ともに考え、ともにつくる インタビュー
はじめに

 さまざまな分野で活躍されている方々を訪ね、これからのメディアについて語っていただく連載「ともに考え、ともにつくる インタビュー」を始めます。 (3カ月ごとに、年4回のペースで続ける予定です)

 みなさんの豊富なご経験をもとに、幅広い観点からざっくばらんに話していただきます。朝日新聞社への期待やご要望もうかがいます。

 朝日新聞社は今年、「ともに考え、ともにつくる ~みなさまの豊かな暮らしに役立つ総合メディア企業へ」という企業理念をかかげました。それぞれのライフステージやライフサイクルに合わせて、質の高い情報やサービスをさまざまな方法でお届けできる企業へと進化します。
 この連載でうかがったお話も、今後に役立てていきます。

 第1回は、出版大手のKADOKAWAと、「ニコニコ動画」などを運営するドワンゴが2年前に経営統合してできたカドカワの川上量生(のぶお)社長、角川歴彦(つぐひこ)相談役のお二人にご登場いただきます。

朝日新聞社代表取締役社長 渡辺雅隆


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【ともに考え、ともにつくる インタビュー】
果敢にデジタルに突き進め
(カドカワ・川上量生社長、角川歴彦相談役 × 朝日新聞社・渡辺雅隆社長)


※5月17日、東銀座・歌舞伎座タワー12階にて取材したインタビュー記事です。
▼ カドカワ・川上量生社長、角川歴彦相談役のプロフィールはこちら


渡辺・朝日新聞社社長(以下、渡辺) 私どもは、「ともに考え ともにつくるメディア」へと進化するという目標をかかげています。そのためにはどうすればよいか、お話を聞かせていただこうというのが今回の趣旨です。川上さん、角川さんのお二人が一緒に取材を受けたことはめったにないとうかがっています。きょうは取材というわけではありませんが、大変貴重な機会をいただき、ありがとうございます。

 まず、2年前の経営統合の話からうかがいます。歴史も事業もまったく違う会社の統合は、どうして実現したのですか。


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株公開で統合スムーズに

カドカワ 川上量生社長

川上・カドカワ社長(以下、川上) ドワンゴが株式を公開した時(2003年)、会社の動きが遅くなるから公開しない方がいいという声もあったんです。公開したことで重くなった部分もあります。ただ、その作業の中で、ちゃんとした会社として見られるようになり、その後、事業がうまくいった。
 KADOKAWAと統合した時も同じ事が起こっている。すごく勉強になったことが多い。


渡辺 勉強になったことというのは?


川上 仕事の進め方ですね。ドワンゴとKADOKAWA、どちらが意思決定が速いか。一般的に考えれば、歴史の浅いうちがめちゃめちゃ速くなければいけない。実際、うちの方が速い部分もあったが、全部がそうじゃなかった。まずトップの意思決定でいえば、角川さんの方がはるかに速い。また、特に定期的にものを出す雑誌などは、スケジュールに関する意識が高い。ウェブの仕事をしている人は、遅れたら遅れたでいいというところがある。スケジュールをちゃんとする文化というのはあるようでなかった。


渡辺 角川さんはいかがですか?


角川・カドカワ相談役(以下、角川) KADOKAWAもドワンゴも株式を公開していたことが大きかったですね。出版界では株式の公開自体が稀(まれ)なんです。公開すると、人の目、株主を意識する。公開したら人の目を意識しないと経営できない。経営者として修羅場に立たされるわけです。同じ経験をしている川上君とは一緒になれる。そういうことだったんだと思う。


渡辺 統合を発表した当時の角川さんの言葉の中でおもしろいと思ったのは、「川上さんを受け入れないということは、川上さん的なものを受け入れないということ。川上さんを受け入れるということは、KADOKAWAの社内で川上さん的なものを伸ばしていくことなんだ」と。


角川  言いましたね。


渡辺 とてもおもしろいなと思いました。社内、社員の意識と直結している話でしたので。


角川 川上君というのは基本的にはデジタル人間。デジタル人間は、決断がオンかオフかしかないんです。正しければオンで進むし、間違っていればオフで終わる。しかし、世の中は、はっきりと正しいこと、はっきりと間違っていることなんて、ほとんどないじゃないですか。そこで言い訳ができるわけです。ただ、KADOKAWAにもデジタル的な人間がかなり生まれてきて、その人たちが「あまりにも会社の決め方がかったるくて嫌だ」と言い出した。


渡辺 もともとのKADOKAWAにいた人たちが、ですか。


角川 KADOKAWAでデジタルの仕事をしている人たちが、ですね。たとえば、電子書籍をやっている人間なんかは決め方が速いですよ。アナログをやっている編集者に、「これ、電子書籍にしていいか?」と聞くわけです。すると作家に聞きに行くわけですが、作家が嫌だと言う。それを繰り返すことがある。ですが、紙の媒体と電子書籍のサイマル(同時)化は時代の流れですから、僕はデジタル側の肩を持たざるを得ない。川上君に経営を任せようと思ったのは、川上君自身がデジタル化を体現している。一番分かりやすく言えば、会社をデジタル化しようとした時に、川上君みたいな経営者をトップに持っていかないといけないと考えたのです。


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統合で「デジタル経営」加速

渡辺 川上さんの立場からすると、角川さんの言うアナログ経営、デジタル経営はどう感じますか。


川上 ある意味、アナログ経営からデジタル経営へ移るための象徴的な役割を、この統合はやったと思います。角川さんはああいう風に言われていますが、実際、アナログ経営からデジタル経営に切り替えたのは角川さんなんですね。統合をある種の言い訳に(笑い)。それを実行したということがすごいと思いますけどね。


渡辺 川上さんがやっていたことは、もともとデジタル経営ですから、あまり変わっていないけれども、もともとそうではなかったKADOKAWAが川上さんを使って、というか、川上さん的なものを投入して変えているということですか?


川上 実際起こったのはそういうことです。それはやっぱりすごいこと。僕がアナログ世界を分かっていて、それを変えられるかと言ったら、経験がないからできるわけがない。角川さんは方法もビジョンも分かっていた。それをやるための一つの方法論として、統合をやられたのではないか、と思います。


渡辺 紙とデジタルという媒体の違いについて、デジタルはユーザー優先、紙は作り手優先の論理でつくられている、と言う人がいます。


川上 それは違うと思いますね。それはビジネスモデルの問題だと思う。例えば新聞の場合、宅配でお金をもらっているじゃないですか。安定した収入がある。けれども週刊誌の場合は、扇情的な見出しをつけます。それが売り上げに直結するからです。デジタルもそうなりがち。やっぱりPV(ページビュー)による広告収入に頼っているネットメディアの場合はそうなりますよ。けれども、例えば、ニコニコ動画の場合は、プレミアム会員から月額固定の500円(税抜き)をいただいているので、多少何をやっても、売り上げは左右されない。だから、比較的、勝手なことができる(笑い)。
 だから、ビジネスモデルの問題だと思いますね。PVベースのビジネスモデルをやっている限り、ユーザーの一つ一つの行動に答えなくてはいけなくなる。それは、僕はどちらかというと、悪い方向に作用していると思います。


角川 月額課金っていう点では、ニコニコと、朝日さん(の紙面、デジタル)とは同じだということです。


現在のカドカワの組織図
【▼ カドカワ 会社紹介はこちら】


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「新聞、デジタルに対して臆病では」

渡辺 でも、かつてのように新聞が言っていることを聞いていればいい、という時代ではなくなってきました。むしろ、「私たちの意見も聞いて」という声がどんどん強くなっています。そういう中で、新聞社も変えるべき点は変えていかなくてはいけないと考えています。角川さんの中で、デジタルと紙の関係はどう受け止めていらっしゃいますか?


カドカワ 角川歴彦相談役

角川 新聞があって、その系列の中でテレビが生まれた。さらに、テレビと新聞の「マスコミ」を批判する形で週刊誌が生まれたと思うんです。ですから、その扇情的な週刊誌的ジャーナリズムっていうのは、テレビと新聞ジャーナリズムに対する反ジャーナリズムっていうことで成立したと思う。
 ただ、新聞社は新聞とテレビと、週刊誌の札も張っていた。自ら反ジャーナリズムの世界にも手を突っ込んでいたわけです。
 そんな新聞社が、デジタルには非常に臆病になっている。僕から見ればもっと大胆に、デジタルに手を突っ込めばいいじゃないかと思う。
 新聞社が週刊誌を出した時、おそらく、週刊誌が新聞を食うなんて考えなかったと思う。だけど、デジタルに関しては、これをやるとね、新聞が食われるんじゃないかっていうね。ご存じの通り映画界はテレビを怖がったが、新聞はテレビに手を出し、週刊誌にも手を出した。何でデジタルに関してだけは、こう臆病なんだろうな。


渡辺 臆病という意識はないつもりですが、どこかで抑制しているというように感じられますか。


角川 何がって言ったら、新聞の値段と、ネット新聞の値段がほぼ一緒ですからね。なんで、そんなふうにしなきゃいけないの。


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ユーザーにおもねる誘惑と戦う

渡辺 川上さんは、新聞ってどう見えますか。


川上 いま考えているのが、メディアって何だろうっていうこと。それはやっぱり自制的な存在でなきゃいけない。つまりユーザーにおもねる誘惑に対して、戦い続けるっていうのが多分、メディアの宿命としてある。多分、それをやらないと、最終的にはやっぱり、世の中に見放されると思うんですね。そのために何が必要なのかって言ったら、やっぱりそれはユーザーよりも賢いことが必要。ある意味、啓蒙的なことをやるためには、自分が賢人にならなきゃいけない、という構図だと思うんですよね。
 いまのネットの時代に、賢人が、世の中に果たしてどれくらいいるのか。それそのものがいないです。ネットにおいていま、啓蒙的なことをすべきなのに、それをやる人材がいないというのが最大の問題なんだろうな、と思いますね。


渡辺 ネットの世界で賢人的に、世の中のことを分かったうえで、バランス良くっていうことですね。


川上 そうです、そうです。ユーザーにおもねるよりも、やっぱり啓蒙的にやった方がいいと思いますね。ただ、少なくともネットのことを分かっていない人がやろうとしたって、それはだれもいうことを聞いてくれない。ネットについては、多分、そういう話だと思うんですね。


朝日新聞社 渡辺雅隆社長

渡辺 朝日新聞社もネットでニュースを発信していますし、ウィズニュース、ハフィントンポストといった媒体もあります。それでも、若い人たちにアプローチできているかというと、やっぱり心もとない。若い社員を集めたチーム「U35」をつくって、自分たちが読みたい、見たいというものを考えてくれ、ということもやっています。デジタルと連動した紙面展開にも力を入れています。川上さんから見ると、どう見えますか。


川上 ハフィントンポストも、すごい目のつけどころがいい話なんです。いい話なんだけども、例えばサイバーエージェントの藤田晋さんや一時期の堀江貴文さんだとか、ITの人がやったらすごいって称賛されることが、朝日新聞がやるとなぜか微妙な評価をされる(笑い)。
 何なのかっていったら、イメージの問題ですよね。だから、ある意味、偏見なんだというところからスタートした方がいい。それがネットの人なんだから、それもしょうがない。彼らが納得するようなことをするためには何をすればいいのか、ということだと思う。それはいろんな方法があっていいと思いますけれどね。


角川 いまの新聞社の人たちって、デジタル・ディストリビューション(流通)に興味がないんですよね。そこに例えばヤフー、LINEが出てきた。ヤフーニュースやLINEニュースは、みなさんがおさえなきゃいけないのに、はっきり言うと、傍観しているわけですよ。で、ヤフーもあれだけ儲けている。みなさんが書いたものを使って。同じことをLINEニュースもやろうとしているんですよ。LINEニュースなんて主要紙から地方紙まで、みんながニュースを出すって。人が良すぎますよ。


渡辺 でも、実際に、そこから入ってくる人、そこからニュースに触れる人がここまで多くなると、そこに出さないという選択をしたら、自分のところのニュースに触れてもらう機会も少なくなるのではないかという考え方もあります。


角川 朝日新聞だったら、自分でディストリビューションできちゃうんですよ。そこに踏み切るか踏み切らないか。そこに踏み切ると、ものすごく大きなマーケットが僕は転がっていると思いますよ。いつまでもヤフーとかLINEがニュースの提供を受けて、そこであれだけ大きな収入を得るなんて、あまりにも不合理だと思います。


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もともとネットとリアルはセット

渡辺 もう一つおうかがいしたかったのは、(KADOKAWA、ドワンゴが始めたネットを活用した通信制高校)N高なんです。N高を4月から始めてみて、どんな感触を持っていますか。


川上 まずは、反響が予想以上に大きかった。数字的には今1,500人くらいで、僕が期待しているほどではなかった。でも、話を聞くと、すごい数字らしいですね。僕らが目指していた「志望校になる通信制高校」を作るっていうことに関して、第1段階はクリアしたのかなって思っています。


渡辺 授業はライブで、双方向のやりとりができる。クラブ活動や仮想空間での遠足もある。だけどそれだけではなくて、自治体とコラボして社会体験もする。むしろリアルなイベントがとても充実している。ネット高校なのですが、リアルをとても重視されている感じがします。


川上 僕自身はたぶんネット世代の第1世代なんですね。それこそアスキーネットとかニフティサーブとか。インターネット以前のパソコン通信です。そのころ、何が一番楽しみだったかというと、オフ会だったわけですよ。もともと最初から、ネットで関係を作って、実際リアルで会うって、僕の中ではセットなわけなんですよ。
 ドワンゴも実はそうで、ネットで仲良くなった人たちを集めてつくった会社ですから、もともと、ネットとリアルはセットだった。何で分けなきゃいけないんだと。それはやっぱり一緒にすべきですよ。ネットってリアルに置きかわると思うんですよ。置きかわるっていうのはリアルを排除するっていうことじゃなくて、リアルとネットが溶け込むってことですから。
 N高も、そういうリアルを大事にする云々じゃない。N高を始めたのは、N高が未来だと思っているからなんです。ネットを使った双方向の授業なんて、これからああなるに決まっている。そうなったら当然コミュニティーも必要に決まっている。だから僕は正しいことを、いち早くやってるだけなんです。教育の場合には時間が必要ですから、いち早くやる先行者メリットが出やすい。正しいことをやっているんだから、どうせ遅い早いの問題で時代が追いついてくる。これほど安全な投資はないだろう、っていうだけの話ですよ。そうなることをやっているだけなんで。


渡辺 でも、教育にいこうと思われたのは、何かやっぱりあるのですか。


カドカワ 川上量生社長

川上 もともと、持ち込みの企画だったんです。何でうちがつくんなきゃいけないかっていうと、いま、通信制高校って、みんなが行きたい高校っていうのがない。みんな、嫌々行くところだという。嫌々行く子がどういう子たちかっていうと、要するに引きこもりの子供たち。そういう子たちの多くは家でパソコンとネットに逃げているんですよね。逃げていて、かつ、そこで救われている。じゃあ何が彼らを救っているかっていうと、そういう人はニコニコ動画を見ている。そしてKADOKAWAのアニメだったり、ライトノベルだとかを読んでいるような人たち、っていうのが、実はそういう子たちなんだっていう話を聞いた。
 そこで、ドワンゴとKADOKAWAが一緒になって高校を作ったら、嫌々行くんじゃなくって、ここだったら行きたいっていう高校をつくれるはずだ、って説得されたんですよ。僕らのアイデアじゃないが、僕はそれを正しいと思ったんですよね。それはやる意味があると思ったんですよ。


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今こそ文化人を結集する時

渡辺 私たちも、新聞をお届けする。ものをお届けしている。ですが、新聞社とお客さまとの接点が多くあるわけではない。やっぱりメディアとして場を提供したり、空間を同じくしたりすることでリアルにつながっていく。そういうことをもっとやったほうがいいと、私たちも思っています。KADOKAWAさんも実際、やっていますよね。


カドカワ 角川歴彦相談役

角川 実は僕の問題意識、別なんです。20世紀は文化人の時代だったと思うんです。21世紀は、これは英語にしたら笑われちゃうんですけど、ソーシャル社会だなと思っている。ソーシャル社会っていうのは、コミュニケーションの場で大衆が相互に結びついている。
 20世紀はそういう技術がなく、論壇があって、ヒエラルキーがあった。その中では文化人が非常に重要な役割をしたと思う。それが21世紀に入って、文化人が逼塞(ひっそく)しはじめたなぁと。本来なら文化人がもっと元気でいて、そこにUGC(ユーザー発信のコンテンツ)がある。お互いに二重構造として進んでるのが一番いいと思ったんですよね。現実には、もう、UGCの方が強くなっている。今もう一回、文化人を結集しないと、やっぱり不健全になるなぁと。
 そういう思いが、朝日さんとご一緒して、「発見・検証 日本の古代」というイベントの開催などに結びつけた。(さらにその第二弾として)文化人を結集することによって、混迷している世界の事件の、主要な問題は宗教が相当影響していることをもう一回検証し、文化人は改めて必要だな、ということをやってみたいんですよ。


渡辺 朝日新聞社の主催事業には夏の甲子園大会、将棋の名人戦、吹奏楽コンクール、合唱コンクールなどがあります。スポーツ事業だけで180ぐらいやっています。お二人から見て、これはもっと盛り上げられる、面白くなるのに、と感じられるもの、ありますか? 


川上 いや、まず、そういうことをやっていくのは素晴らしいことだと思うんですよね。それはそうだと思っていて、その中に、まず高校野球を筆頭にいっぱいあるじゃないですか。活用されていないものが。高校野球は有名ですけれど、やりようは、もっといくらでもありますよね。


角川 だから、もっと、本当にニコニコと連携深めていただいて。


渡辺 今後もいろいろ刺激を受けながら、一緒にやれることがあればと考えています。 きょうは貴重なお話をありがとうございました。  


 

カドカワ

出版大手のKADOKAWAと、動画配信大手のドワンゴが2014年10月に経営統合し、発足した。KADOKAWAが持っていた書籍や映画などのコンテンツを、ドワンゴの主力事業「ニコニコ動画」などのインターネット動画サービスに乗せることで相乗効果が生まれると両社が判断し、統合を決めた。現在の社名「カドカワ」になったのは15年10月。新社名は両社の音「KADOKAWA」と「ドワンゴ」を組み合わせたもので、経営統合を強く内外に示す思いが込められている。


KADOKAWAは1945年、国史・国文学の出版社「角川書店」として創業。映画と書籍のメディアアミックス、情報雑誌の創刊、さらには積極的なM&Aやネット事業への進出などで事業領域を拡大していった。若者に人気のあるライトノベルやコミック、アニメに強みを持つ。2013年傘下の子会社9社を吸収合併し、社名もKADOKAWAとした。


ドワンゴは1997年にゲーム関連会社として創業し、着メロや音楽配信事業で事業を拡大。さらに動画投稿サイト「ニコニコ動画」や、「ニコニコ生放送」でアニメやスポーツ、記者会見、将棋の対局など独自の配信や、ユーザーの作るコンテンツが人気となり、特に若者の支持を集めた。KADOKAWAとは11年から互いの株式を持ち合う資本提携を始め、電子書籍の連携など事業面での協力を進めていた。


朝日新聞社とは、「角川書店」時代から共同で数々の事業を手がけてきた。2015年は、古代日本のあり方を討論するシンポジウム「発見・検証 日本の古代」開催にともに関わり、その内容をまとめた本が出版子会社にあたるKADOKAWAから刊行された。


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プロフィール(カドカワ・川上量生社長、角川歴彦相談役)

川上量生氏 プロフィール 川上量生氏
 かわかみ・のぶお
1968年生まれ、愛媛県出身。
97年、IT企業のドワンゴを設立。
以後、社長や会長を務める。
2006年、投稿サイトのニコニコ動画を創設。
再生動画の上にコメントを投稿できる独自の機能が人気となり、多くの利用者を集めた。
11年には、「となりのトトロ」などで知られるアニメ制作会社のスタジオジブリに入社し、話題を集めた。14年、出版大手のKADOKAWAと経営統合し、会長に就任。
15年6月、社長に就任した。



角川歴彦氏 角川歴彦氏 プロフィール
 かどかわ・つぐひこ
1943年生まれ、東京都出身。66年、角川書店に入社し、
93年に社長。
2003年には持ち株会社「角川ホールディングス」を
創設し、社長兼CEO(最高経営責任者)に就任。
出版子会社「角川書店」会長CEOも務めた。
経営トップとして活躍するほか、2010年の「沈まぬ太陽」
など、数々の映画制作の指揮を執り、受賞歴も多い。
持ち株会社は13年、子会社9社の統合とともに
KADOKAWAに社名が変わり、自らは会長に。
ドワンゴと経営統合後は新会社の相談役となっている。


 


(企画構成・渋谷 正章、撮影・林 正樹、ウェブデザイン・田渕 裕美)


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