どくしょ応援団

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トライライトノベルス細谷正充

絶望の先に浮かび上がる希望

(1)『闇はあやなし』瀬川貴次
 平安時代を舞台にした、新シリーズがスタートした。不思議な力を持つ、貧乏貴族の暁信(あきのぶ)は、いきなり閻魔(えんま)大王の娘の夜魅姫に惚(ほ)れられた。だが、彼が気になるのは別の女性。かくして始まるのは、物の怪(け)と恋心の入り乱れた大騒動だ。賑(にぎ)やかに燃え上がる恋の炎が、楽しい読みどころといえよう。また、暁信の力の秘密も気になるところ。今後の展開が待ち遠しい。(コバルト文庫・480円)
『闇はあやなし』
著者:
瀬川貴次
出版社:
コバルト文庫
価格:
¥480(税込)
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(2)『プシュケの涙』柴村仁
 校舎の4階から飛び降りて死んだ女生徒を巡る、謎と恋の物語。エキセントリックな探偵役の少年が暴く、少女の死の真相にも驚いたが、それ以上にビックリしたのが、全体の構成だ。かなりの変化球だが、これにより登場人物の悲しみを、鮮やかに表現したのである。読者をとことん切なくさせる、作者の手腕が素晴らしい。(電撃文庫・599円)
『プシュケの涙』
著者:
柴村仁
出版社:
電撃文庫
価格:
¥599(税込)
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(3)『楽園まで』張間ミカ
 第5回トクマ・ノベルズEdge新人賞受賞作。雪の降りやまぬ世界を舞台に、悪魔の烙印(らくいん)を押された少女の、魂の渇望が描かれる。彼女が求める“楽園”とは何か。それが明らかになったとき、絶望の先にある希望が、浮かび上がってくるのである。作者は17歳とのことだが、作品の完成度は高い。将来を期待せずにはいられない、瞠目(どうもく)のデビュー作だ。(トクマ・ノベルズEdge・900円)
『楽園まで』
著者:
張間ミカ
出版社:
トクマ・ノベルズEdge
価格:
¥900(税込)
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細谷正充 ほそや・まさみつ 文芸評論家。1963年埼玉県生まれ。時代小説やミステリー、ライトノベルスなどを中心に評論活動を展開。著書・編著書に『江戸の鈍感力』『宮本武蔵の「五輪書」が面白いほどわかる本』『松本清張を読む』『武士の本懐』など。