朝日新聞社 -手塚治虫文化賞 - The Tezuka Osamu Cultural Prize -

 

第20回(2016年)手塚治虫文化賞■
マンガ大賞に「鼻紙写楽」「よつばと!」

 マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の第20回受賞作が決まった。マンガ大賞は、一ノ関圭さんの「鼻紙写楽」とあずまきよひこさんの「よつばと!」の2作。新生賞は「町田くんの世界」の安藤ゆきさん、短編賞は中崎タツヤさんの「じみへん」、特別賞は京都国際マンガミュージアムが選ばれた。
 贈呈式は、第20回記念イベントと併せて5月29日に東京の有楽町朝日ホールで開催する。それぞれに正賞のブロンズ像と副賞100万円を贈る。


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受賞作品

 ★ 第20回(2016年)★ 
【マンガ大賞】   「鼻紙写楽」(小学館) 一ノ関圭さん

【マンガ大賞】   「よつばと!」(KADOKAWA) あずまきよひこさん

【新 生 賞】   安藤ゆきさん
        (主人公のユニークな造形が光る『町田くんの世界』(集英社)の清新な表現に対して)
【短 編 賞】   「じみへん」(小学館) 中崎タツヤさん
        (四半世紀にわたった連載で築き上げた唯一無二の笑いの世界に対して)
【特 別 賞】   京都国際マンガミュージアム
        (10年にわたり博物館と図書館の両面からマンガ文化に貢献した活動に対して)

【→ノミネート作品はこちら】 【→選考結果はこちら】 

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■ マンガ大賞 ■ 「鼻紙写楽」 一ノ関圭さん 

 完成への道、絵で見せたい 

 「物語は完結してナンボと思っているので、この作品はまだ途中なのに賞などもらっていいんだろうか、と戸惑いました」

 秋田県出身。東京芸大で油絵を学んでいたが「何かが違う」と感じ、幼い頃から親しんだマンガへ。1975年にビッグコミック賞を得た「らんぷの下」でデビューした。

 前作「茶箱広重」に続き浮世絵師を描く「鼻紙写楽」は、老中田沼意次の失脚から寛政の改革へ移る時代を背景に、上方の実在の絵師如圭を後の写楽と位置づけ、五代目市川団十郎とその娘、息子らが絡む濃密なドラマを展開する。

 「写楽の正体には諸説あるが、絵師の如圭を選んだのは、彼の絵がどう変遷し写楽の完成形へ至るかを絵そのもので見せたいから」

 2001年から09年まで描き継いだが、掲載誌の休刊で中断を余儀なくされた。描き下ろしを加えて昨年出した単行本は「四半世紀ぶりの新刊」と話題になった。卓抜した画力、綿密な考証、キレのいいせりふ、香気豊かな江戸情緒を愛するファンも、この寡作ぶりには泣かされる。

 「いま続きを描いているが、写楽がどのように出現しなぜ突然消えたのか、その謎に到達するまではまだまだ。キーパーソンはもう出してあるんですけど。受賞は、しっかり終わらせないといけないよ、というエールと受け止めます」

「鼻紙写楽」 (c)一ノ関 圭/小学館
「鼻紙写楽」 ©一ノ関 圭/小学館


一ノ関 圭 自画像
© 一ノ関 圭
いちのせき・けい
 秋田県出身。1975年、『らんぷの下』でビッグコミック賞受賞。主なコミック作品『裸のお百』『女傑往来』『茶箱広重』『ほっぺたの時間』。主な絵本の挿画『絵本 夢の江戸歌舞伎』(岩波書店)『おおふじひっこし大作戦』(福音館書店)『琉球という国があった』(「月刊たくさんのふしぎ」2012年5月号・福音館書店)。

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■ マンガ大賞 ■ 「よつばと!」 あずまきよひこさん 

 全部やったと思えるまで 

 「受賞を聞いて『やったぜ!』というより『どうしよう?』。自分が『マンガ』というバトンを持って走っているランナーだとしたら、手塚先生は第1走者。特別な存在です」

 1968年、兵庫県生まれ。初連載の「あずまんが大王」は、個性豊かな女子高生たちのユーモラスな学園生活を描き、アニメ化もされた。

 2003年から「月刊コミック電撃大王」(KADOKAWA)連載中の「よつばと!」は、ある町に「とーちゃん」と引っ越してきた5歳の元気な女の子「よつば」の日常を丁寧に描く。

 「ネタのヒントのために近所の子や友人の子を観察したりはしますが、モデルはいない。自分の中に生まれたよつばという女の子のドキュメンタリーを撮っている感じ。ある場所に連れていくだけで、あとは勝手に動き出す」

 かわいさに癒やされるユートピアであり、子供のいる日常のリアルもある、不思議なマンガだ。流れる時間もゆっくり。13巻まで進んだが、劇中では4カ月足らずしか経っていない。

 「1巻の帯に『いつでも今日が、いちばん楽しい日』とある通り、子供の一日一日を描いていきたい。『よつばと!』でやることは全部やったなと思えるまで続けます」

(c) KIYOHIKO AZUMA/YOTUBA SUTAZIO/KADOKAWA
「よつばと!」  © KIYOHIKO AZUMA/YOTUBA SUTAZIO/KADOKAWA


あずまきよひこ
 1968年生まれ、兵庫県出身。代表作に『あずまんが大王』『よつばと!』などがある。『よつばと!』は現在も「月刊コミック電撃大王」にて連載中。(2016年4月27日現在)




あずまきよひこ 自画像
© KIYOHIKO AZUMA/YOTUBA SUTAZIO

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■新生賞■ 「町田くんの世界」 安藤ゆきさん 

 少女マンガには型破りな男性キャラが多いが、本作の主人公「町田くん」は全く逆の意味で型破りだ。

 物静かでメガネ。まじめだが成績は中の下。不器用で地味。でも人に優しく、誰にも好かれる天然の「人たらし」で、そよ風のように周りの世界を心地よく変えていく。軽い気持ちで「かわいい!」などと言われるヒロイン「猪原さん」は、無駄にキュンとさせられるばかりだけれど。

 大阪府生まれ。2004年に「星とハート」でデビュー。「町田くんの世界」は、昨年から「別冊マーガレット」(集英社)で連載中(既刊3巻)だ。

 「『町田くんの世界』を描き始めたことによって、今まで以上に人とのつながりや、人に支えてもらっていることを実感しています」

「町田くんの世界」 (c)安藤ゆき/集英社
「町田くんの世界」 © 安藤ゆき/集英社


安藤ゆき 自画像
© 安藤ゆき
あんどう・ゆき
 大阪府生まれ。2004年に『星とハート』でデビュー。「別冊マーガレット」(集英社)を中心に活躍。現在、同誌に『町田くんの世界』を連載中。(2016年4月27日現在)

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■短編賞■ 「じみへん」 中崎タツヤさん

親との同居問題に悩む宇宙人と人間の恋人。わけありの女ばかりを薦めるポン引き。炊きたてご飯を土足で踏ませるストレス解消教室……。「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の片隅で1989年から昨年まで、「地味に変な笑い」を提供してきた。。

 1955年、愛媛県生まれ。78年デビュー。食べ物、ギャンブル、セックスなど、下世話なネタをズレた笑いへ転化させる探究はいつしか宗教的境地へ。徹底して物を持たない生活をし、原稿は焼却、完結と同時に断筆。受賞の言葉も「じみへん」節全開だ。

 「認められて喜ぶ自分がいる。それを見てバカじゃねーのと思う自分がいて。面倒くさい。というのが、賞に対する気持ちの説明としてしっくりくる」

© 中崎タツヤ/小学館
「じみへん」 © 中崎タツヤ/小学館



なかざき・たつや
 1955年、愛媛県生まれ。1989年、「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて『じみへん』を連載開始。2015年に還暦を迎え漫画家を引退するまで、26年に渡り連載。1992年、『問題サラリーMAN』で第38回文藝春秋漫画賞受賞。主な作品に、『身から出た鯖』『男の生活』『もたない男』など多数。
中崎タツヤ 自画像
© 中崎タツヤ

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■特別賞■ 京都国際マンガミュージアム

 マンガ学部のある京都精華大と京都市の共同事業として開館し、今年11月に10周年を迎える。元小学校の建物を利用し、地域住民も運営に参加する。

 展示の企画や研究を行う博物館機能と、図書館機能を持つ。蔵書30万冊のうち5万冊が総延長200メートルの書棚「マンガの壁」に並び、館内や芝生の上などで読める。昨年の来館者は約30万人で、うち外国人は過去最高の5万人弱。日本のマンガ文化にたっぷり触れられる人気スポットだ。

 養老孟司館長は「館内では仏師の寄木造(よせぎづくり)による『火の鳥』が美しく羽を広げています。手塚先生にも『行ってみたい!』と思っていただけるような館運営に、今後も真摯(しんし)に取り組んで参ります」。

京都国際マンガミュージアムの「マンガの壁」と上田修三事務局長=京都市中京区
京都国際マンガミュージアムの「マンガの壁」と上田修三事務局長=京都市中京区


京都国際マンガミュージアム

 2006年11月、京都市とマンガ学部を擁す京都精華大学との共同事業として開館。図書館と博物館の機能を兼ね備えた、日本初のマンガの総合文化施設。建物は市中心部にある昭和初期建造の元小学校をリノベーションした。所蔵資料は約30万点。開架書棚「マンガの壁」に並ぶ約5万冊のマンガは手に取って館内や芝生の上で読める。

 


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20周年記念サイト




受賞の記録
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第21回(2017年)
★ノミネート作品

第20回(2016年)
★受賞者 ★選考結果
★ノミネート作品

第19回(2015年)
★受賞者  ★選考結果
★ノミネート作品

第18回(2014年)
★受賞者 ★贈呈式 ★選考結果
★ノミネート作品 ★トピックス

第17回(2013年)
★受賞者 ★贈呈式 ★選考結果
★ノミネート作品

第16回(2012年)
★受賞者 ★贈呈式 ★選考結果
★ノミネート作品

第15回(2011年)
★受賞者 ★贈呈式 ★選考結果
★ノミネート作品

第14回(2010年)
★受賞者 ★贈呈式 ★選考結果
★ノミネート作品

第13回(2009年)
★受賞者 ★贈呈式 ★選考結果

第12回(2008年)
★受賞者 ★選考結果

第11回(2007年)
★受賞者 ★選考結果

第10回(2006年)
★受賞者 ★選考結果

第9回(2005年)
★受賞者 ★選考結果

第8回(2004年) ★受賞者

第7回(2003年) ★受賞者

第6回(2002年) ★受賞者

第5回(2001年) ★受賞者

第4回(2000年) ★受賞者

第3回(1999年) ★受賞者

第2回(1998年) ★受賞者

第1回(1997年) ★受賞者