JSEC2011 グランドアワード・特別協賛社賞・協賛社賞・主催者賞・特別奨励賞・審査委員奨励賞

グランドアワード

文部科学大臣賞

 自然界には数えきれないほど多様な生物が生息しています。それらの生物相は環境によって異なりますが、そこに何らかの法則性があるのではないかという疑問が、この研究の出発点です。ササラダニ亜目に着目して研究を進めた結果、土壌動物の多様性やすみ分けについて、環境間・種群間の相関を見ることができました。

 最終審査会は緊張の連続でしたが、自身の研究を客観的に見つめ、途中からはプレゼンテーションにも工夫を加えることができたので、貴重な経験になりました。ササラダニ亜目の成虫と若虫のすみ分けや、積雪と食性の関連など、さまざまな視点で研究を深めることができたのは大きな喜びです。今後もさらに調査地点や調査対象を広げ、深遠な土壌動物の世界をさらに理解したいと考えています。


科学技術政策担当大臣賞

 僕たちは、水面下から注射器で水を発射すると、周囲の水が巻き込まれて一緒に水面上に噴出することに気付き、発射口の太さや流速、水の粘性などの条件と、噴流に巻き込まれる水量の関係を調べました。この結果をベルヌーイの式を用いて考察したところ、注射器内で圧力損失が起こり、水面近くの水が巻き込まれていることがわかりました。また、そのときの流速が大きいほど、より多くの水が巻き込まれることも明らかになりました。

 この研究にはまだ多くの課題が残っていますが、一つひとつ課題を解決していけば、タンカー事故で海表面に流出したオイルの除去作業などに応用できるのではないかと考えています。今後は審査会でいただいたアドバイスを生かしながら、さらに内容を深めていきたいと思います。


科学技術振興機構賞

 アリは「まじめな働き者」というイメージがありますが、トゲアリは自分では巣作りも子育てもせず、他のアリの巣を乗っ取る「ずるいアリ」です。「一時的社会寄生」と呼ばれるこの習性について調べるため、中学1年のころから何度も生息地に通い、電子顕微鏡で体表構造の観察などをした結果、社会寄生を行うアリには共通の特徴があり、これに適応した結果が習性となって現れている可能性を見いだしました。

 長時間の審査会では疲労と緊張のピークを味わいましたが、この研究の面白さを一人でも多くの方に伝えたいという一心で発表に取り組み、大変刺激的な体験でした。次の目標は、アリの体表ワックスを分析し、その機能を確かめることです。まだまだトゲアリの生態研究を続けていきたいと思います。

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特別協賛社賞

富士通賞

 キクは、切り花の流通段階では日持ち性向上のための工夫が行われていますが、栽培の過程ではそうした操作がほとんど行われていません。そこで考察を進めた結果、5-アミノレブリン酸(5-ALA)を収穫1カ月前に葉茎処理することで、日持ち性の高い個体を得ることができました。

 審査会では言葉に詰まってしまうこともありましたが、これまで自分がやってきたこと、本当に伝えたいことを一生懸命思い出しながら発表しました。今は、これまで支えてくれた全ての人への感謝の気持ちでいっぱいです。

協賛社賞

アジレント・テクノロジー賞

 人間生活に深く関わる酵母は、教科書では嫌気呼吸とアルコール発酵を行う生物の代表と書かれていますが、本当に全てアルコール発酵を行っているのでしょうか? 私たちは、ツツジの花に生息する野性の酵母157株を分離・採取し、アルコール発酵能とセルロース分解能の有無、糖類の資化性などを調べ、アルコール発酵能とセルロース分解能を同時に持つ酵母5種を発見しました。

 この5種の同定などについてさらに研究を進め、またJSECに参加することを目標に頑張っていきたいと思います。


花王賞

 トビムシは個体数・種類がきわめて多い無翅昆虫です。私たちは2種トビムシの個体群について、夏期高温期(70日間)・平方メートルあたりの総生産量に関わる諸量をカロリーに換算し、この生物の総生産量に対する呼吸量の割合が非常に大きいという結果を得ました。

 今回も私たちの研究は実を結ぶことがないのかと、途中で悔しい気持ちにもなりましたが、最終的に大きな栄誉を手にすることができ、感激と感謝の気持ちでいっぱいです。改めて、将来は研究者になりたいという気持ちが強くなりました。


JFEスチール賞

 紙テープやリボンを「しごいた」時にできる「巻き」の状態。私たちは、この現象の原因と仕組みについて研究した結果、圧力によって紙のセルロース分子間の水素結合が切れ、別のヒドロキシ基と再結合することで「巻き」が起こるという結論に達しました。

 今回は最終審査会への出場が決まったこと自体が意外で、以後の準備は慌ただしく、不安を残したまま当日を迎えましたが、3人で助け合って満足のいく発表ができたと思います。この経験を、研究だけでなくさまざまな場面に役立てていきたいです。

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主催者賞

朝日新聞社賞

 昨年は平面での鏡像の広がりについて研究したので、今年は立体をテーマに、つくりたい像を先に決めて、それに合わせたミラーシステムを構築しました。ポリカーボネイト板を使ったシステムで正二十面体と正十二面体の作成に成功し、この方法が有効であることがわかったので、今後はさまざまな立体の鏡像づくりに挑戦したいと思います。

 ファイナリストに選ばれて本当にうれしかったです。でも他の人の研究を見て自分はまだまだだとも思ったので、来年のJSECに向けてまた頑張ります。

特別奨励賞

インテル賞

 中尊寺金色堂から見つかった中尊寺ハスの開花を定点観測した映像を見て、この花弁にもヤエムグラの十字対生のような規則性があるのではと思ったことが研究のきっかけでした。3種の古代ハスを定点観測し花弁の角度をデータ化、さらにハス同様に葉がらせん配列するヤスデとの比較考察を行い、ハスの葉序の仕組みを解明しました。

 最終審査会では、両隣のブースの人たちと協調し合い、気持ちよく進められたこともいい思い出です。素晴らしい友達や先輩もでき、JSECに参加できて本当によかったと思います。

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審査委員奨励賞

 通常、高価な機器を必要とする分光分析が、DVDを用いた分光器でもできることを知り、実際に自分でつくって性能評価を行いました。銅(ll)クロロ錯体のほか銅(ll)酢酸、クエン酸錯体などを使って調べたところ。さまざまな反応や溶液の簡易な分析にDVD分光器は応用可能だという結果を得ました。

 JSECへの参加を通じて、研究活動はあらゆる知識や感覚を総動員して取り組む必要があることを知り、改めてその魅力を感じました。これからも楽しみながら研究に励んでいきたいと思います。


 私たちの高校の地学部では、2005年に約200万〜300万年前の地層から大きな椎骨の化石を発見しました。多くの生物は頭骨の特長で分類されるため、尾椎だけで種を特定することはできません。そこで私たちは博物館にあるマイルカ科の現生標本17種140個体を計測してコンピューターで分析、六つのグループに分類し、そこに当てはめることでこの化石がコビレゴンドウであることを突き止めました。

 プレゼンテーションの準備は大変でしたが、最終審査会はまる一日楽しむことができました。とてもよい経験になったと思います。


 PCRはさまざまな分野で利用されるDNA増幅技術で、一般に1回のPCRサイクルでDNAは倍増すると説明されますが、反応液中のDNAは均一ではないため、増幅の様子はもっと複雑になります。本研究では、増幅パターンをモデル化し、漸化式や微分方程式を活用することで、PCRサイクルの進行に伴うDNA量の変化を正確に把握できることを証明しました。PCR原理に基づく実験結果を評価する技術は、より洗練されたDNA増幅手法を開発する際に有益と考えられます。

 今回はとてもいい機会をいただき感謝しています。ありがとうございました。

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