手塚治虫文化賞

第16回手塚治虫文化賞 選考結果

 マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の第16回受賞作が決まった。マンガ大賞は岩明均さんの「ヒストリエ」が受賞。新生賞に「シュトヘル」の伊藤悠さん、短編賞には「酒のほそ道」などのラズウェル細木さんが選ばれた。特別賞は、東日本大震災の被災地、仙台市の書店で回し読みされた「あの少年ジャンプ」となった。贈呈式は5月25日、東京の浜離宮朝日ホールで。大賞にはブロンズ像と副賞200万円、新生賞、短編賞、特別賞にはそれぞれブロンズ像と副賞100万円が贈られる。

選考経過

 審査対象は2011年刊行・発表の作品。最も優れた作品に贈るマンガ大賞は、専門家や書店などによる推薦を参考に、社外選考委員が持ち点15点(1作につき最高5点)で投票。上位6作に候補を絞った。

 最終の選考委員会では、1次選考で首位につけた「ヒストリエ」に支持が集まった。アレクサンドロス大王配下の実在人物の物語だが、「史実通りならば結末がわかっているのにドキドキさせる」(ブルボン小林さん)、「力の抜けた表現による浮遊した感じは現代の若者に通じる」(中条省平さん)と評価され、大賞に決まった。

 続いて評価が高かったのが、将棋の少年棋士が主人公の「3月のライオン」。勝負や周囲との交流を通じて成長する姿に、「実存的な示唆に富んだ展開」(竹宮惠子さん)と推す声が上がったが、及ばなかった。

 いがらしみきお「I」も満遍なく評価されたが、「まだ1巻しか刊行されてなく、先を見たい」という意見が大勢となった。

 新生賞は、伊藤悠の「シュトヘル」が「文字の問題をマンガでとらえ、今まで読んだことのない世界」(あさのあつこさん)と支持を獲得した。

 短編賞は、「雑誌の中でほっとさせる役割が短編にはある」(中野晴行さん)と推された酒のみマンガのベテラン、ラズウェル細木が、「竜の学校は山の上」の新鋭、九井諒子に競り勝った。

社外選考委員の皆さん=敬称略、50音順

  • あさのあつこ(作家)
  • 竹宮惠子(マンガ家・京都精華大学マンガ学部教授)
  • 中条省平(学習院大学教授)
  • 永井豪(マンガ家)
  • 中野晴行(マンガ編集者)
  • ブルボン小林(コラムニスト)
  • ジャクリーヌ・ベルント(京都精華大学マンガ学部教授)
  • ヤマダトモコ(マンガ研究者)=最終選考委員会は欠席

1次選考結果

 (1) ヒストリエ岩明均、講談社
 =14点(永井4、中条3、ブルボン3、あさの2、竹宮2)
 (2) あの日からのマンガしりあがり寿、エンターブレイン
 =10点(ヤマダ5、中条3、竹宮2)
 (3) 3月のライオン羽海野チカ、白泉社
 =9点(永井5、竹宮4)
 (4) ちはやふる末次由紀、講談社
 =7点(竹宮4、あさの3)
 (5) 進撃の巨人諫山創、講談社
 =6点(あさの3、竹宮3)
 (5) I【アイ】いがらしみきお、小学館
 =6点(中条3、ベルント3)
 ◎以上、マンガ大賞ノミネート作品
 
 イムリ三宅乱丈、エンターブレイン
 おやすみプンプン浅野いにお、小学館
 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN  安彦良和、角川書店
 キングダム原泰久、集英社
 グラゼニアダチケイジ/森高夕次(原著)、講談社
 結界師田辺イエロウ、小学館
 COPPELION井上智徳、講談社
 コミック みえない雲アニケ・ハーゲ(イラスト)/グードルン・バウゼヴァング(原著)
/高田ゆみ子(翻訳)、小学館
 コルセットに翼もと なおこ、秋田書店
 坂道のアポロン小玉ユキ、小学館
 静かなるドン新田たつお、実業之日本社
 昭和元禄落語心中雲田はるこ、講談社
 ジョジョの奇妙な冒険 Part7
 STEEL BALL RUN
荒木飛呂彦、集英社
 鈴木先生武富健治、双葉社
 つらつらわらじオノ・ナツメ、講談社
 人間失格古屋兎丸/太宰 治(原著)、新潮社
 羊の木いがらしみきお/山上たつひこ(原著)、講談社
 BILLY BAT浦沢直樹/長崎尚志(ストーリー共同制作)、講談社
 百鬼夜行抄今市子、朝日新聞出版
 臏(ビン)〜孫子異伝〜星野浩字、集英社
 冒険エレキテ島鶴田謙二、講談社
 星を継ぐもの星野之宣/J・P・ホーガン(原著)、小学館