これまでの取り組み
整理回収機構をめぐる報道で見解(07年8月)
栃木県の温泉旅館の破産手続きをめぐる本紙記事(07年4月8日付と4月24日付)と週刊朝日(5月4・11日号)の記事について、破産を申し立てた整理回収機構が「事実を歪曲した記事で信用を傷つけられた」と救済を求めた。報道と人権委員会は2007年8月20日、見解を決定し、4月8日付記事について、「取材記者を含む関係者の法制度に関する理解・知識の不足や、法的正確性を十分吟味し得ていないと思われる第三者発言の引用、より丁寧な補充説明や配慮の不足、恣意的なデータの使い方など、いくつかの問題がある」と指摘したうえで、「この記事により、機構に対する客観的な社会的評価が低下したとまでは認めらない」とし、朝日新聞社に救済措置を求めないと判断した。その一方で、記事にいくつかの問題があることや、記事掲載後に事態が進展していることなどを踏まえ、現状を紙面で報告することを朝日新聞社に要望した。4月24日付本紙と週刊朝日の記事については、機構側の主張を退けた。
公安委員長の政治献金の記事をめぐる申立をあっせん解決(05年2月)
山口県公安委員会委員長(当時)による知人の国会議員らへの政治献金を「中立性に疑問」と報じた西部本社版の記事について、この元委員長が「公安委員の献金は合法であり、記事で名誉が傷つけられた」と申し立てた。委員会は「記事の事実関係には誤りがなく、名誉権を侵害しているかどうかは即断できない。むしろ、公安委員会制度の趣旨と一般の人が抱いている公安委員の中立性への期待などを踏まえ、あるべき公安委員会像を考えてもらう記事を紙面化してはどうか」とするあっせん案を提示した。申立人、朝日新聞社の双方が受け入れ、西部本社版に特集記事が掲載された。
神戸連続児童殺傷事件をめぐる記事で「見解」を決定(02年10月)
97年に起きた神戸連続児童殺傷事件で、加害少年が「『体罰を受けた』と供述した」と報じた記事について、少年が通っていた中学の元校長が「事実と異なる捏造報道だ」と謝罪などを求めた。委員会は「捏造の事実は認められない」と判断したうえで、「その後に神戸地検が『少年への体罰はなかった』という捜査結果を発表した段階で、修正が不十分だった」として、読者に改めて伝えるよう求める見解を決定した。朝日新聞社は、この見解を受け入れ、改めて神戸地検の捜査結果を掲載した。
滋賀県版の記事で「見解」を決定(02年3月)
酒気帯び運転で諭旨免職となった中学校教頭が、退職直後に別の地域の町教育委員会の嘱託に採用されたことを報じる滋賀県版の記事の記事をめぐって、前教頭が「名誉を棄損された」と人権救済を申し立てた。記事では、嘱託への採用面接にあたった町教育長が「酒気帯び運転をした事実は把握していなかった」と述べていた。これに対し、前教頭は「面接の際、退職理由として酒気帯び運転を詳細に報告した」と、この談話を否定した。委員会は「酒気帯び運転の事実を報告したかどうかの事実関係の確定は困難」としたうえで、「報道の基本姿勢として、可能な限り、本人の釈明や反論を掲載すべきである」とする見解を決定した。朝日新聞社は、見解を受け入れ、前教頭の反論を掲載した。