 塩川祐一さん
週刊少年ジャンプ編集長 瓶子吉久さん
〈トークイベント〉
「マンガ大賞受賞記念対談」
岩明均さん × あさのあつこさん(作家・選考委員)、永井豪さん(漫画家・選考委員)

<手塚治虫文化賞 4賞に贈呈>

短編賞を受賞したラズウェル細木さん

 マンガ家の故手塚治虫さんの業績を記念する第16回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の贈呈式が5月25日、東京・築地の浜離宮朝日ホールであった。

 アレクサンドロス大王に仕えた書記官を描く「ヒストリエ」でマンガ大賞に選ばれた岩明均さんに、鉄腕アトムのブロンズ像と副賞200万円が贈られた。岩明さんは「手塚先生の多くの作品のように、未来の読者の心もつかめるロングセラーを目指したい」とこれからの抱負を語った。

 新生賞は「シュトヘル」の伊藤悠さん、短編賞は「酒のほそ道」のラズウェル細木さん。それぞれブロンズ像と100万円が贈られた。特別賞は、震災の被災地の書店で回し読みされた「あの少年ジャンプ」。仙台市の塩川書店五橋店の店主、塩川祐一さんと、週刊少年ジャンプの瓶子吉久編集長が出席、現物のジャンプも会場に展示された。


会場に飾られた大賞『ヒストリエ』のパネル
©岩明均/講談社

 選考委員で学習院大学教授の中条省平さんは、選考経過報告の中で『ヒストリエ』を評し次のように述べた。「戦乱に明け暮れた古代ギリシャが舞台でありながら、地震や原発事故を経て、ある種の無常感が漂う現代日本と通じる気分があり、それでも生きていかなければならない、だったらより良く生きる道を探ろう、と描いていて非常に感動的な作品。細く繊細な線で普遍的な空間造形に成功している」


<受賞者のことば>

新生賞『シュトヘル』のパネル ©伊藤悠/小学館 短編賞『酒のほそ道』のパネル
©ラズウェル細木/日本文芸社

 贈呈式・トークショーを通して、マンガの力や多様性を考えさせる言葉が並んだ。

 「この世界に来るきっかけが、手塚作品との出会いだったので、特別な思いです」と、大賞の岩明均さん。選考委員とのトークショーでは、生首を大蛇がのみ込むという衝撃の場面が話題に上り、「映像にもないマンガだけの表現」とあさのあつこさんが感嘆すると、永井豪さんは「止まった絵だから、いろいろなことを想像できる」。

 「描く人のレンズを通して、ゆがみとゆらぎが現れ、不思議でいつも新鮮」と、マンガの魅力を語ったのは、新生賞の伊藤悠さん。

 重厚な歴史劇の両作と対照的に、短編賞のラズウェル細木さんが「酒のほそ道」で描くのは、呑兵衛のサラリーマン。「カツオ、サンマなど毎年描いて、はっきりいってマンネリ。酒を毎日飲むこと自体がマンネリなので許されているのかな」と笑わせた。

 被災地で回し読みされ、子どもたちに笑顔をもたらした、特別賞の「あの少年ジャンプ」。舞台となった塩川書店五橋店(仙台市)の塩川祐一さんは「たった一冊のマンガで街がよみがえったようだった」と語った。