どくしょ応援団

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オーサー・ビジット

2006年度のレポート [小学校編]

一宮市立瀬部小(愛知)
一宮市立瀬部小(愛知)
講師:アーサー・ビナードさん
講師プロフィール

授業風景

「〈もしも〉と〈まぬけ〉と〈場所〉が入った物語を作ってみよう」

愛知県一宮市立瀬部小学校(南澤力男校長、552人)6年1組(33人、担任・奥村広樹先生)の教室でこう口火を切ったのは、詩人のアーサー・ビナードさん。最初に『マザーグース』の詩「ゴータム村の三人」を口ずさんで、「〈賢い人〉ばかりだと、つまらない。〈まぬけ〉な人が活躍すると、面白い話が生まれます」。

次いでビナードさんは「サーフィンUSA」という曲を紹介した。「『もしもアメリカ中に海があったら……』という歌詞。〈もしも〉は、新しい世界へ飛んでいくためのバネです」

授業風景
授業風景
授業風景

そして〈場所〉。「場所を限定すると、読者がより物語にひきこまれる。小泉八雲の『むじな』の舞台は、東京・赤坂の紀伊国坂。この坂を通るたび、僕は『のっぺらぼうが出たらどうしよう』って思う」。みんな大笑いだ。

早速、班に分かれて、お話作りが始まる。「だれを主人公にしよう?」と、つまずく班には「身近な人を登場させると話が作りやすいよ」のアドバイス。

物語ができると、次は発表だ。最初の班は「もしも自由にお金が作れたら」。主人公は大金でハワイを丸ごと買った。が、浜辺でサメに襲われそうになった時、目が覚めた。「夢を見ていたのは奥村先生でした!」。担任の顔を見て、教室は笑いの渦。「最後に主人公の正体を明かしたところがいいね」とビナードさん。

次の班は、雨の晩にUFOが墜落するのを目撃した小学生の物語だ。翌朝、墜落現場で宇宙人に会うが、あくまで冷静で、「ゆうべは別のUFOと衝突して不時着しました」と話す宇宙人に「まぬけだなぁ」。ビナードさんは「宇宙人が登場しても大事件にならないところが予想外で、おもしろい」。

美女に見とれて事故を起こし地獄にやってきたまぬけ男が、だじゃれで鬼を喜ばせ、生き返ろうとする話などなど、新鮮な物語の誕生に沸いた2時間だった。

集合写真

河内貴乃さん

「話を作っていくのは大変でしたが、やりがいがありました」

奥村先生

「子どもたちは、協力して物語を作る喜びを感じたようでした」

(文・岡澤香寿美、写真・白谷達也)
(朝日新聞朝刊掲載2007/03/07)