
1.北の大地の先住民・アイヌ
かつて蝦夷(えぞ)地と呼ばれていた北の大地で、アイヌの人たちは暮らしてきました。明治政府はそこを北海道と言い換え、開拓のための役所を札幌に置いて屯田(とんでん)兵などを送り込みました。その後の同化政策もあって、アイヌの血を引く人たちの中にもアイヌの言葉を話したり理解したりする人は少なくなってしまい、今日ではアイヌ文化の継承はなかなか困難な状況になっています。
先進国による北海道洞爺湖サミット(2008/7/7-9)が開かれ、世界の耳目が北海道に集まっているこの機会に、アイヌの人たちの暮らしや文化、さらには世界の先住民族を取り巻く問題について考えてみましょう。
2.学習のポイント
(1)アイヌの言葉や文化
「アイヌモシリ」は「アイヌの人たちが暮らす静かな大地」という意味です。今の北海道をアイヌの人たちが、そう呼んでいたことはあまり知られていません。そもそもアイヌとは、どのような意味なのでしょう。「カムイ」や「ユーカラ」、「ウタリ」や「イヨマンテ」など、アイヌの言葉を耳にしたことがあると思います。この他にもアイヌの物語やムックリという楽器の音色など、興味をもったアイヌの言葉や文化について、百科事典や国語辞典、ホームページなどで調べてみましょう。
<参考ホームページ>
財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構
http://www.frpac.or.jp/
財団法人アイヌ民族博物館
http://www.ainu−museum.or.jp/
(2)アイヌ民族の歴史
中学校の歴史の教科書には、シャクシャインを指導者としてアイヌの人々が蜂起(ほうき)し松前藩と戦ったことが記されています。いつの時代のことで、何が原因でどのような結末になったのか調べてみましょう。さらに、記事に添えられた年表の中から、興味を持ったことを調べてみましょう。
<参考図書>
『北海道の歴史がわかる本』桑原真人・川上淳(亜璃西社・ありすしゃ)
(3)アイヌ民族の地位の向上や文化の継承発展の取り組み
アイヌ民族から初めて国会議員になった萱野(かやの)茂さんは、国会の場でアイヌの人たちへの偏見や差別の解消を訴え、アイヌ民族の尊厳を傷つけてきた「北海道旧土人保護法」(1899年・明治32年制定)を廃止し「アイヌ文化振興法」(1997年)を成立させました。
萱野茂さんの生き方や「アイヌ民族の尊厳を確立するため、その社会的地位の向上と文化の保存・伝承及び発展を図る」ことを目的に結成された社団法人北海道ウタリ協会の活動について調べてみましょう。
<参考図書>
『萱野茂 アイヌの里 二風谷に生きて』萱野茂(日本図書センター)
『写真で綴る萱野茂の生涯 アイヌの魂と文化を求めて』萱野れいこ(農文協)
『アイヌ語が国会に響く 萱野茂・アイヌ文化講座』萱野茂ほか(草風館)
<ホームページ紹介>
社団法人北海道ウタリ協会
http://www.ainu−assn.or.jp/
(4)世界の先住民族が置かれている状況
世界各地から約20の先住民族の代表が萱野茂さんの出身地である平取(びらとり)町に集まり「先住民族サミット アイヌモシリ2008」(2008/7/1-4)が開かれました。北海道洞爺湖サミットに提言する先住民族の権利などが話し合われました。先住民族の人たちはどのようなことを訴えているのか、紙面から読み取ってみましょう。
<朝日新聞の参考紙面>
・「時時刻刻 尊厳回復 高まる期待」2008/6/7付 朝刊2面
・「時時刻刻 先住民の声 世界へ」 2008/7/4付 朝刊2面
・「伝統的暮らし実践の尊重を 先住民サミット閉会」2008/7/5付 朝刊37面
3.発展学習として
金田一京助は、アイヌ語の研究で知られる言語学者です。次に紹介する本の冒頭の短編「片言をいうまで」(1931年)は、のちに改題されて中学校の国語の教科書に掲載され、多くの人たちがアイヌの言葉やアイヌの人たちに興味を持つきっかけとなったものです。私事で恐縮ですが、再読し、当時の読後感が懐かしくよみがえりました。何はともあれ一読をお勧めします。
<参考図書>
『ユーカラの人びと 金田一京助の世界1』金田一京助著、藤本英夫編(平凡社)
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