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辞書引く子ども、急増中

2008年11月4日   朝日NIEスクール

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ののちゃん 先生、「怠惰(たいだ)」ってどういう意味?

藤原先生 分からない言葉があったら、自分で辞書を引きましょうね。そう教えたでしょ。

ののちゃん えー、初めて聞いた。

藤原先生 最近は小学1年生から辞書をいっぱい引く学習をしている学校が増えているの。引いた言葉のページに付箋(ふせん)をはって、もう何千にもなった子もいるんだって。ののちゃんも見習ったら。

ののちゃん あれ、引いたけど、載(の)ってない。

藤原先生 それは英和辞典。英語の意味が日本語で出てるの。ほかにも漢字を調べる漢和(かんわ)辞典、似た言葉が並ぶ類語(るいご)辞典、絵を使った小さい子ども向けの辞典もあるのよ。言葉の意味を知りたいときは、はい、国語辞典。

ののちゃん あ、あった、「なまけておこたること」だって。つまり、先生みたいなことだね。

藤原先生 ……

    *

 ◆売り上げ伸ばす、小学生向け辞書

 京都市北区の立命館小学校。1年生の教室の棚(たな)には、付箋がびっしりと挟まれ、ふくらんだ辞書が並んでいます。子どもたちが辞典を買ったのはこの5月。わずか半年ほどで2千〜3千語を引いた子もいます。

 「辞書引き学習法」は、深谷圭助校長が、愛知県の公立小学校で教えていた頃に考えたものです。

 5年生の社会科の授業で、国語辞典を持ってきて調べる子がいました。国語辞典には、地名や人物、歴史的なできごとも載っています。これはいいアイデアと、すべての教科で、いつも国語辞典をそばに置くようにしたところ、みんな競って引き始めました。給食の時間だって、食材を調べるために辞書を手放しません。付箋は、ある子が使っているのを見て、まるでカード集めのようで楽しそうだと採り入れました。

 ●低学年は熱心?

 教科書で国語辞典の使い方が出てくるのは3年生からですが、低学年の方がむしろ、上の学年より熱心に辞書を引きました。深谷先生は「習い始めたばかりの方が、新しい言葉を知りたい、使いたいという気持ちが強い」と話しています。

 この「辞書引き学習法」がきっかけとなり、小学生向けの辞典の売り上げが伸びています。ベネッセコーポレーションの「チャレンジ小学国語辞典」と「チャレンジ小学漢字辞典」の販売数は07年度、約23万7千部で01年度の3・2倍に。三省堂の国語辞典は05年度の2割増、小学館も前年比で1割近く増えているそうです。

 手軽に引けてかさばらない電子辞書の普及(ふきゅう)などで、紙の辞書全体の売り上げは大きく落ちています。業界では、00年は1200万部あった市場が、07年には650万部と、ほぼ半減したと言われています。小学生向けの辞書の伸びは、異例のことなのです。

 ●過程も楽しめる

 出版社も、もっと魅力(みりょく)のある辞書をつくろうと工夫しています。

 三省堂は「例解(れいかい)小学国語辞典」の第4版を11月下旬に出す予定で改訂(かいてい)作業を進めています。改訂とは、どの言葉を載せるかや、どんな風に説明するかを見直すことです。今回はすべての漢字にルビも入れます。通常の本だと試し刷りは1、2度ですが、今回は4度も繰り返し、印刷ぎりぎりまで間違いはないか、表現は適切か確かめました。辞書ならではの慎重(しんちょう)さです。

 昨年12月に改訂したベネッセの「チャレンジ小学漢字辞典」は、実際に小学校の先生の意見を聞いて、子どもに、より分かりやすい表現に直しました。「うやまう」を「尊敬(そんけい)する」にしたり、「発注(はっちゅう)」を「注文」にしたりしたそうです。

 小学館からは来年1月に「例解学習類語辞典」が出ます。同じ怒りを意味する言葉も「おかんむり」や「頭にくる」「激怒(げきど)」があります。参考にすれば、作文でもいろんな言葉を使い分け、豊かな表現ができるようになります。

 小学生のころから辞書を読むのが好きだったという深谷先生は「引きたい言葉だけでなく、それを見つける過程でも発見があるのが紙の辞書の楽しいところです」と話しています。(星賀亨弘)

 <調べてみよう>

 ●同じ言葉も、辞書によって説明が違うんだ。友だちの辞書と比べてみよう

 ●漢字辞書(漢和辞典)には漢字の見つけ方が三つあるんだって。どんな方法かな

 ●まだ辞書に載っていない新語を探してみよう

    *

【類語辞典】小学生〜

 50音順に言葉が並ぶ国語辞典とって、「走る」「頭」「熱い」などの項ごとに、似た言葉、仲間の言葉「類語」を集めました。小学館の小学生向け類語辞典には、母の類語に「代理母」、結婚の類語に「できちゃった結婚」といった言葉も載っています。

【えじてん】入学前〜

 小学校に入る前の子どもたちにも分かるように、絵を使った辞典もあります。説明する言葉は少なくても、ひと目で意味が伝わるような絵が描かれています。三省堂は「ことば」「かず」などのシリーズがあり、小学館からも「ことばのえじてん」が出ます。

【辞書引き学習法】小学生〜

 小学1年生から国語辞典、漢和辞典を使わせる学習法。調べた順に番号を書いた付箋(ふせん)をはっていくので、子どもたちはコレクション感覚で辞書をどんどん引いていくそうです。立命館小学校の深谷圭助校長の著書で全国に広がりました。

【ルビ】小学生〜

 漢字のそばに小さく印刷されたふりがなのことです。まだ漢字を習い始めたばかりの1年生から辞書を使う子が増えてきたので、これまで難しい漢字にしかルビを振っていなかった辞書も、すべての漢字に振るように変わってきています。

 <NIE> 英語のニュースペーパー・イン・エデュケーションの略で、「教育に新聞を」と訳します。授業などで新聞を「生きた教材」として使う活動です。