朝日新聞社テレビ朝日花王株式会社JFEスチール株式会社東レ株式会社双葉電子記念財団荏原製作所

JSEC2017 グランドアワード・特別協賛社賞・協賛社賞・主催者賞・特別奨励賞・審査委員奨励賞

(※受賞者名は、敬称略)

グランドアワード

文部科学大臣賞

【物理学・天文学】

 流星は、宇宙空間にある小さなチリが高速で地球に飛び込み、大気と激しく衝突し、発光する現象である。私は、近隣の天文台・研究機関との連携の中で、観測データの提供を受けて解析を行った。流星の3次元位置と明るさと運動を調べることで、流星がどのように光るか、地球大気がどのような反応を示すか明らかにすることを目的として研究を行った。
 多点観測の結果、流星の高度や光度等級が精度よく求まった。その結果、明るい流星ほど消滅点の高度が低いこと、発光点の高度はあまり流星の明るさによらないことが明らかになった。また、地球への突入角は時間と共に大きくなり、3次元的に見ても放射点から流れていることが示された。

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科学技術政策担当大臣賞

【植物科学】

 開花前の朝顔のつぼみの白い部分(曜)と紫の花びらの境目の筋のような部分(ここではスジと呼びます)の表面をピンセットでつまんで、表皮をはがしました。スジの表皮を全部はがしたり、上からインクを塗ったりしてみたら開花しませんでした。顕微鏡で観察したところ、道管と気孔がインクでふさがれていました。暗いところに置いたつぼみと一晩中LEDで照射した開花しないつぼみは外から見ても違いはわかりませんが、スジの表皮の細胞を比較したところ、暗いところにおいたつぼみは気孔が大きく開きましたが、開花しないつぼみはあまり開きませんでした。この結果からスジの細胞の道管と気孔は開花に関係があると考えました。

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科学技術振興機構賞

【環境工学】

 カスミサンショウウオは,全長約10cmの小型両生類で,全国的に絶滅の危機にあり,岐阜県には生息地が2ヶ所しかありませんでした。県内のまだ知られていない生息地を発見し,保護する必要があると考えましたが,現状の生態調査は,莫大な時間や労力を要します。そこで,GIS(地理情報システム)と環境DNAの2つの技術を組み合わせた迅速かつ効率的に新規生息地を発見する手法を考えました。GIS解析で現存の生息地に近い環境を絞り込み,環境DNA解析をしたところ,カスミサンショウウオの痕跡を検出しました。その後,生態調査により1対の卵嚢を見つけました。私たちは,研究を開始してわずか1年で希少生物の新規生息地を発見することができました。

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特別協賛社賞

花王賞

【物理学・天文学】

 我々の研究によって、先輩らが導出していた定式が正しいことを証明でき、副実像のレンズの公式が教科書に掲載されることが決まった。当初は、行列式という高度な計算式を用いれば定式化できることはわかっていたが、膨大な計算時間を要するため、定式化は困難と考えていたが、別の視点からも行列式を考案できたことで定式の正確性を確保でき、計算時間も短縮できた。これにより、平凸レンズを含む副実像全ての定式が完成した。また、半径の異なる球面を持つ凸レンズも定式化でき、様々な形状のレンズをもつ昆虫の単眼でも副実像の出現位置は推定できることがわかった。副実像の公式と可視化により、実像との違いをより明確に示すことができた。

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協賛社賞

JFEスチール賞

【微生物学】

 バイオエタノールは化石燃料に代わる新しい燃料として注目されています。しかしその原料はトウモロコシやサトウキビなどで、食料や家畜肥料との競合が懸念されています。そこで私たちは廃材などの木質バイオマスを原料とし、花酵母を用いてバイオエタノールを生産する方法について研究しました。そのために必要な木質バイオマスを分解できる能力や、より高い発酵能力を持つ酵母を見つけ、それらを用いて実際にバイオエタノールを生産できるか調べました。また、木質バイオマスからバイオエタノールを生産する際、木材に含まれているリグニンを除去する必要があるので、自己腐朽菌にリグニンを分解させるなど、様々な試行錯誤を重ねました。

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主催者賞

朝日新聞社賞

【数学】

 私たちは、Soddyの六球連鎖の定理を、球を生成する手段として用い、これを繰り返し適用したときに新しく生成される球の個数について研究しました。この操作をn回適用したときに生成される球の集合をコンピューターで描画すると、非常に複雑で美しい姿が見られます。しかし、そこに含まれる球の個数は、6nという極めて単純な式で表わされ、まさにSoddyの六球連鎖の拡張になっていることを発見しました。そして、空間における反転という写像を用いてこの結果を証明することができました。反転を用いることにより、複雑な球の配置は規則正しく並び変えられ、球の並びを考察する上で、この手法は非常に有効に働きました。

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特別奨励賞

テレビ朝日特別奨励賞

【材料科学】

 昨年度、廃棄物であるこんにゃく飛粉を配合した人工飼料でカイコを飼育したところ、生糸の強度・破断点伸度が向上しました。それを踏まえ本研究でこんにゃく飛粉に含まれるどの成分が生糸の機能性の向上に影響したのかを調べました。
 こんにゃく飛粉にはデンプン・セルロース・セラミドが含まれています。それぞれの成分を人工飼料に配合しカイコに与えました。上州座繰り器で繭を生糸にし、強度・破断点伸度・織度を計測したところ、それぞれの成分を配合した人工飼料を用いることで、生糸の強度・破断点伸度・織度が向上することが確認されました。このことから、今回の方法で簡易的に様々な高機能シルクを創出できる可能性が示唆されました。

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花王特別奨励賞

【動物科学】

 私たちは希少昆虫であるソデフリカスミカメについて研究し、体表の微細構造を走査型電子顕微鏡で調べたところ、胸部背面中央に小さな孔を発見しました。この孔は、かつて報告されたことのない、グループの分類を正確に定義する重要な新器官であることをつきとめました。小孔の内部には微小な突起や細毛が見られ、未知の分泌腺か感覚器官と考えています。本種はオオハンゲの葉の裏で、幼虫と成虫が仲良く群れをつくって生活しています。アジアに生息する系統の近い種も調べたところ、この小孔は集団生活を行うグループだけにそなわっていました。私たちはこれを「前胸背小孔」と名づけ、仲良し集団のカギがここにある可能性を調べています。

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花王特別奨励賞

【植物科学】

 巨大単細胞生物オオバロニアにとって、細胞が傷つくことは生存するのに非常に不利な条件であると考えられます。しかし、細胞を割り観察すると、3時間ほどで1cm程度のオオバロニアのなかに、100個以上の小さなオオバロニアが発生することを発見しました。単細胞生物であるから、細胞を割ってしまっては生物として生存できないように思われます。しかしながら発生したオオバロニアたちは成長し、1か月後にはもとの大きさにまで戻っていました。私はその細胞の中に細胞を作る仕組みの解明や、細胞に空いた穴を修復する様子、また細胞同士が仮根のようなものを伸ばしている様子に注目し、機構を解明するために実験を重ねました。

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審査委員奨励賞

審査委員奨励賞

【物理学・天文学】

 インターネット望遠鏡というインターネットを通して操作できる望遠鏡を使った月の継続観測・解析について研究を重ねてきた。まず、2地点からの月の同時観測による地球から月までの距離を測定した。また、月の見かけの大きさ、満ち欠けを継続観測し、月が近地点を通過してから再び近地点に達するまでの周期と月の満ち欠けの周期を観測した。これらの周期が異なることから地球が太陽の周りを公転していることが検証できた。そして、月の公転周期・満ち欠けの周期を用いた地球の公転周期の測定方法を考案した。月を継続観測することで、月の満ち欠けの周期の季節的変化から、地球の公転周期は理科年表とほぼ同じ値で測定することに成功した。

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審査委員奨励賞

【地球・環境科学】

 コーヒーさび病は、コーヒーの生産を壊滅させることもある脅威です。感染の拡大防止には早期発見が重要ですが、広い農場の、踏査による発見に頼っているのが現状です。そこで、衛星画像を用いて短期間かつ低コストで広範囲にわたる、感染を発見する手法を開発しました。
 衛星画像の解析より、植生の活性度を表す指数のNDVIと、そのばらつきを表す標準偏差を求めたところ、感染が進行するにつれて農場のNDVIが減少するとともに、標準偏差が増大することがわかりました。条件設定により、7割の正確さで感染を確認できました。研究の結論として、衛星画像の解析と踏査の組合せにより、早期の発見と対策が可能になることを提言しました。

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審査委員奨励賞

【エネルギー:化学的】

 ゴミ問題とエネルギー問題の両面の解決に向けて、本研究ではゴミとして捨てられた廃棄物のみを利用して水素製造をする「クリーンリサイクル水素製造法」を検討しました。米菓子用の生石灰系乾燥剤(99%がCaO)およびアルミホイル(Al)を水中で反応させて水素製造を試みた結果、約15ml・min-1・gAl-1の速度で水素発生がみられ、さらに、驚くことに、乾燥剤(0.36g)と反応しうる物質量の20倍以上のAlが反応し、10,000ml以上の水素が発生することを明らかにしました。この様な反応は水酸化ナトリウム(NaOH)を用いても見られないことからCaイオンが触媒的に反応を進行させていると考えています。本研究成果が被災等でのエネルギー供給法に役立てれば幸いです。

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