論説

 世界と日本のニュースをどう考えるか、徹底的に討論して朝日新聞の主張や見方をお伝えします。

日本の針路、社説特集で提言

 これからの日本は、どのような道を歩んでいったらよいのか。

 日本の中長期的な針路について総合的に提言する社説を2種類、2007年から08年にかけて掲載しました。

 ひとつは、日本国憲法が満60年を迎えた07年5月3日の朝刊に載せた「社説21提言・日本の新戦略」です。

「地球貢献国家をめざして」を総タイトルに、8ページを使って一度に21本の社説をお届けしました。10年後、20年後をにらみながら、21世紀の世界のなかでの日本のあるべき姿について集大成したものです。

目先の国益をこえ、多くの国が利益を分かち合うために、これからは世界の「世話役」になっていこう。それには、省エネ・代替エネなどの技術開発を進めて、地球環境を守る。また、とくにアジアの国々と理解し合い手を結んで、安定した経済圏をつくることが大切だ。

 そして、憲法9条は変えずに、準憲法的な「平和安全保障基本法」をつくって自衛隊を位置づける。そのうえで、紛争地での平和構築活動へも積極的に参加し、よりよい世界づくりにもっと加わっていく……。

 そうした内容です。世界とのかかわり方について提言したものでした。

 では、少子高齢化が進んで山積している国内の課題については、どう対処していったらよいか。それについてまとめたものが、シリーズ社説「希望社会への提言」です。07年10月末から08年4月初めまで、週1回のペースで、こちらは24回に分けて掲載しました。

 高齢者がふえるなかで、人口が減り始めた。社会保障に力を入れたくても、巨額の財政赤字がのしかかる。そこへ、グローバル化という経済の大競争が押し寄せている。そんななかで、私たちはどのようにしたらいいのか。

 年金・介護・医療という高齢者向けの福祉は、少なくとも現在の水準を維持しつつ、少子化対策や雇用、教育にはもっと力を入れて「中福祉」をめざしたい。そんな社会を財政面から支えるためだったら、消費税率がいずれは10%台に乗るような「中負担」も覚悟せざるをえないだろう。

 同時に、自治体を自立した「地域政府」に組み替えて、中央政府の財源も権限も人も徹底的に移す。福祉や教育といった身近なサービスは地域政府が担当し、住民や企業もそこへ積極的に参加していく。経済の競争力をさらに高めて福祉を支える。このような未来図を「連帯型の福祉社会」と名づけてみました。

 日々の社説は、毎日起きる世界と日本のニュースに対してどう考えるか、朝日新聞の主張や見方をお伝えするため、論説委員の徹底した討論のなかから練り上げています。中長期の針路についての2種類の提言は、そうした日々の社説の羅針盤となるものでもあります。

村松泰雄(論説主幹)
 論説委員室は新聞社の小宇宙。世界政治から日々の暮らしまで、腕に覚えの記者たちが、森羅万象を縦横斜めから論じます。批判や異論は大歓迎。明日の日本が今日よりも良くなるためにという思いがエネルギーです。人々が分断され、孤立しがちなこの時代。だからこそ求められる力強い論調づくりに、日々、挑戦。