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手洗い・うがい、新型インフルエンザ予防の基本 コストかけずに感染対策

7月10日付け朝刊27ページ 生活2

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 新型の豚インフルエンザの感染が広がり続けている。世界保健機関(WHO)が世界的大流行(パンデミック)にあたる「フェーズ6」を宣言して約1カ月。国内での感染者は2千人を超えた。秋以降にあり得る「第2波」の流行では、さらに感染者が増えると心配されている。予防の基本と言われる手洗い、うがいの効果を改めて探ってみた。(小堀龍之、武田耕太)

 「とくにせっけんを用いた手洗いとうがいは重要です」

 京都大保健管理センターは4月末、今回問題になっている新型インフル対策に関する情報を同大ウェブサイトに掲載した。

 京都府内で新型インフル感染が発生し、約40大学が休講を決める中、京大は通常通り授業を続けた。感染拡大を防ぐため、教員や学生に勧めたのがうがいや手洗いだ。

 うがいの風邪予防効果については、同センターの研究グループが02〜03年、約390人を無作為に「うがいしない」「水で1日3回以上うがい」「ヨード液で1日3回以上うがい」の3グループに分け、検証したことがある。

 すると、水うがいした人はうがいをしなかった人より4割も風邪にかかりにくいことがわかった。細菌やダニ由来のウイルス感染を助長する物質が、水でほこりと一緒に洗い流されたらしい。

 一方、実は「うがいはインフルエンザ予防に有効という証拠がない」と疑問視する研究者もいる。京大の研究も、風邪ではないインフルエンザについては、データが少なく効果はよくわからなかった。

 厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議の委員を務める北里大学医学部の和田耕治・助教(公衆衛生学)は、うがいについて「日本固有の習慣。海外のガイドラインでは推奨するような表現は出てこない」と指摘する。

 ウイルスは体に侵入すると30分程度で細胞内に入って増殖するという。このため、外出後にうがいをしても、表面を洗うだけになってしまい、「すでに侵入してしまったウイルスには効果はないのではと考えられています」。

 ただ、うがいをすることは健康に関する意識が高いことのあらわれ、ともいえる。和田さんは「科学的根拠が確立されていないからといって、うがいそのものを全否定する必要もないのではないか」と指摘する。

 うがいの効果を調べた川村孝・京大保健管理センター所長も「風邪の症状はインフルエンザと似ていてまぎらわしいが、うがいで風邪を防ぐことができればよけいな心配をしなくてすむ。コストもかからない」と話す。

 ●手洗い、最低15秒以上

 手洗いは、なぜ必要なのだろうか。

 たとえば、インフルエンザの患者がくしゃみを押さえたり鼻水をぬぐったりした手で、部屋のドアノブや電気のスイッチ、手すりなどに触れ、そこにウイルスが付いたとする。

 健康な人が、そうした患者のさわった部分に触れると、ウイルスが手にくっつくことがある。その手で自分の鼻や目などをこすると感染する可能性がある。

 北里大の滝龍雄・准教授(微生物学)は「ウイルスが手についたとしても、いつもきちんと手洗いしていれば汚れと一緒に流せる」と話す。ただの水洗いでも効果がないわけではないという。

 手洗いの効果は、薬剤の濃度や温度、手洗い時間、手の汚れ具合が影響する。つめや指の間、手の甲など、洗い残しがないよう注意が必要だ。

 手洗い時間は、家庭の場合「最低15秒以上」(国の指針)が勧められている。米疾病対策センター(CDC)も衛生的な手洗いの時間を「15〜20秒」としている。イメージとしては「ハッピーバースデー」の歌を2回歌うくらいだという。正しいやり方=図=も身につけたい。

 速乾性のアルコール手指消毒剤を出入り口などに置いている企業もある。すぐに乾き、水やハンカチなども必要ない。アルコール成分が60〜95%含むものに消毒作用があるという。自宅用として、ドラッグストアなどでも手に入る。

 消毒剤を使う場合、両手で手の表面全体をくまなく乾くまですり込む。乾くときにウイルスが死滅すると言われており、ぬれた手では使わないようにするほうがいいという。規定量の目安は「15秒以内に乾燥しない程度の量」。製品にもよるが、だいたい一押しでその程度の量が出るようになっているそうだ。

 通常の手洗いと一緒で、指の間や手首も忘れずに。アルコール性なので高温な場所や火気のある場所から離して保管する。水気のない外出先で使うために、消毒剤を携帯している人もいる。

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