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「みる・きく・はなす」はいま〜阪神支局襲撃事件から25年

2012年4月28日朝刊「みる・きく・はなす」はいま

 1987年5月3日の憲法記念日の夜、兵庫県西宮市の朝日新聞阪神支局に散弾銃を持った目出し帽姿の男が押し入り、入社6年目で29歳だった小尻知博記者を射殺、別の記者に重傷を負わせ、逃走しました。

 その後も、名古屋本社寮が襲われ、1月の東京本社銃撃も発覚。静岡支局爆破未遂が続き、捜査当局は竹下登首相(当時)、中曽根康弘前首相(同)に対する脅迫、元リクルート会長宅への銃撃、愛知韓国人会館の放火も含め、一連の事件を「赤報隊」と名乗る者による連続犯行(警察庁広域重要指定116号)と断定しました。

 すべての事件は2003年3月までに時効を迎え、捜査は終結しましたが、阪神支局事件をきっかけに始まった連載企画「『みる・きく・はなす』はいま」は、事件から25年となる今も続いています。時効までは春・秋の年2回、時効後も春の憲法週間に合わせて掲載してきました。

 事件には、気に入らない主義・主張は言葉でなく銃でもって黙らせるという、市民社会の成り立ちを全否定する考え方が根底にあります。「『みる・きく・はなす』はいま」では、身近な暮らしに潜む、言論に対する有形・無形の「圧力」を取材し、おびえ、すくみ、時には勇気をもって立ち向かう人々の姿を取り上げてきました。メディア自身のあり方も考えながら、社会が自由に語り合える世の中であり続けているのかを、問い続けています。問題意識は若い記者たちで毎年構成される取材班に継承され、2012年5月には、一連の事件とこの25年間の言論状況を振り返る特集紙面も掲載しました。

 阪神支局の3階には、事件の資料を集めた資料室があります。亡くなった小尻記者が事件当時に着ていた血染めのブルゾン、体内で炸裂した無数の散弾粒が写り込んだレントゲン写真、共同・時事両通信社に届いた犯行声明文の実物などを展示しています。2006年の支局建て替えの際、事件を語り継ぐ決意を込めて設けられました。

 記者志望の方やジャーナリズムを学ぶ学生だけでなく、お年寄りや子ども連れの方々もよく訪れます。訪れた人は2012年3月までに社員を含めて4000人を超えました。普段の展示に加え、毎年5月3日には、言論をめぐる過去のさまざまな事件を写真パネルなどで紹介する「『みる・きく・はなす』はいま」展も開き、来訪した方たちの声を紙面で紹介しています。自由な言論の貴さを忘れることなく、朝日新聞社は歩み続けます。

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