現在位置:
  1. asahi.com
  2. 朝日新聞社から
  3. NIE
  4. ののちゃんのDO科学
  5. 記事

夜はなぜ遠くのラジオが入るの?

 宮城県・早坂清信(はやさかきよのぶ)さん(29)からの質問(朝日新聞社発行 7月25日付be)

印刷

写真

 ●電波(でんぱ)が上空(じょうくう)で反射(はんしゃ)されて届(とど)くの

 ◇ののちゃん 夜中(よなか)にAMラジオをつけたら、遠(とお)くの県(けん)や外国(がいこく)の放送(ほうそう)が聞(き)こえたよ。昼間(ひるま)は聞こえないのに、なんでだろう。

 ◆藤原(ふじわら)先生 ラジオは電波(でんぱ)で届(とど)くのは知(し)っているわね。電波は光(ひかり)と同(おな)じ性質(せいしつ)をもっていて、放送局(きょく)のアンテナから発信(はっしん)されるとまっすぐ進(すす)むんだけど、地球(ちきゅう)は丸(まる)くて、途中(とちゅう)に山(やま)や高(たか)いビルなどの障害物(しょうがいぶつ)もあるから、届く距離(きょり)は限られるわ。AMの場合(ばあい)、通常(つうじょう)は50〜100キロほど。でも、夜中だと、アンテナから上空(じょうくう)に向(む)かって飛(と)び出(だ)した電波が、空(そら)の上(うえ)の方(ほう)にある「電離層(でんりそう)」という層にはね返(かえ)されて、遠くまで届くようになるのよ。

 ◇ののちゃん で・ん・り・そ・う???

 ◆先生 地上(ちじょう)から60キロ以上(いじょう)の高さにある大気(たいき)の層よ。大気は酸素(さんそ)や窒素(ちっそ)などが集(あつ)まったものでしょう。電離層では、こうした酸素や窒素などがもつ電子(でんし)が太陽(たいよう)の光を受(う)けて、ばらばらに分離(ぶんり)した状態(じょうたい)になっているの。電離層は分離した電子の密度(みつど)が少(すく)ない方から順(じゅん)にD層(地上60〜90キロ)、E層(同90〜160キロ)、F層(同160キロ以上)に分(わ)けられているわ。

 ◇ののちゃん それで?

 ◆先生 上空に飛んできたAMの電波は、昼間はこのうちのD層に吸収(きゅうしゅう)されちゃうので、はね返されることもなく、遠くまで届かないわ。でも、夜中は太陽の光を受けないので、分離(ぶんり)される電子が減って、D層が消(き)えてしまうの。すると電波はその上のE層まで達(たっ)し、そこではね返されるってわけ。

 ◇ののちゃん ラジオには短波(たんぱ)放送やFM放送もあるよね。

 ◆先生 ラジオを聞くときは周波数(しゅうはすう)をあわせて放送局を選(えら)ぶでしょう。周波数はヘルツという単位(たんい)で表(あらわ)すけど、AMは1000キロヘルツ前後(ぜんご)の「中波(ちゅうは)」という電波を使(つか)っているの。一方(いっぽう)、短波やFMはもっと高い周波数の電波を使っているわ。短波はもともと電離層の一番(いちばん)上にあるF層ではね返される性質があるので、いつでも遠くまで届くの。だから外国向(む)けのラジオ放送などに使われているわ。

 ◇ののちゃん FMは?

 ◆先生 FMは一番上空のF層もすり抜(ぬ)けてしまうの。電波が電離層で反射(はんしゃ)することはないから、近(ちか)くの放送局から直接(ちょくせつ)届く電波しか受けられないわ。テレビ放送のVHFやUHFの電波もFMと性質は同じ。だから、遠くの県のテレビ局の番組(ばんぐみ)は、チャンネルをあわせても見(み)られないでしょう。

 ◇ののちゃん なるほど!

 ◆先生 でも、夏(なつ)の間(あいだ)などに、まれに、ごく限(かぎ)られた場所(ばしょ)で、ごく短(みじか)い時間(じかん)だけ、電離層の中(なか)にFMやテレビの電波も反射してしまう「スポラディックE層」という特殊(とくしゅ)な層ができることがあるんだって。そうなると外国のFMやテレビ放送が混信(こんしん)して、テレビだと画像(がぞう)が乱(みだ)れることがあるそうよ。

 (取材協力=電気通信大教授の唐沢好男さん、構成=本多昭彦)

 ◇調べてみよう!

 (1)昼間と夜中で聞こえるAM放送局の数(かず)を比(くら)べてみよう。

 (2)昼間はよく聞こえる放送局が夜中だと聞こえにくくなることがある。なぜだろう。

NIE 教育に新聞を

新聞、ニュースを調べ学習や自由研究に役立てるページです。ご感想・ご質問、NIEについての問い合わせなどは、NIE事務局(nie-asahi@asahi.com)まで。


朝日新聞購読のご案内