

マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の第14回受賞作が決まった。マンガ大賞は山田芳裕さんの「へうげもの」が受賞。新生賞は「虫と歌」の市川春子さん、短編賞はヤマザキマリさんの「テルマエ・ロマエ」が選ばれた。特別賞はマンガ評論家の故米沢嘉博さんに決まった。
審査対象は昨年単行本が出た作品。最も優れた作品に贈るマンガ大賞は、専門家や書店員の推薦を参考に社外選考委員が持ち点15点(1作につき最高5点)で投票した。上位7作のうち、辞退した「ONE PIECE」を除く6作を候補とした。
選考委員会では議論が白熱するなか、「へうげもの」がじわじわ支持を広げた。茶道を通じて戦国の世を描く独自の視点が高く評価され、「利休の死以降、クライマックスへ向かいつつある今が評価の好機」(村上知彦)という声もあって大賞に決まった。
「この世界の片隅に」は「平凡な日常を丹念に描くことで原爆の残酷さを浮き彫りにした」(中条省平)、「イムリ」は「世界観も絵柄も個性的なSFの秀作」(永井豪)と推す声が上がり、最後まで大賞を争った。
「闇金ウシジマくん」は「絶望的な状況の人間を描くうまさが冴えている」(印口崇)、「かむろば村へ」は「田舎の村を舞台に『生きる』という原初的なエネルギーを思い出させてくれる」(竹宮恵子)、「ひまわりっ〜健一レジェンド〜」は「炸裂するギャグの中にそこはかとなく哀愁が漂う」(藤本由香里)などと評価されたが、一歩及ばなかった。
清新な才能や斬新な表現に与えられる新生賞は「エロチシズムを漂わせつつ、他者とつながり得た瞬間の輝きを見事に切り取った」(三浦しをん)と評価された市川春子に決まった。
短編賞の「テルマエ・ロマエ」は「題材の意外性でこれだけ笑わせてくれるとは」(呉智英)などと多くの支持を集めた。
特別賞は選考委員の意見を参考に朝日新聞社が決めた。昨年の記念図書館開館を機に業績に改めて光が当てられた米沢嘉博を選んだ。=敬称略