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ウィキリークスでスクープ

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米外交公電をもとにスクープ――ウィキリークスからの情報提供で

 朝日新聞は、内部告発情報サイト「ウィキリークス」が入手した米国の外交公電のうち未公開だった日本関係の約7000点について、2011年1月に提供を受けました。先方との金銭の授受は一切なく、我々が報道する内容についても何の条件もつかない、と確認した上のことでした。

 取材班の作業は、そこから始まりました。まず、膨大な量の公電を読み込み、既知の事実に照らし、正確な文脈の中に位置づけていけるよう、努力しました。まるで、砂金探しのような仕事でした。

 そうした作業を経てわかってきたのは、日本の政治家や官僚たちが、米国の外交官たちを相手に交渉ごとにあたる際の、ある種の一貫したパターンです。彼らは、日本国民、特に沖縄県民を相手にした際に口にする表向きの説明とは、まったく異なる言動を、米国相手にみせていました。仲間うちの論理だけで動き、外部の批判を容易に受け付けないという点で「原子力村」にも似たいわば、「日米安保村」の存在が浮かび上がってきたのです。

 実際に記事として報道するまでには、公電を右から左へ垂れ流しするだけで原稿にはしないことを確認し、個別の情報に信憑性があるかどうか、いわゆる「裏を取る」作業を徹底しました。さらに、これが公開されることによって社会が得る利益と不利益を真剣に検討し、情報を厳選した上で、2011年5月、一連の記事としてお届けしました。

 ウィキリークスは、完全な透明性こそが民主主義を保証するものだと考え、あらゆる情報を公開するという原則にこだわっています。今回の公電群も結局は2011年9月、彼らのサイト上で全て公開されました。ただ、そこからは大きなニュースは生まれませんでした。

 新聞を含め、メディアを取り巻く状況が不透明な中で、ウィキリークスのような新しい情報のチャンネルが登場すれば、既成メディアはもはや不要とみなす声もあります。しかし、膨大な情報を精査し、正しい文脈の中にあてはめ、裏を取る作業にあたるという作業は、個人や小さなグループだけでは、短期間のうちにはなしえないのも現状です。

 「知る権利」の行使を読者から付託された報道機関としての朝日新聞には、そうした仕事こそが今こそ求められている――私たちはそう考えました。これからもおごることなく、そうした報道にあたっていきたいと思います。

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