JSEC2011 ファイナリスト

 私たちは、音波の共鳴現象という基礎的な物理現象を直感的に捉える装置の開発を行いました。その際、理論との整合性も追求しながら、現象をより高い精度で手軽に見られる装置とすることをテーマにしました。

 この研究には、まだやり残したことがたくさんあります。私たちの卒業後は後輩が引き継ぎ、より高めてくれることを期待しています。


 私は、身近にあるばねが全て円形であることに疑問を持ち、多角形ばねの作成を目的に研究を行いました。つくってみると、多角形のばねも簡単にできますし、どのような形状のばねも巻き数と質量が等しければ、ばね定数は変わらないこともわかりました。

 大学ではまた違う研究に取り組むと思いますが、どんな道でもそれに打ち込み、科学者をめざしたいと思います。


 私たちは、砂鉄がメチレンブルーを吸着することを偶然発見し、これを生かした磁気分離のしやすい吸着剤やイオン交換材の開発をめざしました。結果として、砂鉄にシランカップリング材や逆性せっけんを用いることで疎水性有機化合物への吸着能が向上し、砂鉄を混入した人工イクラを過熱乾燥させることで、より良いイオン交換剤の開発に成功しました。


 インフルエンザ治療薬タミフルの原料でもあるシキミ酸を、化学的に合成する方法について考察しました。  私たちが考案したルートは四つのステップを費やすもので、今回の研究ではそのうちステップ l と ll の反応実験を行いましたが、まだまだ向上の余地があります。今回受賞を逃した悔しさをばねに、今後も努力していきたいと思います。


 アンモニア性硝酸銀水溶液を用いる銀鏡反応では、爆発性の雷銀が生成することがあります。私たちはより危険の少ない方法について考察し、ビス(チオスルファト)銀(l)酸イオンや亜ジチオン酸イオンを使うことで、銀鏡反応や鏡をつくることに成功しました。JSEC最終審査会では他のファイナリストの素晴らしい研究にふれ、科学への興味がよりいっそう深まりました。


 次世代型太陽電池として注目の色素増感太陽電池の低コスト化と高効率化の研究を行い、高価なRu(ルテニウム)錯体を用いない接合型色素増感太陽電池の開発に向けて、大きな指針を示すことができたと思います。
 最終審査会は、とても充実した一日でした。審査員の先生から今後に繋がる貴重なアドバイスをいただいたのが、何よりうれしかったです。


 粘菌の情報解析力を生かして都市交通ネットワークのあり方を考察したところ、九州を例にした実験では、粘菌のつながりやすさが九州新幹線の路線図とほぼ一致するという結果を得ました。粘菌の変形体を利用することで、地域ネットワークの最適化に役立つ情報が得られます。将来的に、こうした粘菌の知性を利用した「粘菌コンピューター」の開発を夢見ています。


 鉱物の同定法として知られる条痕色は、どの大きさの粉末を「鉱物本来の色」とするのか、「条線の色とは何か」といった定義があいまいで、実験すればするほど疑問が湧いてきます。今回私たちは、「鉱物の光学的特性に関わらず30μmの粉末を肉眼視した色」という定義を示しました。今後も身近な事象に疑問を持ち、研究に熱中していきたいと思います。


 平面上の任意の図形を切り抜いた板上に塩をふりかけると、塩山の描く稜線ができます。この稜線は、平面幾何におけるさまざまな性質を表現できることを発見しました。実験では、この性質を用いて生物モデルに応用されるボロノイ図を塩山で再現することも簡単にできました。
 これまでJSECに出場するために研究を続けてきたので、今回は大変光栄でした。


 数学クラブの活動のなかで、「虚数の整数の偶数と奇数とは何か」という疑問が上がり、興味をもって研究をしました。その結果、1+iの倍数が偶数、それ以外が奇数ということがわかり、さらに研究を続けました。
 今回は自分たちの研究を人前で発表でき、よい経験となりました。今後も研究を続け、来年もぜひJSECに挑戦したいと思います。


 今回の研究は、折り紙学会誌に掲載していただいた論文をさらに発展させたもので、テーマは正方形・長方形の紙でつくるコップの最大容積です。ただ折るだけでなく、紙を切ったり回転させたりすることで、最大容積の記録更新をはかっていきました。この研究は、実用面では液体を入れたときに持ちやすいコップの形状を考えることなどに応用できると思います。


 Gladiolus liliaceusの花色は、昼間は茶色、夜間は紫色へと可逆的に変化します。その仕組みの解明をめざしました。主に光学顕微鏡による観察を行い、葉肉状組織に分布する黄緑色の色素体が、昼と夜で細胞内の位置を変えることがこの現象の要因であると推察するに至りました。この推察が正しいかを調べるため、次の花のシーズンにまた検証実験を行いたいと思います。


 フナムシ属の16SrRNAに基づく分子系統解析と形態的調査を行い、地域ごとの個体群に遺伝的差異が見られること、北海道のみに生息すると考えられていたキタフナムシが東京湾岸にも存在すること、フナムシ属の人為的な移動はひんぱんに行われていること等を明らかにしました。今回は残念ながら受賞に至りませんでしたが、今後に役立つ貴重な経験になったと思います。


 カワニナとイシマキガイの分布状況と流速の関係、形態の違いなどを調べ、生物が生息場所に適応した生態や形態を持っていることを確認しました。今後は他の貝やアユなどの魚類との種間関係についても調査したいと思っています。
 最終審査会で発表したことで、研究を他の人にわかってもらうことの楽しさを知りました。来年もぜひ挑戦したいと思います。


 富栄養化の進んだ湖を浄化するため、リンやチッ素を電気的に吸着するPSIという化学薬品の効果を検証しました。その結果、PSIは硝酸態チッ素の除去能力は低いものの、総じて浄化に効果があったといえます。また中和した処理水は湖の生物に無害で、汚染の原因物質を含む「フロック」という物質は肥料に有効利用できることも確認できました。


 私たちの高校の近くにある麻機池は富栄養化が進行しており、流域最大の汚染源になりつつあります。私たちはその対策として、細菌を利用してチッ素をチッ素ガスに変換する脱窒装置を考案しました。さらにこの装置の電源として、細菌が有機物を消費する際に放出する電子をキャッチして発電する、微生物燃料電池も開発することができました。


 私たちは、二重振り子の複雑な動きを応用して、暗号通信に使われる乱数を新しい方法でつくり出しました。また、これをもとに高速で乱数をつくり出すカオス電子回路を開発しました。今後はこの研究をさらに発展させ、安全なインターネット取引など、人に役立つ技術に応用したいと思います。最終審査会でいただいたアドバイスは、今後の研究に役立てます。


 大気圧Heプラズマによる樹脂表面の親水化の研究中、HeにCO2を微量混入すると親水化が促進されることを発見しました。私たちはその原因について研究を行い、CO2分解によって生じた酸化剤が、樹脂表面の弱い化学結合に影響を与えているという推察に至りました。夜遅くまで、時にはテストも捨てて取り組んだ研究を、JSECの大舞台で発表できたことは大変光栄です。

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