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  特報

調査報道で「偽装請負」掘り起こす
朝日新聞のミンチ偽装事件の特報をきっかけに、北海道警も捜査に入った

偽装請負が大企業の工場で横行している実態を報じた朝日新聞の記事

 誰かが伝えなければ見過ごされたままになってしまう。人々が知る必要があるのに隠されている。そんな事実を掘り起こし、報道する特報こそジャーナリズムの原点です。

 懸命に働いても正社員になれず、賃金も上がらない。労働者にとって、きわめて不利な働き方に「偽装請負」という雇用形態があります。れっきとした違法行為なのに、ものづくりニッポンの製造現場に広く定着していました。朝日新聞は06年夏以降、調査報道で、その実態を次々と明らかにしました。

 偽装請負は、労働者を使用している実態があるのに、「請負契約」と装って、種々の使用者責任を免れようとする雇用形態です。1990年代以降に広がり、最近まで放置されていました。そこで働く人は、必要なくなれば、すぐにクビにされ、使い捨てられました。正社員との格差はどんどん広がり、労災事故も多発。弊害は行き着くところまできていました。

 一連の報道の結果、大手企業の系列会社などで、偽装請負の労働者を直接雇用しようという動きが表面化しました。厚生労働省も厳正な指導へとカジを切り、初の事業停止命令、刑事告発をするようになりました。記事を読んで初めて自分たちが偽装請負と気づき、社会に向けて声を上げた労働者もいました。

 一連の報道が06年7月31日に始まり、その反響が大きかったことから、ある有識者は「7.31ショック」と呼びました。

 03年鹿児島県議選で公職選挙法違反に問われた12人の被告全員が無罪になった事件では、強引に自白させるなど異常な手法による捜査側の「でっち上げ事件」だったことを06年から07年にかけて、独自に報じ続けました。報道がなければ、判決がどうなっていたことか。警察権力の暴走を周到な取材であぶり出したことは、大いに意義があったと自負しています。

 また、消費者の関心の高い「食の安全」の問題では07年6月、北海道の食品加工業者が長期間にわたり、組織的に牛ミンチに豚肉などを混入させていたことをスクープしました。このミンチの含まれた冷凍コロッケなどの食品は全国に広く流通していましたが、関係者への入念な取材に加え、朝日新聞が独自にDNA鑑定を行うことで偽装を突き止めました。

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