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朝日新聞社: 好きな作家が特別授業!オーサービジット2016
親子でオーサー・ビジット

森の友達へ、木の実で贈り物
田島征三さん


子どもたちの作品を手に取る田島征三さん=東京都千代田区

子どもたちの作品を手に取る田島征三さん
=東京都千代田区

 絵本作家の田島征三さんを招き、「親子でオーサー・ビジット」(朝日新聞社主催)が三省堂書店神保町本店で同店の協力で開かれ、親子32人が参加した。

 田島さんが出したお題は「森の生き物たちへのおくり物を作ろう」。田島さん作の童話『もりモリさまの森』(理論社)に出てくるキツネやアナグマといった「友だち」に贈る、紙の箱に木の実を並べたプレゼントを作ろうという趣向だ。

 田島さんは事前に、ふたつのルールを作っていた。ひとつは、どんぐりと松ぼっくりは使わない。そして木の実の固定は、動物由来のニカワで行う。これにはわけがあった。

 前者は「木の実にも多くの種類があることを知り、植物に興味を持ってほしい」。後者は「枯れた木の実も生きていたころの記憶を持っている。だから接着剤などの化学物質で痛めつけたくない、命を尊重しよう」というメッセージだ。

 ならば、粗末には扱えない。木の実を大事そうにつかみ、やさしくニカワにつけてはひとつ、またひとつと箱に固定する。子どもたちの作業が始まった。

 枝が細いメタセコイヤやモミジバフウは、箱の底に穴を開けて立ててみたり、"頭"が大きいヤシャブシは寝かせてみたりと手を動かしていく。大人も負けてはいない。円を描くように木の実を並べたお母さん、木の実を積み木のように重ねたお父さん。「どうすれば上手に固定できますか?」などと質問攻めにしたのは大人のほう。親子ですっかり夢中だ。

田島征三作・さとうなおゆき絵『もりモリさまの森』(理論社・1,512円)

田島征三作
さとうなおゆき絵
『もりモリさまの森』
(理論社・1,512円)

 作業を見て回った田島さんが「木の実がおしゃべりしてるみたい」と評したのは、山本結心(ゆみ)さん(小2)の作品だ。箱の両端に木の実が向かい合って並んだもの。「森の生き物に贈るものだから、かわいくしたかった」と結心さん。また、「物語に出てくるタヌキに食べてほしいと思って作った」のは、木村岳(たける)くん(小2)。タイサンボクなど大ぶりの木の実をいっぱい並べた箱はにぎやかだ。

 次々出来上がる作品をカメラに収める家族の姿に、「絵の具や粘土と違って、木の実という生き物を使ってやるのはうまくいかないことが多い。でもそこがいいんだよ。生き物と向き合う面白さを少しはわかってくれたんじゃないかな」と、田島さんは目を細めた。

(ライター・吉岡秀子)



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