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エラだとなぜ水中(すいちゅう)で息(いき)できる?
★大阪府・高田大晴(たかだたいせい)さん(中1)からの質問★
(朝日新聞社発行 2014年8月2日付be)
■少(すく)ない酸素(さんそ)をうまく吸収(きゅうしゅう)するの
◇ ののちゃん◇
この夏(なつ)休みこそ、50メートル泳(およ)げるようになりたい! でも息(いき)つぎが苦(くる)しくって。魚みたいにエラがあったらなあ。エラだとなぜ水の中で息ができるの?
◆ 藤原先生 ◆
水中にも、空気中の30分の1ほどは酸素(さんそ)が含(ふく)まれていて、エラならそのわずかな酸素を吸収(きゅうしゅう)できるのよ。といっても、エラと肺(はい)は兄弟みたいな器官(きかん)で、酸素を吸収する原理(げんり)も同じなんだけどね。
◇ のの ◇ え、同じなの?
◆ 先生 ◆
部屋(へや)の中で芳香(ほうこう)スプレーをひと吹(ふ)きすると、最初(さいしょ)はその辺(へん)だけが強く匂(にお)うけど、だんだん部屋全体が匂うようになるね。ものは濃(こ)い方から薄(うす)い方へ移動(いどう)していくからよ。
◇ のの ◇ その性質(せいしつ)が、エラや肺とどうつながるの?
◆ 先生 ◆
体の中では酸素がどんどん使われるので、エラや肺に流(なが)れてくる血液(けつえき)の中には酸素が乏(とぼ)しいの。それよりは水中の方が多いし、もちろん空気中には豊富(ほうふ)なわけ。
◇ のの ◇
水中や空気中の方が、血液の中より酸素が濃いんだね。
◆ 先生 ◆
だから、魚が飲(の)み込(こ)んだ水がエラに触(ふ)れ、私(わたし)たちが吸(す)い込んだ空気が肺の内部に触れたとき、その表面(ひょうめん)を通して酸素が血液の中に入ってくるわけ。そして血液の流れで体中に運(はこ)ばれるの。
◇ のの ◇ エラも肺も同じ原理なのかあ。じゃあ、なぜ肺で息をしてる動物は水中では窒息(ちっそく)しちゃうの?
◆ 先生 ◆
水中の少ない酸素を効率的(こうりつてき)に吸収するために、エラは、血液の流れと水の流れの向きが巧(たく)みに組み合わされるなど、とてもうまい仕組(しく)みになってるの。空気中には酸素が豊富だから肺はそんなふうにはできておらず、エラの代役(だいやく)は無理(むり)よ。
◇ のの ◇ そうなの。でも、エラがそんなに高性能(こうせいのう)なら、魚は空気中でも楽らく息ができるはずじゃない?
◆ 先生 ◆
待(ま)って。酸素をよく吸収するには、エラでも肺でも、酸素の入り口となる表面の面積(めんせき)が広いことが大事(だいじ)。だからのっぺりした表面ではなく、入り組んでるの。
◇ のの ◇ どんなふうに?
◆ 先生 ◆
肺の中は多数(たすう)の小部屋に分(わ)かれてるし、エラは髪(かみ)みたいで1本1本の“毛”の中まで細い血管(けっかん)がたくさん通り、毛の間を水が抜(ぬ)けていく間に酸素が血液の中に入るの。
◇ のの ◇ エラはフサフサなんだね。
◆ 先生 ◆
でも、水中なら髪はフワッと持ち上がってるけど、水から上がるとペチャッとなって、髪の中を空気がスースー通るというわけにはいかないでしょ。エラも水から出ると肝心(かんじん)の形を保(たも)てず、働(はたら)けないの。
◇ のの ◇ エラも肺も両方(りょうほう)あれば、水陸(すいりく)両用(りょうよう)でスーパーなのに。
◆ 先生 ◆
プロ野球(やきゅう)の大谷選手(せんしゅ)の「投手も打者も」がはたして成功(せいこう)するかドキドキするね。「両刀(りょうとう)使い」ってそのくらいむずかしい道なのよ。
(取材協力=小寺春人・鶴見大学学内教授、浦野明央・北海道大学名誉教授、構成=武居克明)
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