ののちゃん
藤原先生
ののちゃん この前の冬は寒くて、湯たんぽに大活躍(だいかつやく)してもらったよ。
藤原先生 そのお湯、朝にはどうしてた?
ののちゃん え? 流しに捨ててたけど。
藤原先生 先生はそのお湯で顔を洗ってたよ。寒い朝には大助かりだった。
ののちゃん う〜ん、私はお湯の栓(せん)をひねって新しいお湯を使ってたな。でもウチのお母さんは、お風呂(ふろ)の残り湯を洗濯(せんたく)に再利用してるよ。温かくて汚れがよく落ちるんだって。
藤原先生 実はね、今、これまでは捨てていた熱を有効に利用しようという、いろんな取り組みが広まって いるのよ。
ののちゃん どうしてなの?
藤原先生 そのぶん、新たに発生させる熱を減らせるでしょ。そうすれば都市の温暖化(おんだんか)を防げるし、石油やガスを燃やさずにすむから地球温暖化にもブレーキをかけられるのよ。
◆下水や地下鉄の熱→暖房に トラックで、ごみ焼却の熱輸送
「下水は魅力(みりょく)的な熱源(ねつげん)です。特に真冬は外気より約10度も高い」と、東京下水道エネルギー社の猿渡政人・技術課長は説明します。今の生活スタイルは、お湯をたくさん使うからです。
同社は、この下水を利用して、東京ドーム周辺のホールやホテル、金融機関(きんゆうきかん)などのオフィスビルに暖房(だんぼう)用のお湯を供給しています。
下水の熱を利用するには、水をためたタンクに細い管を多数通した設備を使います。この管に下水を流すと、管の壁(かべ)から熱が水に伝わります。その水をヒートポンプという装置に通して、さらに温度の高い暖房用のお湯をつくるのです。
冷たい外気を温めて温風にする暖房に比べ、下水から熱をもらっている分、エネルギーを節約できます。この地域で冷暖房システムを共有している効果も加わって、省エネ率は4割、二酸化炭素削減(にさんかたんそさくげん)率は5割に達するそうです。
東京・新宿では、地下鉄の都営大江戸線から出る廃熱(はいねつ)を、駅の隣(となり)のビルで暖房に利用しています。
「大江戸線の車内は、年中、冷房しています」と東京都交通局電力課の辻本昭一・機械設備(きかいせつび)係長は意外な事情を教えてくれました。
大江戸線は建設費節約のために普通の地下鉄より細いトンネルにしたので、モーターなどの熱がこもりやすいうえ、車両も小さくて人いきれの逃げ場もありません。冬も、乗客は厚着ですから暑く感じてしまいます。
それで軽く冷房します。すると車両のエアコンの室外機(しつがいき)から熱が車外に捨てられます。こうした熱や、モーターの発熱で駅構内が暑くなるのを防ぐため、構内の暖かい空気を熱交換器(ねつこうかんき)という装置に送って熱を取り出します。さらにヒートポンプで熱くして、ビル暖房用のお湯をつくります。
困りものの廃熱が、省エネに役立っているのです。
青森県栽培漁業(さいばいぎょぎょう)センター(階上<はしかみ>町)では、海水の水槽(すいそう)でヒラメやアワビを育てており、成長を速めるために重油を燃やして水を温めています。そして今月、隣の同県八戸市にある廃棄物(はいきぶつ)処理会社・奥羽クリーンテクノロジーから、「熱」の買い入れを始めます。重油より安く、二酸化炭素も出さずにすみます。
クリーンテク社でごみを焼却(しょうきゃく)するときに出る熱を、約18キロ離れたセンターまで「蓄熱材(ちくねつざい)」の詰まったコンテナでトラック輸送するのです。蓄熱材は、たくさんの熱を蓄えられる性質を持った物質です。
熱の取り込みには、蓄熱材と相性がいい油を循環(じゅんかん)させます。お風呂にたとえると、風呂釜(がま)の熱が水に移ってお湯になり、お湯は熱を人の体や風呂場に伝えて冷めると、再び風呂釜に戻ってまた温められる――この水の役割を油が行うのです。
トラックが栽培漁業センターに到着したら、今度はコンテナ内の蓄熱材から油で熱を引き出し、海水に伝えます。
将来、余分な熱が出る工場、発電所などと、暖房や給湯に熱が欲しいオフィスビル、公共施設(こうきょうしせつ)などの間を、熱を積んだトラックが走り回るようになるかもしれません。
<調べてみよう!>
●家庭や学校での熱の再利用には、どんな例があるかな
●地域のごみ焼却場では、発生する熱を何かに使っているか、調べてみよう
●発電所や製鉄所など高熱の発生源は、温暖化防止に努めているかな
新聞、ニュースを調べ学習や自由研究に役立てるページです。ご感想・ご質問、NIEについての問い合わせなどは、NIE事務局(nie-asahi@asahi.com)まで。