手塚治虫文化賞

第15回手塚治虫文化賞 選考結果

マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の第15回受賞作が決まった。マンガ大賞は村上もとかさんの「JIN―仁―」と、松本大洋さんと永福一成さんの「竹光侍」の2作が受賞。新生賞は「鋼の錬金術師」の荒川弘さん、短編賞に「C級さらりーまん講座」などの山科けいすけさんが選ばれた。

選考経過

審査対象は2010年刊行・発表の作品。最も優れた作品に贈るマンガ大賞は、専門家や書店などによる推薦を参考に、社外選考委員が持ち点15点(1作につき最高5点)で投票した。上位10作のうち、辞退した作品を除く8作を候補とした。

 最終選考委員会の議論では、共に江戸時代が舞台の「JIN―仁―」と「竹光侍」が拮抗した。「JIN」は「生涯を通じて生命を描いた手塚治虫先生の賞にふさわしい」(永井豪)とメッセージ性が、「竹光侍」は「作画技術の高度さにおいて日本マンガの最先端」(中条省平)と芸術性が支持された。決選投票でも票が割れ、09年以来、2度目の2作受賞となった。

 「ファンタジウム」は「難読症の少年が、少しずつ前へ進む姿を丁寧に描いている」(三浦しをん)、「鋼の錬金術師」は「時代を代表する作品が、最後まで緊張感をもって完結した」(藤本由香里)と評価が高かったが、及ばなかった。

 新生賞は、大賞に届かなかった「鋼の錬金術師」の荒川弘が圧倒的な支持で決定。連載デビュー作であることに加え、「月刊少年ガンガン」という従来とは異なるタイプの掲載誌が、少年漫画界での地位を確立したことが受賞理由に挙がった。

 短編賞は、「ブラックでありながら、分かりやすい笑いは他にない」(呉智英)と推された山科けいすけに決まった。「山本耳かき店」の安倍夜郎も評価が高かった。=敬称略

社外選考委員の方々=敬称略、50音順

  • 印口崇(評論家)
  • 呉智英(評論家)
  • 竹宮惠子(マンガ家・京都精華大マンガ学部長)
  • 中条省平(学習院大教授)
  • 永井豪(マンガ家)
  • 藤本由香里(評論家・明治大准教授)
  • 三浦しをん(作家)
  • 村上知彦(評論家・神戸松蔭女子学院大教授)

1次選考結果(5位まで)

  • (1)鋼の錬金術師(荒川弘、スクウェア・エニックス)=8点(藤本5、中条3)
  • (1)海街diary(吉田秋生、小学館)=8点(村上5、藤本3)→辞退
  • (3)中春こまわり君(山上たつひこ、小学館)=6点(呉3、村上3)
  • (3)シグルイ(作・南條範夫、画・山口貴由、秋田書店)=6点(三浦4、永井2)
  • (5)逢魔が橋(近藤ようこ、青林工藝舎)=5点(呉5)
  • (5)竹光侍(松本大洋、作・永福一成、小学館)=5点(中条5)
  • (5)ファンタジウム(杉本亜未、講談社)=5点(三浦5)
  • (5)天体戦士サンレッド(くぼたまこと、スクウェア・エニックス)=5点(印口5)
  • (5)JIN―仁―(村上もとか、集英社)=5点(永井5)
  • (5)乙嫁語り(森薫、エンターブレイン)=5点(竹宮3、村上2)→辞退