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第21回(2017年)手塚治虫文化賞■  マンガ大賞は「花に染む」


 マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の第21回受賞作が決まりました。

 第21回は、2016年に刊行されたマンガ単行本を選考の対象にしています。書店員やマンガ雑誌編集者ら約200人による「関係者推薦」の結果も参考に、8人の社外選考委員がポイント投票を行いました。選考委員の持ち点は各15点で、最高点を5点とし配分します(ただし5点満点は1作品のみ)。【→ 選考結果詳細はこちら】


 この1次選考で上位を占めた作品の中から8作品が「マンガ大賞」の最終選考にノミネートされました(うち『ゴールデンカムイ』は関係者推薦1位)。ノミネート8作品は最終選考委員会で審議され、その結果、マンガ大賞にくらもちふさこさんの『花に染む』が選ばれました。 【→ 参考リンク:第21回 ノミネート作品はこちら】


 また、選考委員それぞれが推薦する作者・作品について審議した結果、「新生賞」には雲田はるこさん(『昭和元禄落語心中』で、落語を巡る愛憎劇に高座の巧みな描写を織り交ぜた清新な表現に対して)、「短編賞」には深谷かほるさんの『夜廻り猫』「特別賞」に秋本治さん(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』40年の連載完結に対して)が選ばれました。 【→参考リンク:手塚治虫文化賞とは】


【→ 選考結果はこちら】 【→ 選考委員一覧・選考委員のコメントはこちら】 【→ 贈呈式のようす】



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手塚治虫文化賞 第21回マンガ大賞受賞作品「花に染む」

 

『花に染む』くらもちふさこさん

手塚治虫文化賞 第21回マンガ大賞受賞作品「花に染む」(c)くらもちふさこ/集英社
『花に染む』 (c) くらもちふさこ/集英社


◆ 作者 受賞コメント ◆


 和弓を題材に扱う際、弓を射る音を側で聞きたくて習ったのですが、技術的な事以外に体得することが多々ありました。日本語の語源から身体の仕組みまで、普段の生活で感じる不思議の答えを弓の中で見つけることもあり、意外なところにルーツはあるものです。
 これまでの執筆活動の中で最も難産だったこの作品。神事、和弓、刑事事件、分からないことばかりで、執筆時間の半分以上を調べ事に費やしました。がんじがらめだなと感じながら描いている時、ふと、『火の鳥』の我王の木彫シーンと重ね乗り切れたことがありました。
 少女漫画で活動してきた私ですが、幼年時代は手塚漫画で育ちました。この度の受賞で手塚漫画がルーツとは恐れ多くて申し上げられませんが、出発点ですと語れることを幸せに思います。有り難うございました。


◆ ストーリー ◆


 宗我部花乃は、弓道を通じて親しくなった隣の神社の男の子・陽大とは"親友"の仲。
ふたりが中学生の時に、神社が火事になる。その火事で両親と兄・陽向を亡くした陽大は、いとこの雛のうちに引き取られることに。離ればなれになったふたりだったが……?


 

手塚治虫文化賞 第21回マンガ大賞受賞作品「花に染む」(c)くらもちふさこ/集英社
『花に染む』 (c) くらもちふさこ/集英社


 


◆ くらもち・ふさこ ◆


手塚治虫文化賞 第21回マンガ大賞受賞者 くらもちふさこプロフィール

 東京都出身。1972年に『メガネちゃんのひとりごと』で「別冊マーガレット」にてデビュー。
代表作に『おしゃべり階段』『いつもポケットにショパン』『東京のカサノバ』『天然コケッコー』など多数。
現在、ココハナ(集英社)にてエッセー『とことこクエスト』を連載中。



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手塚治虫文化賞 第21回新生賞 雲田はるこさん

 

雲田はるこさん
『昭和元禄落語心中』(講談社)で落語を巡る愛憎劇に高座の巧みな描写を織り交ぜた清新な表現に対して

手塚治虫文化賞 第21回新生賞 雲田はるこさん 『昭和元禄落語心中』(c) 雲田はるこ/講談社
『昭和元禄落語心中』 (c) 雲田はるこ/講談社


◆ 作者 受賞コメント ◆


 この度は、敬愛する手塚先生のお名前を冠する賞を頂戴しまして、かけがえのない光栄を感じております。また、落語家さん方の絶え間ない研鑽の賜物である、古典落語の力におおいに頼らせて頂いた漫画ですので、其方へも感謝を申し上げます。
 落語と漫画は似ている、と手塚先生がおっしゃっていました。三題噺の形で作る限り永遠にアイデアは湧くとも、古典を存続させる為には、若い人が聞きたがる工夫をすべきだともおっしゃってました。遠い未来「落語心中」作中のようなあの世の寄席で、この賞をご縁に手塚先生にお会い出来る光栄があったら、そんな落語のお話を聞かせて頂きたいです。
 落語と漫画の末永い発展の一助になれていたら幸いです。それを誇りに今後も漫画に励んでゆきます。


◆ ストーリー ◆


 昭和最後の大名人・有楽亭八雲に、押しかけ弟子入り志願した元チンピラ・与太郎。弟子など一切取らぬはずの八雲が、何のきまぐれか与太郎を受け入れることに……。そこから始まる、夭逝した伝説の天才落語家・助六と、彼の影を追いながら一人落語界に残された八雲の因縁噺とは!?


 

手塚治虫文化賞 手塚治虫文化賞 第21回新生賞 雲田はるこさん(c) 雲田はるこ/講談社
『昭和元禄落語心中』 (c) 雲田はるこ/講談社


 


◆ くもた・はるこ ◆


手塚治虫文化賞 第21回新生賞受賞者 くもたはるこプロフィール

 2008年、短編『窓辺の君』(東京漫画社)で雑誌デビューし、翌年初単行本化。
10年に初の長期連載『昭和元禄落語心中』を「ITAN」(講談社)にて執筆開始。
同作完結後は三浦しをん原作の『舟を編む』(光文社)を「ITAN」にてコミカライズ連載中。



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手塚治虫文化賞 短編賞 『夜廻り猫』(c)深谷かほる/講談社

 

『夜廻り猫』深谷かほるさん

手塚治虫文化賞 短編賞 『夜廻り猫』(c)深谷かほる/講談社社
『夜廻り猫』(c)深谷かほる/講談社


◆ 作者 受賞コメント ◆


 手塚治虫作品は、もちろん読んでアニメも観て育ちました。中でも『きりひと讃歌』『ブラックジャック』は大好きです。そして私にとって手塚作品は素晴らし過ぎ、太陽や月のように遥か彼方で輝くものなのです。漫画表現はほとんど全てが手塚先生の遺産であり、私も先生から言葉を与えていただいて、今、誰かに漫画という手紙を書くことが出来るのだと思っています。
 それにしてもその手紙はちっぽけな葉っぱの手紙のようなもので、太陽や月が見てくれているとは夢にも思いませんでした。『夜廻り猫』は依頼もなく、ただ描きたくて描いた漫画です。出版社に持ち込みする自信もないから、ツイッターにアップしていたのです。それが、手塚治虫文化賞。本当かなあ? 今も九割方、信じられてません。


◆ ストーリー ◆


 涙の匂いをたどってやってくる『夜廻り猫』こと遠藤平蔵。傷つき涙する者を励ますために毎夜、現れる。「生きてるだけで大仕事」――。遠藤と共に夜廻りをする子猫の重郎や彼らを見守る片目の猫・ニイなど個性豊かなキャラクターたちが今夜もあなたとともに涙します。


 

手塚治虫文化賞 短編賞 『夜廻り猫』(c)深谷かほる/講談社
『夜廻り猫』(c)深谷かほる/講談社


 


◆ ふかや・かおる ◆


手塚治虫文化賞 第21回短編賞受賞者 ふかや・かおるプロフィール

 福島県出身。2015年10月、Twitterにて『夜廻り猫』の連載を開始。
代表作は『エデンの東北』(竹書房)、『ハガネの女』 『カンナさーん!』(ともに集英社)など。



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手塚治虫文化賞 特別賞 秋本治さん

 

秋本治さん
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)40年の連載完結に対して

手塚治虫文化賞 特別賞 秋本治さん 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(c)秋本治/集英社
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(c)秋本治/集英社


◆ 作者 受賞コメント ◆


 名誉ある手塚治虫文化賞特別賞に選んでいただき、嬉しいです。『こちら葛飾区亀有公園前派出所』は漫画家としてのデビュー作であり、試行錯誤しながら、毎週描いていました。
 思い通り描けず落ち込んだり、予想以上に描けてホッとしたりと、波瀾万丈の40年間でした。
 作品が完結してからも、評価されて、漫画家として大変有り難い事だと思います。


◆ ストーリー ◆


 破天荒警官・両津勘吉が大暴れするギャグ漫画。連載を続けるうち、下町の生活と人情を描いたり世相や流行をいち早く取り入れたりと、幅広い内容を扱う作品となっていった。単行本は全200巻で、「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」のギネス世界記録を持つ。


 

手塚治虫文化賞 特別賞 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(c)秋本治/集英社
『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(c)秋本治/集英社


 


◆ あきもと・おさむ ◆


手塚治虫文化賞 第21回特別賞受賞者 あきもと・おさむるプロフィール
和田篤志撮影

 1952年、東京都葛飾区生まれ。
76年、「週刊少年ジャンプ」にて『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でデビュー。
同年発行の42号から2016年42号まで、40年間一度も休載せず週刊連載を続けた。
2016年12月より、青年誌4誌に4作品を同時連載中。



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