どくしょ応援団

本を読もう。何を読もう? 迷ったら「どくしょ応援団」へ。親子で、ひとりで、夢中になれる本との出会いがここに!

オーサー・ビジット

2012年度のレポート [小学校編]

宮崎市立大淀小

講師:仲道郁代さん

講師プロフィール

授業風景

 ピアニストの仲道郁代さんがぽーんと鍵盤をたたく。輝く音のボールが子どもたちに投げられた。

 難しそうなクラシック音楽も、仲道さんにかかれば、わくわくする謎解き授業に変身する。「ベートーベンは知ってるよね? 彼のソナタには、キリストの運命を示す暗号が隠されてるの」。暗号とは特定の旋律パターンのことだ。

 仲道さんが「月光」を弾き始めた。授業をサポートする大人たちが、メロディーに合わせ、暗号を図にした紙を上げ下げする。曲のどこにどの暗号が隠れているか、目でも理解してもらうためだ。仲道さんは「暗号ミュージック」を通してクラシック音楽に「型」があることを教えた。

 「次は、大淀小の暗号ミュージックを作るよ」

 仲道さんのかけ声で3班ずつ「淀っ子」と「宮崎」の2チームに分かれた。まずは20歳になったとき、自分たちと宮崎がどうなっていて欲しいか、班ごとに一言でまとめる。淀っ子チームは「お酒が飲める」「仕事をしている」「車の運転ができる」、宮崎チームは「都会になっている」「鉄道が便利」「遊べる場所がある」に決めた。

 次は、そのキーワードをイメージした曲作り。木琴や太鼓など、いろいろな楽器を使って8拍のメロディーを考える。それをつなげて一つの曲にする。

 仲道さんを挟んで両チームが向かい合った。演奏会本番。空気が張り詰める。

授業風景
授業風景
授業風景

 「淀っ子、イエーイ! みーやざき!」の掛け声で演奏スタート。仲道さんの伴奏で、お酒を飲んだ楽しげな旋律、急ブレーキやクラクションの交じった旋律、新幹線が走るような旋律……と、クラシック音楽の形式に沿って班から班へ演奏が移っていく。六つの旋律が見事につながった。大淀小ソナタの完成だ。

 「みんなに拍手ー」

 音楽室が鮮やかな音色と拍手でいっぱいになった。

 ●宮崎市。全校生徒804人、松田聖校長。授業には6年3組31人が参加。担当は、担任の水永正宗先生と音楽担当の森永仁美先生。

集合写真

市谷奈菜さん

「初めての楽器を使った合奏は難しかったけど、にぎやかで楽しかった」

山根大生(たいき)くん

「ピアノの音がきれいで、いろんなイメージが浮かびました」

仲道さん

「音楽は自由で誰にも否定されないのがいいところ。音楽の力を信じて、驚いたり、発見したりしてもらえれば、うれしいです」

(ライター・角田奈穂子 写真家・御堂義乗)
(朝日新聞朝刊掲載2013/3/4)