手塚治虫文化賞

第3回マンガ優秀賞

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マンガ優秀賞

さそうあきら 『神童』(双葉社)

《音楽を表現すること》

 音楽はそれ自体が計れないほど大きな力を持った表現です。

 しかし、発信された音楽にむかって傾けられた耳がないとその表現は死んでしまいます。『神童』の中で僕は音楽を耳の問題として表現しようと思いました。

 どういうふうに耳を傾ければ音楽が音楽として聞こえてくるのか?

 音楽を音だけではなく、絵だけでもなく、エピソードとして表現すること。それが僕の考えた方法でした。

 しかし、僕は音楽について何かを人に語るほど音楽を大切に扱ってきたわけではありません。描き進むにしたがって、僕の中には今まで散々無駄にしてきた音たちが後悔の念とともによみがえってきました。

 主人公=うたに教わることは、作者である僕にとっても少ないものではなかったのです。

 うた、そしてこの作品を支えてくれた皆さん、本当にありがとうございました。


《さそうあきら》

 本名・佐草晃。1961年、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。84年、講談社ちばてつや大賞を受賞し、『シロイシロイナツヤネン』でデビュー。愛やセックス、犯罪をテーマに、シニカルな視点から現実を淡々と描く作風で知られる。主な作品に『愛がいそがしい』『俺たちに明日はないッス』『拳骨』『タマキトヨヒコ君殺人事件』『虫2タマガワ』など。今回の受賞作『神童』は97年から「漫画アクション」に連載された異色の音楽ドラマで、98年、第4巻をもって完結した。画面から「音」を感じさせる描写でマンガの新しい可能性を示したとして、99年、第2回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞している。

※受賞者プロフィールは当時のものです。