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産地偽装疑惑で揺らぐ氷見ブリ 地元漁協、ブランド管理に本腰

1月11日付夕刊1ページ 1総合

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氷見魚市場で初競りにかけられた氷見産の寒ブリ=4日、富山県氷見市比美町、久永写す

 冬の味覚、富山県氷見(ひみ)市のブランド魚「氷見の寒ブリ」の信用が揺らいでいる。東京・築地市場から、一部に他県産が混じる産地偽装疑惑を指摘されたためだ。長年、明確な基準を作らずに運用してきたのが災いした格好で、地元漁協は商標登録を含めたブランド管理に乗り出した。(久永隆一、天野彰人)

 「氷見産ブリ 産地表示についての要望書」。築地市場の卸売業者で作る「東京都水産物卸売業者協会」が昨年12月16日付で出した文書が、騒動のきっかけだった。

 要望書などによると、産地偽装の疑いがあるのは氷見市の仲買業者が同月13〜15日、氷見産として築地市場に出荷した824本の一部。卸売業者らから「脂ののりが悪い」などの声があがった。

 築地市場で氷見ブリは、他県産より最大で5割ほど高く取引される。関係者によると、以前から、氷見漁協から連絡がある水揚げ高よりも築地に入ってくる数の方が多いという疑念もあったという。漁協を通さずに業者間で他県産を取引しているとみられる。

 慌てたのは地元の漁協側だ。疑惑が指摘されている仲買業者は、漁協の調査に「否定も肯定もしていない」状態だといい、漁協は富山県に調査を一任した。

 一般的に氷見ブリとは、北海道や東北近海から南下し、氷見沖や近接する石川県七尾沖の定置網で取れ、氷見漁港に水揚げされたものを指すが、明確な基準や管理体制はなかった。さらに流通に使う青い発泡スチロールの箱も、仲買業者が独自に作り管理することができる。統一の形式はなく、印字される文言も様々。氷見の仲買業者が空箱に他県産を入れる不正の余地が、ずっと残されてきた。

 要望書を受けて漁協は(1)氷見産ブリの海域の確定(2)商標登録(3)氷見産と証明するタグの添付方法(4)タグなどのデザインの意匠登録(5)箱の統一――をブランド管理策の柱とし、今年秋までの実施を目指すことを決めた。

 「管理は業者のモラル頼り。商標登録は考えてこなかったが、甘かったかもしれない」と漁協幹部は言う。

 ●各地に先例

 農林水産物の地域ブランド化は各地で行われている。地域ブランド化には、特許庁に「地域団体商標」を登録するのが一般的。農協や漁協などの事業団体が申請し、審査に2年程度かかる。農林水産省は2008年度から地域ブランド化の支援事業を実施しており、10年10月段階で農林水産物や食品は全国で238件が登録されている。

 大分県の旧佐賀関町(大分市)沖でとれる関アジ・関サバは魚体に、管理番号入りのシールをつけている。同県漁協佐賀関支店によると、水揚げは多いときに千本超。以前は尾っぽにタグをつけていたが、今は出荷本数に応じて箱にシールを入れ、店頭で貼ってもらっている。

 氷見ブリは、多いときには水揚げ量が5千本を超えることもあるため、水揚げから競りまでの短時間にどれだけのシールやタグを付けられるかなどが課題になるという。

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