朝日新聞社 -手塚治虫文化賞 - The Tezuka Osamu Cultural Prize -

 

受賞作品

 ★ 第19回(2015年)★ 
【マンガ大賞】   「逢沢りく」(文藝春秋) ほしよりこさん
【新 生 賞】   大今良時さん 「聲の形」(講談社) 
【短 編 賞】   吉田戦車さん
【特 別 賞】   みつはしちかこさん

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■ マンガ大賞 ■ 「逢沢りく」 ほしよりこさん 

 思春期のふるえる感情

 「ありがたく、とても畏(おそ)れ多く思います」と受賞の喜びを語る。

 「全力を出し切った」という受賞作は、潔癖性の美少女・逢沢りくが主人公。猫の家政婦が癒やし系ユーモアを放つ「きょうの猫村さん」で人気を得た作者が、思春期の少女のふるえる感情を繊細に描き出す。

 14歳のりくはうそ泣きが得意だが、悲しいという気持ちが分からない。母によって関西の親戚に預けられ、ベタついた人間関係を嫌悪するが、幼い「時ちゃん」が病気と知り心の中で何かが変わり始める。

 「東京に対する違和感をいつかお話にしたいと思っていた。お笑いに対する感覚、会話のリズムやノリとか、違うことばかり」。生まれは京都で関西在住だ。りくを逆の立場にすることで、ひねりを加えた。

 「自意識過剰な少女を最後にものすごく泣かす」という骨格だけを決め、描き始めた。「あとは、描いていくうちにキャラクターが導いてくれる」

 プロットもノートも作らず、下書きもしない。真っ白な原稿用紙に鉛筆を走らせ、それがそのまま印刷され作品となる。

 「『猫村さん』が、この描き方のまま書籍化され、少なくない読者の方に受け入れられたのが大きかった。自分の頭の中のイメージがそのまま紙の上に出ているような感覚。生っぽくて、臨場感がある。私にとって、この描き方がベストなんです」

「逢沢りく」 (c)ほしよりこ/文藝春秋

© ほしよりこ/文藝春秋

 

 

 

 

 

 

 


《ほしよりこ》

 1974年生まれ。インターネット上で連載されていた『きょうの猫村さん』が人気を呼び、2005年7月にマガジンハウスより単行本化。現在7巻まで発売中。そのほかの著書に、『山とそば』(新潮文庫)、『僕とポーク』『カーサの猫村さん』(共にマガジンハウス)など。

「逢沢りく」 (c)ほしよりこ/文藝春秋

© ほしよりこ

 

 

 

 

 

 

 


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■新生賞■ 大今良時さん 「聲の形」

 障害といじめ、希望へ着地

 小学生の時、転校してきた聴覚障害者の硝子(しょうこ)を手ひどくいじめて喜んでいた将也。その後自分もいじめを受けた彼は高校生となり、再会した硝子の幸せのために生きると決意する。

 連載は週刊少年マガジン(講談社)。少年誌らしからぬ深刻なテーマに挑み、7巻をかけ希望と再生へ物語を着地させた。手話による会話も自然に読ませた。

 1989年、岐阜県生まれ。オリジナル作品の長期連載は本作が初めてだ。

 「この賞は、手塚先生が多くの人とマンガを作っていたように、決して自分も一人で作ることはできなかったと実感させてくれます。同時にお守りとして、自分一人でも頑張っていけるよう支えになってくれる気がします」

©大今良時/講談社

©大今良時/講談社

 

 

 

 

 

 

 

 


©大今良時

《おおいまよしとき》

 1989年、岐阜県生まれ。2008年、第80回週刊少年マガジン新人漫画賞入選。09年『マルドゥック・スクランブル』(原作・冲方丁、全7巻)で連載デビュー。『聲の形』は2度の読み切り掲載を経て、13年から「週刊少年マガジン」で連載開始。14年、連載終了と同時に劇場アニメ化が発表された。


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■短編賞■ 吉田戦車さん

 「育児」「食」笑い追う

 妻の伊藤理佐さんも短編賞受賞者。夫婦そろって子育てマンガを連載中だ。「まんが親」(小学館)では、娘のおかしな言葉遣いなどに加え、おいしいネタを待つ自分までギャグにする。

 人語を操る猫が様々なおかゆを作る「おかゆネコ」(小学館)も連載中。個性的な登場人物の奇行と、滋味豊かなおかゆの奇妙なマッチング。大ヒット作「伝染るんです。」の不条理ギャグから「育児」に「食」に、笑いを追究し続ける。

 1963年、岩手県生まれ。手塚治虫の「火の鳥」が看板作品の「マンガ少年」を毎号読み、マンガ家への夢を膨らませたという。「この度の受賞は何よりの勲章であり、叱咤(しった)激励でもあると思っています」

© 吉田戦車/まんが親

© 吉田戦車/まんが親



©吉田戦車

《よしだせんしゃ》

 1963年8月11日、岩手県水沢市(現・奥州市)に生まれる。82年、高校卒業後上京。85年、アダルト雑誌でイラスト、ショートコミックなどの仕事を開始。『戦え!軍人くん』などを経て、89年、ビッグコミックスピリッツで『伝染るんです。』の連載を開始。91年、「第37回文藝春秋漫画賞」を受賞。主な代表作に『火星田マチ子』『はまり道』『ぷりぷり県』『吉田自転車』『まんが親』『おかゆネコ』などがある。妻は漫画家の伊藤理佐さん。

 


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■特別賞■ みつはしちかこさん

 「小さな恋のものがたり」半世紀で完結

 小さな野の花のような少女チッチ。彼女が一途に慕う、ノッポでハンサムのサリー。1962年に雑誌連載を始め、シリーズ累計2千万部を超す名作「小さな恋のものがたり」(学研パブリッシング)を、昨年刊行の第43集で完結させた。

 大病による長い執筆休止、後遺症で動かぬ手。そんな困難をまったく感じさせず、切なく愛らしい「小恋(ちいこい)」の世界を描ききった。

 1941年、茨城県生まれ。朝日新聞日曜版では、80年から22年間「ハーイあっこです」を連載した。

 「私の意識の中で、マンガ家になるという夢はまだまだ途中のようです。卒業式が入学式に続くように、卒業と入学を繰り返しながら、大好きなマンガを描き続けたいと思っています」

© みつはしちかこ/学研パブリッシング

© みつはしちかこ/学研パブリッシング



みつはしちかこ

《みつはしちかこ》

 1941年生まれ。幼いころから絵や詩、漫画に親しむ。東京都立武蔵丘高校時代は放送劇部で活躍。卒業後はアニメーション会社に勤めながら、高校時代のクラブ漫画日記をもとに4コマ漫画『小さな恋のものがたり』を描きためた。それを雑誌「美しい十代」に持ち込み、即デビュー。同作は76年にミリオンセラーを記録、77年に日本漫画家協会優秀賞を受賞した。80年から22年間、朝日新聞日曜版で『ハーイあっこです』を連載。エッセイ、詩画集など著書多数。

 


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受賞の記録
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第21回(2017年)
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第16回(2012年)
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第15回(2011年)
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★ノミネート作品

第14回(2010年)
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★ノミネート作品

第13回(2009年)
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第12回(2008年)
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第11回(2007年)
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