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進化続ける、スポーツ用具

2008年7月24日   朝日NIEスクール

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ののちゃん 8月に始まる北京五輪を前に、英スピード社製の水着が注目を集めたね。

藤原先生 そうね。理由はこの水着を着た選手たちが、世界新や日本新を連発したからなのよ。国内3社と水着提供の契約を交わしている競泳の日本代表も、五輪で最高の成果を上げるため、現場からの意見を尊重して、着られるようになったのよ。

ののちゃん へえー。そんなに水着一つでタイムが違ってくるんだ。練習量や自分の能力以外にも道具でタイムって変わるものなの?

藤原先生 そうね。陸上のスパイクにしろ水着にしろ、道具は常に進化しているの。そのおかげも少なからずあって100年前と比べて、水泳や陸上競技の記録はどんどん速くなっているのよ。では今日は、どのようにその道具が進化していったのか、どこが変わったのか調べてみましょうね。

 ○陸上・水泳のタイム、100年で飛躍的上昇

 陸上や競泳などを見てみると、ここ100年でタイムは飛躍的に速くなっています。

 五輪競技の中でも注目される陸上男子100メートル。今年5月にウサイン・ボルト(ジャマイカ)が9・72秒の世界記録をマークしました。国際陸連によると、1912年当時、10・6秒だった世界記録から比べると、実に0・88秒もの短縮です。

 速くなった原因は、筋力トレーニングなどといった練習方法がより科学的になったことが一番大きいと言われます。加えて選手が使う道具の進化も記録上昇に貢献(こうけん)していると言えます。

 ●片足200グラム

 陸上短距離のスパイクも性能、素材は昔と比べ、進化を遂(と)げました。1940年当時のスパイクは表面の素材に革が使用されていました。当時のトラックが土で出来ていたため、ピンは鉄製。長さは15〜18ミリと今のピンに比べて長め。重さは片足だけで200グラムありました。

 それが70年代からナイロンのような合成繊維が素材として登場し、現在はメッシュ素材。強い衝撃(しょうげき)が足首にかかる100メートルで足首がぶれないようにと、素材が伸びにくいといった特徴があります。さらに靴裏もナイロン樹脂(じゅし)にすることで軽量化に成功。ロサンゼルスとソウルの両五輪100メートルで優勝したカール・ルイスが91年に履(は)いた靴は片足115グラムでした。

 靴の裏のピンの数、位置も走りや足がどのように地面をとらえるかなどが分析されるようになり変化を遂げました。40年当時、ピンは片足に6本。これが均等(きんとう)についていたのに対し90年代前半はそれぞれ10本、そして今の主流は7本ずつ。選手のけり出す最良な場所にピンが配列されるようになり、より効果的に選手は力を発揮出来るようになりました。北京五輪の男子200メートルに出場する末続慎吾(すえつぐしんご)選手は、走りにあわせて片足9本のピンで臨むと言われています。

 スピード社の「レーザー・レーサー」(LR)の登場で話題になった競泳水着も素材、形ともに大きく変わりました。36年ベルリン五輪で絹だったものが、60年代にはナイロン製、70年代にはポリウレタン製。伸縮性が向上し、より体と水着がフィットするようになり、体への水の浸入(しんにゅう)がなくなりました。96年には水をはじく撥水(はっすい)加工が本格的に施(ほどこ)されるようになり、水中での重さが軽減(けいげん)しました。

 形も64年東京五輪当時、スカート型だった女子の水着は92年のバルセロナ五輪などでは、背中が大きくカットされるなど動きやすさを追求しました。水着全体の表面積を少なくしようと男子はビキニ型、女子ではハイレグ水着。しかし、水着の表面抵抗を減らそうという考えが出てくると、全身を覆(おお)うフルスーツが2000年代から登場。カワセミやカジキマグロといった鳥や魚からヒントを得て表面に突起物(とっきぶつ)を設けたり、生地表面の水にぬめりをもたせる素材を使用したりすることで、抵抗を低減(ていげん)させる水着も開発されました。

 ●選手の努力95%

 LRの登場で世界記録がどんどん誕生していますが、ミズノの河野光裕(かわのみつひろ)・ランニングシューズ企画課主事は「タイムが速くなっている原因は95%は選手の努力です」と話します。

 トップ選手は、ものすごい練習量をこなすから、無駄なものを省いた進化した靴などが履けるのです。一般の人が五輪選手と同じ靴を履いたらタイムが伸びるどころか、逆にケガをしてしまいます。まずは体を鍛(きた)え、練習を積むことが、タイム向上には一番大切なんです。 (吉原大介)

 <調べてみよう>

●五輪に出場する選手がどんなスパイクを履いたり、水着を着たりしているかを注意深く見てみよう

●陸上や競泳の種目別の世界記録の変遷を調べてみよう

●ほかのスポーツの道具の進化を調べてみよう

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