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八丈語? 世界2500言語、消滅危機 日本は8語対象、方言も独立言語 ユネスコ

2月20日付け夕刊1ページ 1総合

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 【パリ=国末憲人】世界で約2500の言語が消滅の危機にさらされているとの調査結果を、国連教育科学文化機関(ユネスコ、本部パリ)が19日発表した。日本では、アイヌ語が最も危険な状態にある言語と分類されたほか、八丈島や南西諸島の各方言も独立の言語と見なされ、計8言語がリストに加えられた。

 調査は、全世界で6千前後あるといわれる言語を調査。538言語が最も危険な「極めて深刻」に分類され、このうち199語は話し手が10人以下だった。続いて「重大な危険」が502語、「危険」が632語、「脆弱(ぜいじゃく)」が607語だった。サハラ以南のアフリカ、南米、メラネシアで目立っていた。

 また、1950年以降消滅した言語が219語にのぼった。最近では08年、米アラスカ州でイヤック語が、最後の話者の死亡で途絶えた。

 日本では、アイヌ語について話し手が15人とされ、「極めて深刻」と評価された。財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構(札幌市)は「アイヌ語を日常的に使う人はほとんどいない」としている。アイヌ語はロシアのサハリンや千島列島でも話されていたが、いずれもすでに消滅していた。

 このほか沖縄県の八重山語、与那国語が「重大な危険」に、沖縄語、国頭(くにがみ)語、宮古語、鹿児島県・奄美諸島の奄美語、東京都・八丈島などの八丈語が「危険」と分類された。ユネスコの担当者は「これらの言語が日本で方言として扱われているのは認識しているが、国際的な基準だと独立の言語と扱うのが妥当と考えた」と話した。

 ユネスコは96年と01年にも危機にさらされている言語調査を実施。今回は30人以上の言語学者を動員して全世界を包括的にカバーする例のない規模の調査となった。目的について、ユネスコは「言語は常に変化する。その変化の実態を知るため」と説明。今後継続的に調査を続けるという。

 ユネスコのフランソワーズ・リビエール事務局長補は「言語消滅の原因には、次世代に伝える意思を失うという心理的要素が大きい。自信を持って少数言語を話せるよう条件づくりに努めたい」と話している。

 ●「復活難しいが記録残したい」 八丈町教委

 ユネスコの調査結果について、八丈町教育委員会教育課の菊池良治さん(38)は「『島言葉』は高齢化で話す人も減り、消えつつあるので、どうにかしたいと思ってました。いい契機になります」と評価した。数十年前に録音された島言葉の音声データを町のホームページにアップすることも検討中だという菊池さんは「復活させるのはもう難しいでしょうが、愛着ある言葉なので記録として残したい」と言っている。

 ◇固有の文化あれば

 <崎山理・国立民族学博物館名誉教授(言語学)の話> 方言と言語の区別は明確ではなく、政治的に決まってくる部分もある。私は話し手が固有の文化を持っていれば、独立した言語とするべきだと思う。琉球諸島では、かつてはそれぞれの島の言葉は大きく異なっていたが、交通が盛んになるにつれて元の形が失われている。単一民族神話も手伝って、日本で話されている言語は一つだけと思われがちだが、実は多様性があることを知ってほしい。

 ■八丈島の言葉

 でえーじけ 美しい
 しゃしゃい 熱い
 みく 歩く・行く
 わいきゅる しかる、おこる
 ねっこけ 小さい
 (八丈町発行の「八丈島誌」から)

 ■南西諸島のことばの違い

  ありがとう いらっしゃいませ
 奄美名瀬 アリガテサマリャオタ イモリィ
 沖縄那覇 ニフェーデービル メンソーレー
 宮古平良 タンディガータンディ ンミャーチ
 八重 山石垣 フコーラサーン オーリトーリ
 (琉球大学付属図書館「琉球語音声データベース」の「琉球語概説」から)

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