
「本の味方」日記
3月8日 次々、新刊! 「出版マラソン」にお付き合いを!
早いもので、このブログも、今回が最終回。先月『かーかん、はあい 子どもと本とわたし2』朝日新聞出版)を出版したばかりだというのに、もう次の単行本と、次の次の単行本と、次の次の次の単行本の準備に追われている。
こんなこと、生まれて初めてだ。去年なんか一冊も本を出さなかったし、一昨年が辛うじて一冊だった。思い起こせばちょうど三年前、子どもが幼稚園に入って少し時間ができたので、いくつかの連載をはじめた。それらが、だいたい一冊分になるような時期に来ているということらしい。
まもなく発売になるのが『たんぽぽの日々』(小学館)。これは「エデュー」という子育てママの雑誌の連載をまとめたもので、短歌とエッセイと市橋織江さんの素敵な写真で構成されている。
来月には『ちいさな言葉』(岩波書店)。これは主に、息子が言葉を覚えるまでの、ゆかいなエピソードを綴ったもの。そして五月には、一青窈さんに私が短歌のレッスンをした『万窈の扉』(角川書店)が出版される予定だ。
以前、大好きな鹿島茂さんが、毎月のように本を出されていて「月刊鹿島茂」と呼ばれておられた。ファンとしては嬉しいけど、なかなか読むのが追いつかない!という状況だったっけ。鹿島先生ほどではないけれど、今年の前半は、はからずもミニ「月刊俵万智」ということになりそうだ。こんなことは、もう二度とないと思う。なので、読者のみなさん、できればこの出版マラソンについてきてください! 私も、がんばります。
さて、長らくのブログのご愛読、ありがとうございました。今、みなさんは、何を読んでおられますか? 私は開高健著『日本三文オペラ』(新潮文庫)を、打ちのめされるように読み進んでいるところ。言葉ってほんとうに凄い、ということを感じつつ……。
3月1日 アドバイスがうれしい、子どもの本の専門店
仙台に「横田や」という店がある。子どもの本と木のおもちゃの専門店だ。そこの店主である横田さんと対談することになったので、事前にちょっとのぞいておこうと思い、息子と一緒に出かけてみた。
もともとお味噌やさんだったという古い日本家屋の店舗。味わいのあるたたずまいだ。ところせましと並んだ絵本や児童書の数々。中には絶版のものや、雑誌のバックナンバーなどもあり、なかなかの品揃え。横田さんは、三十代のころ、谷川俊太郎さんの作品に出会って、この本屋をはじめる決意をしたという。よって谷川俊太郎コーナーが充実しているのは当然だが、レオ・レオニや、長新太など、店主の好みの作家が、店内にいるとじんわり伝わってくる。
息子は、木の椅子にやおら座って、その場で三冊も立ち読み、いや座り読みしてしまった。
「絵本も大好きなんですが、そろそろ幼年童話も楽しめるようになってきて……そういう時期のおすすめの本って、ありますか?」と尋ねると、店内をめぐりながら、本選びにつきあってくださった。そこで購入したもののひとつ、『なん者ひなた丸ねことんの術の巻』(あかね書房)に、今、親子でハマッている。文句なく楽しい物語で、言葉遊びも効いている。こういうアドバイスをもらえるのが、専門店の魅力だなあとあらためて思った。
「本の味方」宣言
じっくりと心の旅、冬の読書
みなさん、こんにちは。冬の応援団長をつとめることになりました。俵万智です。
読書の秋、とはよく言われることですが、秋は、他にもいろいろ忙しい。スポーツの秋だったり、食欲の秋だったり、芸術の秋だったり……。それを思うと、じっくり本と向き合うには、冬という季節は、なかなかいいかもしれません。やや我田引水ではありますが、ぜひ読書の冬を、楽しみましょう!
本は、ひとたび開けば、心をどこにでも連れて行ってくれる。読書は、心の旅……そんなふうに私は感じています。
ひざの上に子を眠らせて短編を一つ読み切る今日のしあわせ
(歌集『プーさんの鼻』より)
冬の応援団長
俵 万智




