環境への取り組み

目標は「環境にやさしい新聞作り」。東京本社の地下にある印刷工場もISO14001の認証を取得 紙面でも気候変動による現象を伝えてきた。写真は、エサのアザラシを探して歩くホッキョクグマの親子=北極圏のスバールバル諸島で 朝日新聞社では、地球温暖化対策として風力とバイオマスによる電力を年間120万キロワット購入している

未来の地球と子どもたちのために

 2008年6月の北海道・洞爺湖サミットでは地球温暖化対策が最大のテーマとなりました。報道機関である新聞社ができる地球温暖化対策への最大の貢献は紙面で環境問題の重要性を知らせ、正確で分かりやすい情報を読者に提供することです。朝日新聞社はこの年正月から大型企画記事として「環境元年」シリーズと「地球異変」シリーズをスタートさせ、地球の各地で起きている気候変動による現象を記事と写真で伝えてきました。

 また、洞爺湖サミットに合わせて地球環境シンポジウムを東京で開催。福田康夫首相、マーガレット・ベケット前英国外相、コニーヘデゴー・デンマーク気候エネルギー相らが参加してポスト京都議定書の枠組み作りなどを討議しました。このほか、朝日新聞創刊130周年記念事業として、財団法人森林文化協会とともに、「にほんの里100選」選定事業を進めるなど地球環境保全のための事業を幅広く行っています。

環境にやさしい新聞

 かねてより、地球環境に対する朝日新聞社の関心は高く、半世紀前の1956年に国際地球観測年のための南極観測隊に記者や技術者を派遣し、その後も全面的に応援してきました。その日本隊が世界に先駆けて、オゾンホールを発見したことなど、地球規模の環境変化を解明する上で大きな役割を果たしたことはよく知られています。

 朝日新聞社はもちろん、自らの新聞製作の面でも、「環境にやさしい新聞」を目指してきました。製品である新聞紙に配合されている古紙の割合は76%。これは輪転機によって高速で印刷される新聞の技術的な限界に近いレベルになっています。一方、「新聞はリサイクルの優等生」といわれるように、古紙の回収は全国的にかなり普及しており、新聞インキについても、環境に配慮したエコインキを使用しています。

 朝日新聞社は2001年に定めた「朝日新聞環境憲章」の中で「環境先進企業となるべく、全社をあげて環境改善に努める」ことを宣言しています。そのうえで、地球温暖化対策として、10年度までに全国の本・支社や印刷工場で二酸化炭素(CO2)排出量を01年度に比べ10%削減する計画を進めてきました。

 そのために、朝日新聞を刷る全印刷工場では05年度までに、国際的な環境管理システムISO14001の認証を取得して、工場をあげて地球環境対策への取り組みを始めました。工場の温暖化対策として重点にしているのは、(1)電力などの省エネ(2)紙、インキ、版材など省資源化(3)廃棄物の削減とリサイクル化。例えば、省エネタイプの熱源機器導入や冷凍機の運転時間の最適化などによって電気の使用量を節減することが出来ました。「損紙率は工場のモラルと力量のバロメーター」を合言葉に、印刷の際に出てしまう損紙を減らす努力をして大きな改善が見られました。

CO2削減に向けて

 本社や支社のオフィスの部分でも、空調機やエレベーターを省エネタイプに代えるなど環境対策を進めたほか、冷房の抑制(クールビズ運動)や、環境に関する社内研修などによる啓発を通じ、社員一人ひとりが自覚して省エネに努めてきました。さらに、風力発電やバイオマス発電などの自然エネルギーも毎年120万キロワット取り入れています。

 こうしたオフィスや工場の努力の結果、08年3月末の段階で、CO2排出量を01年度に比べ10%削減する計画は、目標の3年前倒しで達成されたことになりました。計画当初の対象17施設では、01年度排出量11万3100トンの20.3%を削減。計画策定後に新設した京都、阪神工場と、北海道支社の工場の印刷分を移した大曲工場分を含めても、排出量は11.1%削減の10万566トンになりました。

 CO2削減計画は次の新しい計画が出来るまでは継続し、10年度までにさらに上積みしていく努力を続けます。

関連情報

田村啓哉(朝日東京プリンテック 築地工場製作グループ)
 築地工場はじめ各工場ではISO14001の認証も取得して、環境への意識が徹底されています。業務の効率化はもちろん、印刷の際の損紙・損版を減らすことや省エネに取り組んでいます。また、輪転機を清掃するときに使うウェス、軍手は分別して再利用を徹底しています。日々の確実な点検や整備作業で、安定した工程で高品質な紙面を読者に届けるよう努めています。