手塚治虫文化賞

第3回特別賞

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特別賞

夏目房之介 「マンガ批評の優れた業績に対して」

《「もう一人の父」の賞》

 物心ついて以来マンガ好きで、小学校卒業のときの夢は手塚さんみたいになることでした。大学を出て自費出版したマンガを、無謀にも手塚さんにお送りして、きちんと自筆の葉書をいただきました。今でも大事にもっています。

 マンガを描いたり、文章を書いたり、模写によるマンガ批評なんて妙なことをしたりしているうちに、手塚さんが亡くなりました。とりつかれたように『手塚治虫はどこにいる』という本を書いて、それからマンガ批評に本格的にのめりこみました。

 それらの仕事を、敬愛する選考委員の方々に推していただいたことが何よりの喜びです。今年二月に父が亡くなり、没後十年の手塚さんの賞をいただくということに、不思議なものを感じます。手塚さんは、私のもう一人の父のような存在でしたから。

 お礼を申し上げたい方は星の数ほどいます。資料面で助けていただいた市井の収集家の方々、編集者、研究者、友人たち。そして、妻や息子たちにも感謝を。

 ほんとうに、ありがとうございました。


《夏目房之介》

 なつめ・ふさのすけ。1950年、東京都生まれ。青山学院大学文学部卒。出版社に勤務の後、マンガ、イラストレーション、マンガ評論、エッセイなど多方面で活躍。82年から「週刊朝日」に「ナンデモロジー學問」を9年間にわたって連載するなど、マンガ・コラムニストとしての作品には定評があるが、近年は新たな方法論によるマンガ批評に意欲的に取り組んでいる。『夏目房之介の漫画学』『マンガの読み方』(共著)『手塚治虫の冒険』『青春マンガ列伝』『マンガはなぜ面白いのか』『マンガと「戦争」』などの著書があるほか、NHKの「BSマンガ夜話」などテレビ出演も多い。

※受賞者プロフィールは当時のものです。