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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2014

 

「この地図、どう塗り分ける?」
 ジャーナリスト・池上彰さん@開智中(埼玉)


 「世界の今が知りたい」。そのリクエストに応えようとジャーナリストの池上彰さんが用意したのは、取材先の各国で手に入れた世界地図の数々だった。

 アルゼンチンの地図が黒板に張られた。「自国のすぐ横にあるマルビナス諸島も同じ色にして『うちの国の領土』と主張している。でも英国の地図では……」。同じ島々が英国と同じ色で塗られ「フォークランド諸島」と記されている。池上さんは1980年代、この島々の領有を巡ってアルゼンチンと英国が争った「フォークランド紛争」を解説し、問いかけた。「両国と良い関係でいたい国は地図でこの島をどう色付けするべきか?」

 思案する生徒たちの中から明快な答えが飛び出す。「英国もアルゼンチンも島も同じ色に塗る」。「大正解!」と池上さん。「世界地図では国はいくつかに色分けされている。だからこの2国を同じ色にしちゃえばいい。ほら、実際にカンボジアの世界地図ではそうなっている」

 そのカンボジアの地図を紹介しながら、話は同国の悲しい歴史へ。70年代後半のポル・ポト独裁政権下で、反逆の恐れのある知識層から働き手にならない幼子まで100万人以上といわれる国民が虐殺された。生徒から「国際社会は動かなかったの?」と疑問が飛ぶ。当時カンボジアは鎖国状態で隣のベトナム軍が侵攻して初めて虐殺が表面化したことに触れ、池上さんは続ける。

 「これがきっかけで他国で起きた紛争や虐殺を軍事力で止める『人道的介入』が国際的議論になった。シリアやイスラム国でも同じことが今、問われている」

 そして、こんな「宿題」を出した。「紛争や虐殺を止めることができたとしても他国が軍事力を行使してもいいのか。人道的介入は許されるのか。ここから先はみんなで考えてみてください」

(ライター・中津海麻子 写真家・吉永考宏)


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★ 授業を終えて ★

 ◆ 有馬圭亮(けいすけ)さん
 「独裁=悪と思っていたけれど、行う人によって経済が発展することもあると知りました」

 ◆ 鈴木万璃(まり)さん
 「領土問題は国のメンツで悪化するんですね。相手の国の事情も知り、仲良くできる方法を考えたい」


 ◆ 池上さん
 「普段から『哲学対話』の授業をしていると聞きましたが、疑問を感じたらすぐに質問する。その瞬発力に驚きました。一方的な授業でなく、楽しく刺激的な時間でした」


 【開智中】
 さいたま市、全校943人、溜剛(たまるつよし)校長。授業を受けたのは一貫部3年J組(中3)の31人、担任は根岸巧先生。

 


★ 池上彰さんの本 ★

そうだったのか! 朝鮮半島

『そうだったのか! 朝鮮半島』    
[出版社] ホーム社
[価 格] 1,944円

そうだったのか! 現代史

『そうだったのか! 現代史』
[出版社] 集英社文庫
[価 格] 788円


伝える力

『伝える力』             
[出版社] PHPビジネス新書
[価 格] 864円

おとなの教養

『おとなの教養』
[出版社] NHK出版新書
[価 格] 842円


池上彰の宗教がわかれば世界が見える

『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』
[出版社] 文春新書
[価 格] 864円

 

 

池上彰 (ジャーナリスト)

池上彰 (ジャーナリスト)


いけがみ・あきら 1950年生まれ。
NHK記者出身で、わかりやすいニュース解説で人気に。東京工業大学教授。テレビ、新聞、出版など幅広く活躍。 『池上彰の新聞活用術』(ダイヤモンド社)など著書多数。

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