声

読者の自由な言論の場である「声」欄には、全国から毎日平均200通ほどの投書が届きます。政治や経済、社会問題から身近な出来事まで、内容はさまざまです。読者の関心は高く、投書数は20年で1割弱ほど増えています。
小学生から20代前半までの「若い世代」というコーナーもあります。戦場を生き抜き、銃後の戦禍に耐えた人たちが体験をつづる特集「語りつぐ戦争」は数冊の本になっています。
2011年の3月11日以降の投書はほとんど東日本大震災関係でした。東京本社ではピークの1週間ほどは、1日平均の4倍になる400通前後に上り、3月末には約5700通に達しました。被災地の62歳女性は「便箋が入手できなくて」とチラシの裏に思いをつづってくれました。
4月の投書には56歳男性が「震災以来、新聞を開く時間は3倍以上に増加。一つの記事に涙し、一枚の写真に言葉を失い、深い悲しみで見つめた」といい、被災された方々の笑顔に「胸の奥が温かな思いであふれた」と書いています。
5月になると、被災地や避難所でボランティア活動をした方からの投書が増えました。「私で役に立つのか」と不安に思いながらも、「居ても立ってもいられず」に参加した方が多いようでした。
震災から9カ月後の12月11日の「声」欄は特集を掲載。被災者のうち、これまでに投書を寄せてくれた11人のその後を追った特集記事を、翌12日休刊日の朝日新聞デジタル朝刊に掲載しました。1年後の3月は2回に分けて、震災、避難、原発、そして復興と支援の声を特集しました。
「なくなる小出版社に良い本」という投書が、2010年3月に載りました。その朝から注文が殺到、3日間で333冊、3月末には650冊を超えたそうです。出版社の事務所の閉鎖も延期できたといいます。
2011年11月に載った「思い出のカツ、今もサクサク」は学生時代のなじみの店を久々に訪れた感慨をつづった50歳女性の投書です。この投書に店の奥さんが投書で返信。「トンカツ屋、もう少し頑張る」と応えました。掲載直後から店の電話が鳴りやまなくなり、問い合わせの電話がひと月で100件を超えたといいます。いまも続々と人が訪れているそうです。
1本の投書がきっかけになり、共感の輪が広がり、大きな力になることもあります。社会的影響の大きさを自覚し、読者のみなさまの声と真剣に向き合っていきたいと思っています。









