手塚治虫文化賞

第17回手塚治虫文化賞 選考結果

 マンガ文化に大きな足跡を残した手塚治虫の業績を記念する手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の第17回受賞作が決まった。マンガ大賞は原泰久さんの「キングダム」が受賞。新生賞に「Sunny Sunny Ann!」の山本美希さん、短編賞には業田良家さんの「機械仕掛けの愛」が選ばれた。特別賞の授賞は見送られた。贈呈式は5月31日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで。大賞にはブロンズ像と副賞200万円、新生、短編の各賞にはそれぞれブロンズ像と副賞100万円が贈られる。

これまでにない視点を評価

 選考対象は、昨年に刊行・発表された作品。マンガ大賞は、専門家や書店からの推薦を参考に、社外選考委員が15点ずつの持ち点(1作につき最高5点)で投票(第1次選考)。合計点の上位7作に絞り、最終選考会で議論した。

 点数上位の「3月のライオン」や「I【アイ】」を退け、最終的な委員投票で差をつけたのは「キングダム」だ。「破格のエンターテインメント」として、最初から投票したのは中野晴行さんだけだったが、7作が出そろった後にキングダムを読んだ委員たちから評価する意見が相次いだ。

 「実際に大勢の兵がどのように動くか、という戦局を楽しむことが出来る点がこれまでになかった」(竹宮惠子さん)「これだけ夢中になって、30巻近くを連続して読んだのはいつ以来だろうか」(永井豪さん)

 「3月」についてはヤマダトモコさんらが推したが、近刊の内容に対する評価が割れた。「I」の作者であり、「羊の木」の作画を手がけたいがらしみきおさんへは、ジャクリーヌ・ベルントさん、中条省平さんが強く支持したが、「キングダム」に競り負けた。

 ブルボン小林さんが「いきなり熱量の高い展開で見せきった」と推した「ハイスコアガール」は、「フレッシュな才能に与えるという意味ならとてもよくわかる」(中条さん)。「昭和元禄落語心中」とあわせて新生賞候補に移動した。

 作家に贈る新生賞は「ハイスコア」「昭和元禄」の作者をあわせた9人が審査対象になったが、「昔のロードムービーを見るようですてき」(中野さん)などと評価された「Sunny Sunny Ann!」の山本美希さんに軍配が上がった。

 電子書籍作品も候補に挙がった短編賞は「ロボットを使って愛を語るのがおもしろい」(あさのあつこさん)などと評価された業田良家さんの「機械仕掛けの愛」が、投票で「すーちゃんの恋」(益田ミリさん)や「ペコロスの母に会いに行く」(岡野雄一さん)など6作を抑えた。

社外選考委員の皆さん=敬称略、50音順

  • あさのあつこ:作家
  • 竹宮惠子:マンガ家・京都精華大学マンガ学部教授
  • 中条省平:学習院大学文学部教授
  • 永井豪:マンガ家
  • 中野晴行:マンガ編集者
  • ブルボン小林:コラムニスト
  • ジャクリーヌ・ベルント:京都精華大学マンガ学部教授
  • ヤマダトモコ:マンガ研究者

■第1次選考結果(7位まで)

 (1) 3月のライオン(羽海野チカ、白泉社)
 =11点(ヤマダ5、竹宮3、永井3)
 (2) I【アイ】(いがらしみきお、小学館)
 =9点(ベルント5、中条4)
 (2) 羊の木(原作・山上たつひこ/作画・いがらしみきお、講談社)
 =9点(中条5、ベルント4)
 (4) 銀の匙 Silver Spoon(荒川弘、小学館)
 =6点(あさの4、中野2)
 (4) 昭和元禄落語心中(雲田はるこ、講談社)
 =6点(あさの3、竹宮3)
 (4) ハイスコアガール(押切蓮介、スクウェア・エニックス)
 =6点(竹宮3、ブルボン3)
 (7) キングダム(原泰久、集英社)
 =5点(中野5)