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鶏が卵を次々と産むわけは?

 兵庫県・洪恵美(おおみずえみ)さん(35)からの質問

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 ●産卵(さんらん)の「ブレーキ」が壊(こわ)れてるの

 ◇ののちゃん わたし、玉子(たまご)かけご飯(はん)が大好(す)き。毎日(まいにち)卵(たまご)を産(う)んでくれるニワトリに感謝(かんしゃ)しなくちゃ。

 ◆藤原先生 卵を採(と)るニワトリの代表(だいひょう)は白色(はくしょく)レグホンね。本当(ほんとう)に毎日、産むトリもいるけど、平均(へいきん)だと年に300個(こ)くらいよ。

 ◇ののちゃん 卵を産むために、モリモリ食(た)べるんだろうなあ。

 ◆先生 1日に100グラム余(あま)りのエサを食べて1個約(やく)60グラムの卵を産むんだから、エサの効率(こうりつ)がすごくいいね。でも、ニワトリも初(はじ)めはそう多産(たさん)ではなかったのよ。

 ◇ののちゃん 「ニワトリの初め」ってなに?

 ◆先生 祖先(そせん)は、今もインドや東南アジアにいる赤色野鶏(せきしょくやけい)とされているの。でも、産む卵は年に十数(じゅうすう)個。だから数千年前に人間が飼(か)い始(はじ)めた時は、卵が狙(ねら)いだったかどうか。夜明(よあ)けに鳴(な)く性質(せいしつ)や、強(つよ)いなわばり意識(いしき)を利用(りよう)した闘鶏(とうけい)が目的(もくてき)だったのかもね。

 ◇ののちゃん 年にたった十数個の卵じゃねえ。

 ◆先生 でもね、多くの鳥(とり)は、産んだ卵を失(うしな)うとさらに産んで補(おぎな)うの。赤色野鶏も、この性質(せいしつ)を人間が利用したのでしょうね。産んだ卵を次々(つぎつぎ)に採(と)ってしまうことで産卵を続(つづ)けさせたんでしょう。

 ◇ののちゃん なるほど。

 ◆先生 それから、鳥は卵を温(あたた)め始めると、それ以上(いじょう)は産まないの。こうして産卵が止まるのを防(ふせ)ぐためにも、せっせと卵を採ってしまうのね。すると年に40個ほどは産ませられるそうよ。

 ◇ののちゃん 数倍(ばい)に増(ふ)えるね。だけど、追加(ついか)の産卵にも限度(げんど)があるんだ。

 ◆先生 ところが、赤色野鶏を長く飼ううちに、おそらく追加産卵のブレーキがこわれて、いつまでも産み続ける変わり者(もの)、つまり突然変異(とつぜんへんい)したトリを見つけたの。それを殖(ふ)やしたのよ。野鶏が卵を目的とする家畜(かちく)になっていく上で、大きな出来事(できごと)だったと思うわ。

 ◇ののちゃん なんだか「卵の生産装置(せいさんそうち)」になったみたいだね。

 ◆先生 ニワトリはもう、卵を産み続けるだけで、それを温める本能(ほんのう)も失っているの。だから人工的(てき)に卵をかえしてやらないと絶(た)えてしまう。古代(こだい)エジプトや2千年以上前の中国には、すでに大量(たいりょう)の卵をかえす技術(ぎじゅつ)があったそうよ。

 ◇ののちゃん 人に頼(たよ)らないと生きていけない生物(せいぶつ)になったんだ。

 ◆先生 飛(と)ぶ能力(のうりょく)もなくしたしね。飛ぶと飼いにくいから、より飛ぶのが苦手(にがて)なトリを選抜(せんばつ)していったのね。

 ◇ののちゃん 飼い方も変わってきたのかな?

 ◆先生 いろんな工夫(くふう)が重(かさ)ねられたわ。たとえば、ふつう鳥は繁殖期(はんしょくき)しか産卵しないでしょ。昼(ひる)の長さの影響(えいきょう)が大きいんだけど、ニワトリの飼育(しいく)小屋では照明(しょうめい)で昼の長さをいつも14時間に保(たも)ち、年中(ねんじゅう)、産ませているわ。

 (取材協力=川島光夫・岐阜大教授、構成=武居克明)

 ●調べてみよう!

 (1)家畜(ペットはのぞく)の鳥には、ニワトリのほかに、どんなものがいるだろうか。

 (2)それらの産卵数は? また、卵を温める性質は残(のこ)っているかな?

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