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アルコールでなぜ殺菌できるの?

 宮崎県・大坪志穂(おおつぼしほ)さん(高2)からの質問(朝日新聞社発行 1月9日付be)

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 ●たんぱく質(しつ)を変性(へんせい)させるのよ

 ◇ののちゃん わたしたちの学校(がっこう)の玄関(げんかん)や図書館(としょかん)にも、アルコール消毒剤(しょうどくざい)のボトルが置(お)かれたね。

 ◆藤原先生 職員室(しょくいんしつ)もよ。新型(しんがた)インフルエンザ対策(たいさく)でいろんな施設(しせつ)の出入(でい)り口(ぐち)など、人の集(あつ)まる場所(ばしょ)に、昨年以来(さくねんいらい)、アルコール消毒剤のボトルが雨後(うご)の竹(たけ)の子みたいに林立(りんりつ)したよね。

 ◇ののちゃん アルコール消毒剤って、これまであまりなじみがなかったけど、最近開発(さいきんかいはつ)されたの?

 ◆先生 いえ、主(おも)に病院(びょういん)や介護(かいご)施設で、感染防止(かんせんぼうし)に使われてきたわ。今年は、広く一般(いっぱん)の人に手の消毒が呼(よ)びかけられ、アルコール消毒剤の出番(でばん)が広がったのよ。

 ◇ののちゃん せっけんや消毒剤にもいろいろある中で、なぜアルコール消毒剤が広まったのかな?

 ◆先生 使う場面(ばめん)を考えてみて。家みたいに、近くに洗面台(せんめんだい)なんかがない場所(ばしょ)でしょう。アルコール消毒剤なら、両手全体(りょうてぜんたい)をぬぐっても、しずくが垂(た)れないわ。アルコールは「速乾性(そっかんせい)」といって、すぐ蒸発(じょうはつ)するからね。それにゆすぐ必要(ひつよう)もないし。

 ◇ののちゃん アルコールってお酒(さけ)の成分(せいぶん)でしょう。お酒の成分でなんで消毒ができるの?

 ◆先生 先生もお酒はイケるクチだから「まめに体内(たいない)消毒だあ〜」なんて言ってるけど、冗談(じょうだん)。たしかにお酒には、エタノールという種類(しゅるい)のアルコールが入ってるけど、濃(こ)さはウイスキーでも40%くらい。一方(いっぽう)、消毒剤のエタノールはその倍も濃いのよ。

 ◇ののちゃん うへ、とても飲(の)めないね。

 ◆先生 その濃いアルコールが、細菌(さいきん)やウイルスのたんぱく質(しつ)を変性(へんせい)させて殺(ころ)す、とされているわ。

 ◇ののちゃん ヘンセイ?

 ◆先生 卵(たまご)の白身(しろみ)はたんぱく質でできてるわね。ゆでると透明(とうめい)だった白身が白く固(かた)まって、冷(ひ)えても元の状態(じょうたい)に戻(もど)らないでしょ。すると、そのたんぱくが行(おこな)っていた役割(やくわり)ももう果(は)たせないのよ。そういう変化(へんか)を変性っていうの。

 ◇ののちゃん ふーん。

 ◆先生 もっとも、アルコールが消毒に使われた歴史(れきし)は西洋(せいよう)でも東洋(とうよう)でも長いの。たんぱく質とか変性とか、微生物(びせいぶつ)の存在(そんざい)とかも知らないまま、経験的(けいけんてき)にその消毒効果(こうか)に気づいていたのね。

 ◇ののちゃん うん、時代劇(じだいげき)で、焼酎(しょうちゅう)で消毒するシーンを見たことあるよ。それにしても、アルコール消毒剤でぬぐう人間の手だって、たんぱく質でできてるんでしょう。変性しないの?

 ◆先生 人間の体の表面(ひょうめん)は、細胞(さいぼう)がむき出しになってるわけじゃなくて、死(し)んだ細胞が重(かさ)なった層(そう)や分泌物(ぶんぴつぶつ)でおおわれているから、まあ大丈夫(だいじょうぶ)と考えられているわ。ただし、細胞がむき出しになっている傷口(きずぐち)には、アルコール消毒剤はしみるから不向(ふむ)きよ。

 (取材協力=丸石製薬・学術情報部 中村公昭さん、構成=武居克明)

 ■調べてみよう!

 (1)アルコールは、消毒剤やお酒のほか、どんなものに含(ふく)まれたり、使われたりしているだろう。

 (2)おもな消毒剤の主(しゅ)成分には、アルコール以外(いがい)に何(なに)があるかな。

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