朝日新聞社テレビ朝日花王株式会社JFEスチール株式会社東レ株式会社双葉電子記念財団

JSEC2016 グランドアワード・特別協賛社賞・協賛社賞・主催者賞・特別奨励賞・審査委員奨励賞

グランドアワード

文部科学大臣賞

【動物科学】

 アメンボは水面を伝わってくる波を手がかりに獲物の小さな虫を探したり、オスとメスが出会ったりすることが知られていました。そこで、オオアメンボが水面波をどのように区別・利用しているかを調べました。飼育装置を作成して自然に近い状態での飼育に成功するとともに、水面波発生装置、水面波振幅測定装置などの実験装置を開発し、詳しく調べた結果、風や落ち葉等でいろいろな波が混在する中で、オオアメンボは水面波の高さ(振幅)によって波を識別し、振幅2.5mm以下の小さな波を餌からの波と判断して餌を探していること、オスがメスを呼び寄せるときには、前脚と後脚で同時に発生させる約13Hzの波を使っていることなどをつきとめました。


科学技術政策担当大臣賞

【物理学・天文学】

 私たちはシャボン玉の色を観察している時に、膜の色が赤、緑、黄、青、紫色へと変化し、その後、黄金色、白色、無色となって割れるということに気づきました。シャボン膜は光の干渉という現象によって、膜が色づいて見えます。その原理からすると、膜が薄くなるにつれて波長の長い赤色から波長の短い青色へと変化していくことは理解できるのですが、その後に黄金色や白色が見られるというのは説明がつかないように思えました。私たちは波長ごとの光の強さを調べることのできる分光器を用いてシャボン膜からの光を詳しく調べました。その結果、黄金色や白色などの膜の色も、光の干渉が見せる一つの様相であることが明らかになりました。


科学技術振興機構賞

【エネルギー:化学的】

 近年、地球温暖化が深刻化し、二酸化炭素の削減が求められている。そこで、光触媒を用いて二酸化炭素からギ酸を生成する研究をした。光触媒は空気、酸素、窒素中で、タンタル板を焼く時間を変えて、いろいろな膜厚のものを作成した。紫外線を照射し、得られる電圧と電流を測定し、変換効率を求めた。また、光触媒の伝導帯の電位を測定し、二酸化炭素を還元できることを確認した。可視光LEDを使い、光応答を測定した。その結果、純粋な酸化タンタルは可視光応答しないが、作成した酸化タンタル/タンタル板が可視光応答することに気づき、その理由を調べた。最後に、光触媒と銀電極を使って、二酸化炭素からギ酸を合成できることを確認した。

特別協賛社賞

花王賞

【機械工学】

 扇風機などのプロペラにおいては、現在高効率化を目的に、新たな形状のプロペラの設計が盛んに行われています。私はこうしたプロペラの表面にシンプルな加工を施すことで効率を上げる研究に取り組んできました。これまでの研究で、プロペラの表面を彫ったり、物を貼り付けるだけで空気の流れが大きく変わることがわかったため、今年は新たに120枚のプロペラに手彫りで加工を施し、加工する場所や加工の形などの条件を細かく変えながら、効率を上げる加工方法を探りました。その結果、プロペラ表面の特定の場所に1本の溝を彫るだけで、ある領域の流れの中で25%以上の効率上昇を実現する加工方法を見つけることができました。

協賛社賞

JFEスチール賞

【化学】

 天然染料を用いた金属の着色を出来るようにするということを目的に研究を始めました。 用いたのは、アルミニウムに陽極酸化処理を施したアルマイトです。アルマイトを選んだ理由は、表面に細孔が多数存在し、吸着性が高いと考えたためです。
 結果は、天然染料でアルマイトを着色することが可能で、しかも、着色できた染料は色素としての水溶性が低いものばかりでした。これは、水溶性が低い色素の方が高いものより、水との相性が悪く、アルマイト表面のアルミニウムイオンと錯体を形成しやすいため、水溶性の低い色素が着色に適していたのではないかと考えています。  今後は、着色できなかった色素で着色できるようにしたいです。

主催者賞

朝日新聞社賞

【組み込みシステム】

 ヴァイオリンの胴には魂柱という両面の板の振動を伝え合う棒があり、これが特有の音色を生み出している。私はこの魂柱に注目し、振動を計測する事で、ヴァイオリンの音を発生させるメカニズムについて研究し、魂柱を振動させる事でヴァイオリンの音を再現出来る新規な構造の電子ヴァイオリンについて調査した。測定用のヴァイオリンや表、裏板、木型などを異なる大きさで作成し、測定条件の最適化、魂柱とヴァイオリンの音響振動の関わりについて検証を行った。そのデータからMathematicaを用いたシミュレーションで、必要なデータを得て、プロトタイプの実験を行い、魂柱を振動させ、音を出したりする機構を実証した。

特別奨励賞

テレビ朝日特別奨励賞

【エネルギー:化学的】

 私たちは、人間が生活するすべての場所で発電ができる装置を開発する研究を行いました。私たちのグループでは、普段は廃棄されている野菜の皮や卵の殻の薄膜(卵殻膜)などの天然薄膜を燃料電池の電解質膜に応用する研究を行っています。今回はこの電池の燃料として酢酸のような安全で身の回りにある化学物質で検討することにしました。これまで用いられてきた電解質では発電性能が低くなり、実用化ができていません。しかし、私たちは電解質膜に天然薄膜を用いることで、実際にLED電球を点灯させることに成功しました。このことから、この装置があれば世界中どこにいっても安全かつありふれた物質での発電が可能であることを証明できました。


花王特別奨励賞

【植物科学】

 ウサギゴケはタヌキモ属の中でも数少ない、陸上に生息する種です。多くのタヌキモ属の種は水生の食虫植物であり、その捕虫法については研究が行われており、明らかになっています。その捕虫法とは、根にある口を閉じた袋状の捕虫器の内部圧力を低くしておき、獲物が近づくと口を開け一気に吸い込むというものです。
私たちは陸上に生息するウサギゴケにこの方法が行えるのか疑問に感じ、ウサギゴケの捕虫法について詳細に研究を行いました。結果、ウサギゴケは、一般的なタヌキモ属とは異なる方法で捕虫を行っている可能性が高いことが新たに発見されました。


花王特別奨励賞

 

 文部科学大臣賞とダブル受賞

審査委員奨励賞

【動物科学】

 ナミウズムシ、アメリカナミウズムシは体を二等分にしても再生するプラナリアの1種で、ナミウズムシは日本の在来種、アメリカナミウズムシは外来種のプラナリアです。私は、この2種の種間関係を明らかにする研究を行いました。その結果、冬期の河川の水温(山口県・7℃)ではナミウズムシがアメリカナミウズムシに捕食され難く、16℃から26℃の範囲ではアメリカナミウズムシがナミウズムシを捕食することが分かりました。また、アメリカナミウズムシはナミウズムシよりも界面活性剤に耐性がありました。今後、地球温暖化や水質汚濁等が進行すると、ナミウズムシがアメリカナミウズムシによって駆逐される可能性が高まると考えられます。


【動物科学】

 小学校入学時より、セミの研究をしています。長年の観察の中で、羽化殻が複数個ずつ固まってつく傾向に気付きました。一方、羽化中の個体と後から羽化場所を探してやってきた幼虫は、ほとんど接触しません。これらのことから、フェロモンのような匂い物質を用いて同種他個体との距離を調節し羽化場所を決定しているのでは?と考え、アブラゼミを対象に検証を行いました。
 実験により、羽化場所を探す幼虫は、羽化殻には誘引され羽化途中の個体は忌避することが有意に示されました。物質の成分分析等にも着手しています。
 セミの仲間にこのような匂い物質が存在するという研究は、これまで発表されておらず、新しい発見となる可能性があります。


【物理学・天文学】

 グリーンフラッシュは、太陽が沈む瞬間、一瞬緑色に輝く希な現象です。グリーンフラッシュが発生するには、太陽の光が大気によって屈折すること、大気中の微粒子で青色が散乱されて途中で消えてしまうこと、温かい空気と冷たい空気の境目で光が全反射することが必要といわれています。この条件をモデル化し、プリズムやコロイド溶液、砂糖水と真水の密度の異なる二重層を使って実験しました。その結果、白色LEDを光源として、液体の二重層の中に緑色の光の発生を確認することができました。この研究で、グリーンフラッシュは密度の異なる空気の二重層で発生している可能性があることが明らかになりました。