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巨大台風が日本に来る?

2008年4月30日   朝日NIEスクール

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ののちゃん 藤原先生

 

ののちゃん 地球が暖かくなると日本にも巨大ハリケーンがくるの?

藤原先生  ハリケーンはカリブ海周辺の熱帯低気圧に使う名前よ。日本にくるのは台風です。

ののちゃん なら巨大台風がくるのかな。

藤原先生  たしかに温暖化で台風が強くなるという研究報告があるわ。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告にも、台風とハリケーンの「強度が増す」と書いてあります。海の水の温度が上がるからよ。

ののちゃん 学校が休みになる日が増えるかも。

藤原先生  何いってるの。温暖化によって雨の降り方まで変わりつつある、という報告もあるのよ。最近、あちこちで集中豪雨が起きているでしょ。ひとごとではありません。

ののちゃん てーへんだー、じゃあ大雨警報が出てまたまた学校が休みに……。

藤原先生  雨と風の本当のこわさを知らないようね。最新情報を教えてあげます。

 ●上昇続ける海水温度、個数は減るが強大化

 20××年、大型台風が日本を直撃(ちょくげき)。列島を縦断(じゅうだん)し、最大風速は45メートルを超えて総雨量は200ミリを突破、雨水は地下街へ流れ、逃げ遅れる人も……。

 将来、こんなことが現実に起こるかもしれません。地球が暖かくなると、なぜ台風が強大になるのでしょうか。まず台風ができる仕組みを整理しましょう。

 台風のエネルギー源は、海から蒸発した水蒸気が上昇して雲粒(くもつぶ)にかわる時、大気中に放出する熱です。海水の温度が高いほど多くの水蒸気が蒸発し、暖かく軽い空気となって上昇気流が加速されます。そこに地球の自転効果(コリオリ力)が加わって渦(うず)を巻き、周囲の空気が集まって気圧が下がり熱帯低気圧となります。

 最大風速が17メートルを超えると台風と呼ばれます。台風の発生場所は赤道から少し離れた北緯10〜20度付近。海水温度が26〜27度を超えると発生します。

 ◆未来の気象予測

 今、海水の温度は上昇を続けています。この100年で地球全体で0・5度、九州、沖縄や日本の南方海域では0・7〜1・3度とさらに上がっています。

 東京湾をのぞむ横浜市金沢区の海洋研究開発機構横浜研究所。ここに世界最高水準の計算能力をもつスーパーコンピューター「地球シミュレータ」があります。地球を約20キロの格子に区切って各空間の空気の流れを計算し、仮想地球で未来の気象を予測するのです。

 気象庁気象研究所などの研究者はこれを使い、温暖化対策をとらず経済活動が進むと仮定して今後100年の台風の発生状況を予測しました。すると、中心気圧914ヘクトパスカルと観測史上まれに見る勢力の台風が2090年代に発生する、との結果が出ました。

 この台風は四国に接近、1時間に80ミリ以上の猛烈な雨をもたらし、わずか2日で月間雨量に達します。

 地球シミュレータの予測は天気予報ではなく、仮定の将来です。100年後はコンピューターの中の世界の年代ですが、温暖化が進んで実際にこのような台風が発生すれば吉野川は決壊し、市街地が浸水、暴風で電柱が倒壊(とうかい)すると専門家は警告します。

 気象研究所の鬼頭昭雄・気候研究部長は「実験結果によると、熱帯低気圧の発生個数は全世界で約3割減るが、逆に風速が強くて雨の多い強大なものは増えていく」と予測します。

 ◆豪雨も増える

 温暖化がすすめば集中豪雨も増えていきます。

 気象庁によると、国内で1日の降水量が200ミリを超えた日数は、約80年前の約1・4倍に増えました。またかつては豪雨といえば西日本が多かったのが、最近は北海道や東北でも起きています。

 今後、海水温度が上がると、より北の方でも熱帯低気圧が発生し、強い自転の力の影響を受けて勢力を増し、日本に上陸する恐れが出てくるでしょう。

 海に囲まれて山の多い複雑な地形の日本は、西は大陸、東は太平洋と隣り合わせ、世界的にも気象予測の難しい国といわれます。防災面からも様々な備えをしておくことが大切です。

 <調べてみよう!>

 ●台風は赤道の真上では発生しません。なぜでしょう

 ●あなたの街周辺で近年起きた集中豪雨は? 総雨量は何ミリでしたか

 ●台風が北上後、日本付近で東寄りへ方向転換するのはなぜでしょう

■台風のしくみ

海水が蒸発

  ↓

水蒸気が水滴に変わり熱を放出

  ↓

上昇気流で積乱雲が発達

  ↓

地球の自転で渦が発生

熱帯低気圧から台風に成長

  ↓

勢力を増し北上

  ↓

水は降水として雲から離れる

  ↓

海水へ

■温暖化で台風はこうなる(イメージ)

個数は減るが、大型台風の発生数は増える。海水温度の上昇で水蒸気量が増え、多量の「エネルギー」が供給されるため

■日降水量200ミリメートル以上の年間発生回数

(100地点あたり。気象庁の資料から)

76〜86年 平均12.3回

87〜96年 平均13.7回

97〜06年 平均18.5回

■温暖化で予想される影響

●気候変化 農業:農作地の移動、高温障害、かんがい用水不足、病害虫の増加

●異常気象の発生 干ばつ、熱波、低温、長雨、大型の台風

●海面水位の上昇 沿岸の土地の消失、海水の侵入による陸水の塩水化(生態系、利水への影響)、高潮、洪水被害の増加

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