1千人が感謝の歌声 東北復興大合唱祭
東北の元気な歌声を届ける「東北復興大合唱祭」(全日本合唱連盟東北支部など主催、朝日新聞社など共催)が4月30日、仙台市青葉区の東北大学百周年記念会館・川内萩ホールで開かれました。東北6県の合唱団から1千人が集まり、仙台フィルハーモニー管弦楽団の演奏とともに、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故の後に全国から寄せられた支援への感謝の歌声を披露しました。
東北6県の中高生や社会人サークルなどの72団体が参加し、指揮者には2012年3月まで仙台フィルの正指揮者だった山下一史氏と、福島県会津若松市出身の佐藤正浩氏を迎えました。合唱団は四つのステージに分かれて、東北ゆかりの「蔵王讃歌(さんか)」や「唱歌の四季」などを披露。全体合唱では「ふるさと」「上を向いて歩こう」を客席と一緒に歌いました。フィナーレの「大地讃頌(さんしょう)」では、総立ちになった観客から盛大な拍手が送られ、歌の力で会場が一体となって復興を誓い合う気持ちを新たにしました。
大合唱祭は、東北の合唱団の「支援に対し、共に歌うことで応えたい」という思いから、全日本合唱連盟東北支部が中心となって初めて企画されました。実行委員長を務めた今井邦男・全日本合唱連盟副理事長は「私たちは震災後『生きて会えた!』という経験を重ねました。『共に歌う』ことは自分と他が共に分かち難く其処(そこ)にいることです。音楽はわれわれが生きていることを一瞬のうちに表現します。それは常に明日に向かう、いのちの表現とも言えるのではないでしょうか」と開催趣旨について述べています。1948年に全日本合唱連盟が設立されてから全日本合唱コンクールの運営などを支援している朝日新聞社もその趣旨に賛同し、復興に向けた取り組みを支援しようと、共催として加わりました。
震災直後に沈黙を余儀なくされた東北の合唱団は、被災地の街角で、または避難所で歌い、被災した人たちの心を癒やしてきました。11年4月に仙台市内で街頭チャリティーコンサートに参加した仙台市立第一中3年の吉田伊里さん(14)たちは、海や川など水の一生を描いた「水のいのち」を歌いました。水をテーマにした歌を歌うことに、最初は戸惑いもありましたが、「水は悲しいことも引き起こすけれど、私たちは水に支えられて生きている。水に助けてもらっているという感謝を歌で伝えることで、復興につながってほしい」と話していました。
岩手県立不来方(こずかた)高校3年の田村千夏さん(17)は、東北沿岸部の小中学校や避難所への慰問コンサートを続ける中で「聞いて下さる人たちの笑顔を見て、たくさんの人とつなげてくれる歌の力を実感した」といいます。大合唱祭では、「復興への祈りを込めて歌い、会場が心一つになったのを感じた」と、語ってくれました。
各地でそれぞれ練習してきた合唱団は本番前日に仙台に集い、交流を深めてから本番に臨みました。本番前夜の交流会では、ピアノの伴奏が始まると、参加した合唱団が次々と壇上に上がって歌い、最後には全員が一緒になって手をつないで歌う場面もありました。本番でも、参加した合唱団や観客が感動して涙する姿が多く見られました。









